アイドルオタクに優しい「オプティミスティック・ラブ」
──ONIGAWARAの斉藤伸也さん提供のアッパーチューン「オプティミスティック・ラブ」についてはいかがですか?
佐藤 初めて聴いたときの感想は「斉藤さんらしい曲だなあ!」でした(笑)。「ビビってんじゃないよ もう」「でっかくかまえていこう」とか、斉藤さん節が炸裂しまくっていて、力強くて頼もしい雰囲気が出てますよね。すごくライブ映えする曲だと思うので、早くファンの方の前で披露したいです。
十束 「オプティミスティック・ラブ」はシングルの中で一番アイドルオタクに優しい曲だなと私は思っていて(笑)。フィロソフィーのダンスが初めて表現するアイドルらしさがあるというか。私たち、曲の中で「イエー!」とか「フー!」って言うの初めてじゃない?
日向 「イエー!」のところは10歳若返った気持ちで録りました(笑)。
十束 初めて見せる私たちの姿だし、改めて4人ってすごくかわいいんだなと思いました(笑)。斉藤さんのディレクションも面白くて、「愛し合おう 最高のKiss」というところで斉藤さんが実際に“最高のKiss”の動作を見せてくれて(笑)、すごく楽しかったです。
──レコーディングのディレクションはやっぱり人によって全然違うものですか?
奥津 違いますね。斉藤さんは全部を褒めてくれるんですよ。大人っぽさよりもさわやかさを出すために、普段だったら裏声を出すようなところで声を絞り出したんですけど、そこもうまく引き出してくれて、ここに来て「私、こんな声出るんだ」という新しい発見がありました。音楽人生が長いからか、自然と歌い方が定まってきていたので、自分の声を見つめ直すことができました。
日向 私は滑舌に気を付けてレコーディングしました。もともと滑舌がいいほうではないので、最後の「全・方・位・楽・観・的」の“き”の音を斉藤さんから習って。斉藤さん、地声でこの曲を歌えるんですよ! 全力で歌ってディレクションしてくださるので、それをがんばって真似しました。
奥津 あと、ささやき声で「Kiss」と言っていたり、フェードアウトしたあとに4人の雑談が入っていたり、誰が聴いても明るくなれる直球の曲なんですけど、メンバーの声を使った調味料が多くて、一筋縄ではいかない聴きどころが多い曲だと思います。最初に音源を聴いたときよりカラフルな印象の曲になって、やっぱり4人が最高だなと思いました(笑)。
あっ、ライブってこれだ
──8月6日には約半年ぶりのステージとして無観客生配信ライブ「5 Years Anniversary Party」が行われましたが、十束さんが楽しさのあまり涙を流していたのが印象的でした(参照:「やっと踊れるぞー!」フィロソフィーのダンス、半年ぶりのライブで喜び爆発)。
十束 ホントに楽しかったんですよ。でも、その尊い涙を見てメンバーがゲラゲラ笑っていたので、ひどいなと思いました(笑)。
──長い間ライブができていなかった反動で感情が爆発したんでしょうか。
十束 こういうご時世になっていろいろと考えることが多かったし、ファンの方に会えない寂しさもあって。グループの陽の部分から離れた話になってしまうんですけど、私はもともとインドアなタイプなので、自粛期間中に逆に精神が元気になってしまったんですよ。「このまま人前に出ないほうが幸せなんじゃないか」というメンタルにまでなりかけた時期があったんですが、メンバーとレッスンしたり、ファンの方にSNSで声をかけてもらったりしたことで「やっぱり私はアイドルでいたい」という気持ちが芽生えて、そのできあがった心理状態で配信ライブの当日を迎えてしまったんです。それで「ファンも最高! スタッフも最高! フィロソフィーのダンス最高! っていうか私最高!」みたいな気持ちになって涙が出たんです。
──ほかのメンバーはその気持ちに共感していなかったんですか?
十束 していなかったと思います(笑)。それでもいいんです!
奥津 (笑)。でも、私たちもすごく楽しかったです。原点に帰るような感じがあって。その一方で、物足りなさみたいなものも感じていました。「早くみんなに会いたいな」という思いが高まって、楽しさと物足りなさの2つの気持ちが同居した不思議な感覚でしたね。
──ステージから見渡すフロアにお客さんがいないと、やっぱりパフォーマンスしにくいものですか?
佐藤 違和感はありましたね。この状況はしばらく続くと思うし、配信ライブで私たちが一番見せたいものはなんなのかという課題も見つかりました。画面越しになるぶん、いつもよりライブの温度が下がってしまうので、普段以上のパッションを見せないとカメラの向こうの人には伝わらないんだろうなと。
奥津 でも心配しないでください! 2回目、3回目の配信ライブでそのもやもや感は払拭されました。配信ライブならではの楽しみ方を発見して、見えてなかったものが見えるようになり……もう配信ライブ大好きになりました!
日向 なんか極端だな!(笑)
佐藤 誰もそこまで心配してないから(笑)。
奥津 言いたくなっちゃったの。配信ライブが苦手って話したまま終わりなくなくて(笑)。
日向 (笑)。自粛期間中はおうちで歌の練習をしていたし、少し落ち着いてからはボイストレーニングを再開したり、スタジオに入ったりしていたんですけど、やっぱり1人でこもっていると手応えがなくて。半年ぶりのステージでは、お客さんの反応ありきでライブが成り立ってるんだなと感じました。8月6日はひさしぶりにメンバーとステージに立ってすごく楽しかったんですけど、その数日後にお客さんを少し入れたイベントに出演して、ステージに出た瞬間にその楽しさを遥かに超えちゃったんですよね。「あっ、ライブってこれだ」って。お客さんは声を出せず、拍手もできない状況ではあったんですが、いいパフォーマンスを届けたら、それに合わせてお客さんが踊ってくれるという相乗効果が生まれるのがライブで、「やっぱり私たちのやりたいものはこれだな」と再確認しました。
──この状況で無観客と有観客、両方を経験したことで見えてくるものもあったんじゃないでしょうか。
日向 配信ライブの映像を見返して、自分たちが楽しいことと楽しそうに見えることって全然別なんだなと感じましたね。本当に楽しくても作り笑顔でライブをやっているように見えてしまうこともあるし、自分たちの楽しさをちゃんと伝えるのってとても大事なことなんだなと。あと、地方の方にしてみたら今みたいに配信ライブが定着してきたことはうれしいことなのかもしれないと前向きに考えていて、ネットサイン会もそうですけど、普段東京でしか見られないものを全国に届けられる状況になったのはうれしいことというか……やっぱり4人って最高!(笑)
十束 怖い怖い!(笑) 全国の人にライブを観てもらえる喜びを語ってたのに、そこから「うちらって最高」に戻ってくるなんて。
焼け野原で待ってるぜ
──インタビューの最初に「国民的アイドルになることが目標」と言っていましたが、何を達成したら国民的アイドルになったと言えると思いますか?
佐藤 うーん……目指しているところは一緒だけど、4人それぞれの思い浮かべる国民的アイドル像はバラバラかもしれません。なので、その4つが実現したら本当に国民的アイドルになれるんだろうなと思います。
日向 まあでも、何かの条件を満たしたら国民的アイドルになれるわけでもないですからね。思い描いてるものが違うのに1つにまとまってる私たちって最高!
十束 それはもういいよ!(笑)
──では、メジャーデビューした先に乗り越えたいものはありますか?
佐藤 メンバーの年齢が上がるほど、生き残れるグループって男性のアイドルばかりになっちゃうじゃないですか。私はそこと同じ土俵で戦いたいです。アイドルを卒業してから活躍している女性の方はたくさんいますが、グループに残ったまま戦っている人はほとんどいない気がするので、戦わせてもらえるなら戦わせてくださいって感じです!
十束 武士みたいなこと言うじゃん!(笑) でも女性アイドルシーンの中で言うと、今はそういう戦いが起きないくらいアイドルが少なくなっちゃったじゃないですか。焼け野原みたいになっていて、一緒に戦えるアイドルさんが少ないことが悲しいです。
佐藤 それって「ここまで上がってこい」ってこと?
日向 「焼け野原で待ってるぜ」って?
十束 違う違う! そういう意味じゃない!(笑) そういう意味じゃないけど、新しいアイドルさんが私たちのことを潰そうとしてくるくらい勢いのある業界であってほしいなとは思ってます。私はいつか憧れのでんぱ組.incさんとツーマンをやらせてもらいたいですし。やっぱりアイドルオタク的にはツーマンが一番熱いんですよ。メジャーデビューしたわけですし、今まで以上にいろんな人とライブがしたいです。
奥津 私もこの流れに乗って強気なことを言うと、アイドルって世間的なイメージが固定されてると思ってるんですよ。歌がうまいと「アイドルっぽくない」と言われることが不思議で。でも、アイドルは歌が下手というイメージを作り上げたのもアイドル自身だと思うんです。それは悔しいので、フィロソフィーのダンスがアイドルを格上げしてナメられないようにしたいというか、「アイドルってカッコいいんだ」と思われる時代にしたいです。
佐藤 「散らかった時代を私が片付けてやるぜ」みたいな?(笑)
日向 片付けたあとに焼け野原で待つんだね(笑)。
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