蒼木スピカ「乙女怪獣キャラメリゼ」 PR

「乙女怪獣キャラメリゼ」|著者・蒼木スピカが赤裸々に語る、キラキラと怪獣愛のルーツ

「乙女怪獣キャラメリゼ」は不器用な女子高生・赤石黒絵と、学園一のモテ男・南新汰の関係を描くラブコメディ。この作品が一般的な少女マンガと違って“変”なのは、主人公の感情が昂ぶると、ビルよりも大きな怪獣に変身してしまうところだ。今年1月、著者の蒼木スピカがTwitterで第1話を公開したところ、ツイートは瞬く間に拡散。読者の予想を裏切る大胆なストーリー展開、表情豊かで共感できるキャラクターなどが、多くの人の心を惹きつけた。

コミックナタリーではそんな「乙女怪獣キャラメリゼ」の魅力に迫るべく、著者・蒼木スピカにインタビューを実施。そこから見えてきたのは、「セーラームーンになれると信じてた」「ゴジラは犬みたいでかわいい」と語る彼女の、少女マンガに欠かせないキラキラと怪獣愛の原点だった。特集の最後には、蒼木のツイートをきっかけに本作の魅力にハマったという、CHiCO with HoneyWorksのボーカル・CHiCOからの応援コメントも掲載している。

取材・文 / 鈴木俊介

きっかけさえあれば、と思っていた

──感情が昂ぶると怪獣になってしまう女子高生が主人公のラブコメディ「乙女怪獣キャラメリゼ」。1月末に蒼木スピカさんが第1話をTwitterに投稿したところ、およそ5万リツイート、12万人以上に“いいね”されるなど大きな話題になりましたね。

こんなに多くの方から反響をいただけたことは夢みたいで、今でもピンときていないんですけど……。Twitterに上げる前は、怪獣とか特撮が好きな男性の読者さんが多くて、女性の読者さんはすごく少なかったんです。けどTwitterで広まってから、特撮ファンの方を凌ぐ勢いで女性のファンの方が増えて。もちろん男性の、特撮ファンの方に評価していただけるのもすごくうれしかったんですけど、主人公・黒絵の心情とかキャラクターっていうのは女性に共感してもらえると思っていたし、そのつもりで作っていたので、ずっと「どうすれば読んでもらえるんだろう?」って、けっこう真剣に悩んでいたんですよ(笑)。

──「乙女怪獣キャラメリゼ」が連載されている月刊コミックアライブ(KADOKAWA)は少年誌ですし、どちらかというと男性の読者が中心ですもんね。“怪獣になってしまう”という設定はちょっと奇抜だけれど、読んでみると“不器用な女の子が恋をして、障害を乗り越えるためにがんばる”という、少女マンガの王道がきちんと抑えられているというか。

ええ。なので、きっかけさえあればきっと読んでもらえるだろうという謎の自信はどこかにあって……。でも、ずっとどうすればいいかわからない状態で、その自信も揺らいでいたところだったので、まさかの出来事でした。Twitterに投稿したのは、担当さんが「やってみたら?」と提案してくれたのがきっかけです。

──ちょうど作家さんたちの間で、「〇〇な話」というフォーマットでマンガを投稿するのが流行っていましたよね。とはいえ、このツイートの「根暗JKが本気で恋したら、日本中をパニックに陥れてしまった話」という文章は、本作の大きな特徴である“怪獣”を封印していて、改めて見ると思い切った判断だなと思います。

それは担当さんに相談もせずに(笑)、自分で決めました。一応ハッシュタグでタイトルは入れているんですけど、やっぱり女性のファンを増やしたいっていう気持ちが強かったのと、なんの先入観もない状態で読んでもらいたかったんですよね。アオリが入った扉ページも、Twitterでは公式感が強いと読んでもらえない傾向にありましたので、あえてカットしました。

でっかいこと×女子高生=大怪獣!

──アライブは「のんのんびより」「ディーふらぐ!」といったコメディ、「ようこそ実力至上主義の教室へ」「ノーゲーム・ノーライフ」といったメディアミックス作品が中心で、少女マンガのイメージって全くなかったと思うんです。「乙女怪獣キャラメリゼ」が新連載として始まったとき、全然アライブっぽくない、異色のマンガがスタートしたという印象を受けたのを覚えていて。そもそも蒼木さんは、ずっと女性向け雑誌で活躍されていましたよね。

第1話の扉ページ。

そうですね。月刊プリンセス(秋田書店)で連載していた頃に、今の担当さんから「うちで描きませんか?」とメールをいただいて。

──これは担当さんにお聞きしますが、蒼木さんにアライブという男性向け雑誌で描いてもらおうと思ったのは何故ですか?

担当 蒼木先生は、ずっと女性向け雑誌で描かれていらっしゃいましたけど、作品を拝見すると、男性が読んでも好感度が高いだろうという絵を描かれる方で、気になっていたんです。私がアライブっぽくない、ちょっと違った切り口のマンガを作りたかったというのも大きいかなと思います。アライブに“アライブっぽくない”マンガが載ってるのも、逆に面白いんじゃないかなって。

──1巻のあとがきマンガで、作品ができるまでのことを描かれていますが、これによると“女子高生が怪獣になってしまう”というアイデアはその場の思いつきだったとか?

今ではうろ覚えなんですけど……恐らく担当さんとの打ち合わせの数日前に、「ゴジラ」作品を観たんだと思うんですね(笑)。打ち合わせの席に、担当さんがアライブ本誌を持ってきてくれたんですが、それをパラパラ読んでいるうちに漠然と「でっかいことをやりたい!」という気持ちが湧いてきて。

──アライブは1000ページ超えていることも珍しくない、物理的に“でっかい”雑誌ですもんね(笑)。

それに、アライブを見てるとかわいい女子高生のキャラクターがたくさん目に入ってくるじゃないですか。“でっかいこと”というイメージと女子高生が、頭の中でくっついて。最初は“ビルより大きい女子高生”みたいな設定が浮かんだんですけど、「それはどこかで見たぞ」と。じゃあ “女子高生が大怪獣になっちゃう”のはないでしょ!と、半ば勢いで言ってしまったのかなって思います。

──あとがきにはテーマが決まっても、最初はアライブっぽさを意識してうまくいかなかったともありました。今日は初期の設定資料をお持ちいただきましたが……えっ、最初はこっちの男の子が主人公だったんですか?

男の子をメインに考えていたと思います。最初は今みたいな少女マンガになるとは、まったく思っていなくて。少女マンガっぽいものを描きたい気持ちはあったんですけど、遠慮があったというか、男性向け雑誌からの依頼も初めてでしたし、出来るだけ雑誌のカラーに合わせたほうがいいんじゃないかとか、いろいろ考えて。少女マンガを描いて売れた経験もないですし、自信もなかったんでしょうね。できるだけ雑誌に寄せようとしてました。でも今振り返ると、本当にこれがやりたかったわけではないなと思います。

共感できる、応援したくなる主人公を初めて描いた

──できあがったものを読んでいる身としては、主人公が恋したときのドキドキ、うまくいかないときに感じるモヤモヤや苦しさ、やりきれなさなどが、怪獣化という形で昇華される構造は、少女マンガとしてもすごく斬新だと感じました。ご自身では、そのあたりがどこかでピタッとハマった感覚はありますか。

前作の「薔薇監獄の獣たち」の主人公が、リーダーシップがあってポジティブで、みんなの人気者みたいな……つまり自分とはまったくかけ離れた性格だったんですよ(笑)。それで、自分とは違う人の気持ちを全部想像で描いていくのって、けっこう大変な作業だったんですね。だから今回は、想像しなくてもセリフや行動がどんどん出てくるような、自分に一番近いキャラクターを主人公に話を作ろうと思っていたんです。その子と一緒に自分が成長していけるような話にしたいなと思ったんですね。描き手がノッて描いてるものって読者さんに伝わるし、その逆もそうだと思うので。

──なるほど。今作の主人公は等身大の、蒼木さんご自身が感情移入できるキャラクターにしたんですね。

パンケーキを頬張り、笑顔を見せる黒絵。

私と黒絵、本当にそのままと言っていいくらい中身が似てるんですよ(笑)。特に第1話とか、そのまんま。1人で生きていくんだと思い詰めていたり、本当は甘えたいけど上手に甘えられなかったり。スイーツも好きなので、パンケーキを食べてコロッと上機嫌になってしまったりとか。

──そんな蒼木さんから見て、黒絵のかわいいところはどこだと思いますか。

喜怒哀楽を表に出せるところ。似ているとは言っても、私はやっぱり抑えてしまうので。あと、南くんのことが好きな感情を、隠そうとしているんだけど出ちゃう……みたいなところも好きですね(笑)。たとえば第2話の、ケガをした南くんが学校に来るシーンとか。基本的にものすごく乙女なんですけど、自分に自信がないから隠しているんですよ。その必死感がほほえましいのかな。我ながら応援したくなってしまうというか。

──ああ、応援したくなるのわかります。読者にとっても近い感覚というか、共感できるってことなんでしょうね。

自分が怪獣化したせいで、ケガをしてしまった南くん。彼が登校してくるのを見つけた黒絵は、思わずニョキッと反応。

南くんも、彼は太りやすいことを気にしているキャラクターなのですが、これは私も同じコンプレックスを持っていて、そのせいで自信がなくて「自分なんか……」って思っちゃう性格なのを反映させているんです。

──そういうふうに自分の気持ちをそのまま投影したマンガってこれまでは描いていなかったのでしょうか。

そうですね。「こうなりたい」みたいな子たちは描いてきたけど、自分自身を、特に内面的な部分を投影して描くようなことは、今までなかったと思います。

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女子高生×怪獣? 史上最大級のラブコメが日本上陸!! 謎の症状に悩まされてきた女子高生「クロエ」。人と関わらず過ごしてきた彼女が、学園一のモテ男「新汰」と接触するとき、真の力が解き放たれる──。

蒼木スピカ「乙女怪獣キャラメリゼ②」
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あまりにも怪獣! あまりにも少女漫画! 新感覚のラブコメが日本を襲う! 感情の高ぶりに呼応して大怪獣へと変貌する女子高生「クロエ」。東京都民の皆様にご迷惑をかけないため、日々平穏に務める彼女であったが、イケメン男子「新汰」により、その日常は崩されていく……。

蒼木スピカ(アオキスピカ)
蒼木スピカ
2010年4月、手書きブログにて那貴りんご名義で発表していたマンガ「SPREE★KILLER」がCOMIC BOX ジュニアで連載化。同作はその後COMIC Be(ともにふゅーじょんぷろだくと)に移籍し、単行本が2巻まで発売されている。2013年5月には月刊プリンセス6月号(秋田書店)にて「デビ☆ロック」の連載がスタート。2015年9月に同誌で始めた「薔薇監獄の獣たち」の連載中、現在の名に改めた。「乙女怪獣キャラメリゼ」は2018年2月、青年誌である月刊コミックアライブ(KADOKAWA)で始動。活動の幅を広げている。