CHiCO with HoneyWorksが2ndアルバム「私を染める i の歌」をリリースした。
「世界は i に満ちている」から約2年3カ月ぶりのアルバムとなる本作。2016年4月に発表された「恋色に咲け」以降の全シングルの表題曲に加え、3月3日公開の映画「プリンシパル~恋する私はヒロインですか?~」挿入歌「ツノルキモチ」や本作のために書き下ろされた新曲、HoneyWorksの人気曲「イノコリ先生」「可愛くなりたい」のカバーなど、全15曲を収録した充実の内容となっている。
音楽ナタリーではチコハニのボーカリストCHiCOにインタビューを実施。前作からの期間で手に入れた成長や、これまで以上に幅広い年代にアピールすべく新たなタイプの楽曲にも果敢にトライした本作のこと、そして3月16日に開催される自身初の日本武道館公演について話を聞いた。
取材・文 / もりひでゆき
幅広い世代の方に楽しんでもらえる濃い1枚
──2枚目のアルバムが完成してのお気持ちはいかがですか?
「やっと2枚目だ!」っていう気持ちがあるのと同時に、「2枚目も制作できた!」っていう喜びが大きいですね。前回に続き自分で作詞も1曲やらせてもらっていますし、男性目線の曲が増えたり、学生ではなく大人を意識した曲やちょっとセクシーな曲もあったりして。今まで以上に幅広い世代の方に楽しんでもらえる、ものすごく内容の濃い1枚になったと思います。
──CHiCO with HoneyWorksは中高生から熱い支持を受けていますが、その層をもっと広げる楽曲を歌っていきたい気持ちはご自身の中にもあったんですか?
そうですね。ライブを始めた当初は女子高生とか若い世代のお客さんが多かったんです。でも、いろいろなイベントライブに出演させていただいてきたことで、チコハニのライブに来てくれる方の年齢層もどんどん広がってきていて。だからこそ大人の方にも響く曲をもっと歌っていきたいなっていう気持ちはあったんですよね。曲を作ってくださるGomさんやshitoさんも私のそういう思いは感じてくださっていたので、それがいい形で今回のアルバムに反映されたんだと思います。
──1stアルバム「世界は i に満ちている」からの約2年3カ月で手にした成長が本作にはしっかり注ぎ込まれている印象があります。そのあたりご自身ではどう感じていますか?
前作に比べると少しはレコーディング作業に慣れたこともあって、自分なりに「こうしたほうがいいかな」「こんなことやってみようかな」っていろいろ試せた部分はあったと思います。HoneyWorksからの意見やアドバイスをより汲み取れるようにもなったと思います。デビュー当時はガチガチに緊張していたから、ディレクションしていただいた歌い方を何度もテイクを重ねて、とにかく再現していく感じだったんですけど。
──CHiCOさんならではの表現を提示できるようになったのは大きな成長ですよね。
Gomさんの場合は私なりの表現方法や世界観を尊重してくださるんですよ。私が自分のイメージで歌ったものを聴いて、「ここはちょっとのっぺり聴こえるから歌い方をアレンジしてみようか」とか細かくアドバイスしてくれたり。たまーに私のイメージで歌ったものが、そのままつるっと採用されて逆にビックリすることもありますね(笑)。
──shitoさんの場合は?
shitoさんはどちらかと言うと、ご自身の世界観をカッチリ持っている方なので、より具体的にイメージを具現化するというか、「こう歌ってほしい」って指示されることが多いです。ただ、最近は私なりにトライしてみたい歌い方があったりもするので、たまに勝負を仕掛けることもあります(笑)。「こういうのはどうですか?」って。
──どんな反応が返ってきます?
私なりの解釈で歌ったものとshitoさんのイメージ通りに歌ったものを聴き比べて、「CHiCOのほうがいいかもね」って言ってくれることもたまにあります。ダメだった場合は、「いやそっちじゃない」みたいな感じでバッサリと(笑)。コンポーザーでありプロデューサーであるお二人とそういうやり取りができるようになったんで、レコーディングはより楽しくなりました。
頭の中でミュージックビデオを作っちゃう
──自分なりの歌い方のイメージを膨らませるために何かやっていることってあります?
私の場合、頭の中で自分なりのミュージックビデオを作っちゃうんですよ。タイアップ楽曲として選んでいただけた曲に関しては、その作品のイメージから映像を想像していく感じで。例えば「今日もサクラ舞う暁に」(テレビアニメ「銀魂~よりぬけ!銀魂さん~」のオープニングテーマ)だったら銀さんが学校に通っている幼少期を想像して脳内MVを作りましたし、「ノスタルジックレインフォール」(テレビアニメ「恋は雨上がりのように」のオープニングテーマ)では自分が読んだ原作のシーンを思い浮かべて妄想MVにしちゃいましたし(笑)。
──タイアップが付いていない楽曲の場合は?
その場合は、主人公の容姿から何から全部想像して同じように映像にしていくんです。「たぶんこの子だったらこういうこと言うんだろうな」とかをイメージしつつ、頭の中でMVを流してからレコーディングしていくんですよね。
──なるほど。そうやって歌っているからこそ、曲の世界観にしっかり寄り添った歌声になっているんでしょうね。ライブでの経験がレコーディングに反映されることもありますか?
あります! 去年、一昨年と全国ツアーを経験したことはかなり大きく影響していると思います。ライブでの盛り上げ方みたいな部分をより考えるようになったので、レコーディングの段階でも先行してライブをイメージして歌うようになったんです。音源だけでなくその先にあるライブまで意識することで、歌い方の幅はより広がった気がします。
──ライブをイメージして歌うと、具体的にどんな変化が生まれます?
レコーディングではブースでは1人で歌うわけですけど、頭の中では目の前にたくさんのお客さんがいる光景を想像しているので、声をちょっと遠くへ飛ばすような歌い方を心掛けるようになるんです。けっこう難しく、まだまだ完璧にできるわけではないんですけど、そこを意識してレコーディングには臨むようにはなりました。
次のページ »
自分には到底できないことだからこそ憧れる
- CHiCO with HoneyWorks「私を染める i の歌」
- 2018年2月28日発売 / ミュージックレイン
-
初回限定盤
[CD+DVD+グッズ]
3780円 / SMCL-532~4 -
通常盤 [CD]
3024円 / SMCL-535
- CD収録曲
-
- 私、アイドル宣言
- ノスタルジックレインフォール
- ツインズ
- キララ
- ツノルキモチ
- ラブホイッスル
- ウルフ
- シュウマツWorker feat. かれん(Little Glee Monster)
- カヌレ
- 恋色に咲け
- 平成バブル
- イノコリ先生
- 可愛くなりたい
- 贈り歌
- 今日もサクラ舞う暁に
- 初回限定盤DVD収録内容
-
Music Clips
- 恋色に咲け
- カヌレ
- ウルフ
- 今日もサクラ舞う暁に
- ツインズ
- ノスタルジックレインフォール
- イノコリ先生
- 可愛くなりたい
- CHiCO with HoneyWorks(チコウィズハニーワークス)
- ソニー・ミュージックエンタテインメント主催のオーディション「ウタカツ!オーディション」にてグランプリを受賞したCHiCOと、クリエイターチーム・HoneyWorksとのユニット。2014年8月に1stシングル「世界は恋に落ちている」でメジャーデビュー。2016年1月にCHiCO with HoneyWorksとして初のワンマンライブを東京・WWWで開催。同年4月にはHoneyWorks制作の劇場版アニメーション「ずっと前から好きでした。~告白実行委員会~」のオープニング主題歌となるニューシングル「恋色に咲け」をリリース。その後も数々の人気アニメ作品とタイアップし、全国のティーンを中心に人気と支持を集める。2016年と2017年には全国ライブツアーを開催。2018年2月に2ndアルバム「私を染める i の歌」をリリースし、3月に初の東京・日本武道館ワンマンライブを開催する。