僕自身は別にオーガニックな人間じゃないから

──ニューアルバムのタイトルは「Idiots」ということですが？

そうですね。まあ、直訳すると「バカ」。決していい言葉ではないけど、自分がそうだし、周りにいる仲間も、みんないい意味で音楽バカだから。こんな時代に本気で音楽作ってる大バカ者ですからね。あと、ちょっとこういう音楽に気づかずに過ごしている世の中の人たちもバカだなあ、と（笑）。

──今までのCurly Giraffeのイメージからすると、少し意外なアプローチですよね。

Curly Giraffeとして今までアルバムを3枚出してるんですけど、割とオーガニックだったり、おだやかだったりっていう印象を持たれているみたいで。ただ、僕自身は別にオーガニックでもおだやかな人間でもないから、今回はより僕自身に近いものを音で表現したかった、というのはあります。

──ジャケットのイメージも今までとはずいぶん変わった印象があります。

マスタリングでロサンゼルスに行ったときに、ジャケットで使える写真を撮りたいなと思って。たまたま見つけたサンタモニカの近くにある貸しビデオ屋さんの看板がいい感じだったので使ってみました。もともとは「Vidiots」っていうお店で、頭にVが付いてるんだけどそこはトリミングして。だからタイトルも写真も意味は後づけなんだけどね。ただ、今回は青い空とか、そういうさわやかな感じにはしたくなかったから、夜の写真がいいなと思ってて、ちょうどいいのが撮れたかな。

メロディを思いついた瞬間に完成形が見えている

──去年の春に3rdアルバム、10月には縁のある女性ボーカリストをフィーチャーしたセルフカバーアルバムをリリース。それで今回、もう4枚目のアルバムが完成ということで、ものすごいペースで作品を出されてますよね。

作曲が趣味みたいなものなので、曲はまだまだ売るほどありますよ！（笑） アイデアのスケッチみたいなものも含めてかなりたくさん。本当は毎月でもアルバムをリリースしたいくらいなんだけど、それだとお客さんがついてこられないから、まあ年に1枚くらいにしておこうかな、と。

──曲作りはどんな方法で？

メロディが思い浮かぶと鼻歌にしてレコーダーに録音してるので、そういう素材がたくさんあって。ただメロディを思いついた瞬間に、完成形も頭の中にあるんです。だからレコーディングは頭の中で鳴っている音をどんどん具現化していくだけ。素材の中にはもう10年以上前のものもあるから、時間が経って、当時のイメージとズレが生じることもあるけど、それはそれで自分にとっては本当の音だし。頭の中で鳴っている音をどれだけ表現できるか、っていう感じですね。

──レコーディングにはどれくらい時間をかけるんですか？

今までのアルバムは、他の人のサポートやプロデュースの仕事の合間に作ってたので、1日1曲完パケで仕上げてたんですけど、今回は前のライブの後ぽっかり時間が空いていて初めて集中してやれました。だから今回は2日で1曲のペースでじっくりと（笑）。歌は歌詞ができてから入れ直すから別の日にやるけど、オケに関しては基本的にいつもそんなスケジュールです。

──作っている最中に煮詰まったり悩んだりすることはないんでしょうか？

ありません！（笑） Curly Giraffeでやってることって、基本的に僕の頭の中で鳴っている音を表現するだけだしね。例えば、朝「今日はこの曲を作る」って決めたら夕方にはもうオケはできあがってるので、悩んでる暇はないというか（笑）。途中でどうしていいかわからなくなったりしたらその曲はボツにします。

──もったいない！

曲の素材はたくさんあるし。アイデアが湧いてこなかったら、その曲は止めちゃいますね。

──じゃあアルバムに入れる曲が1曲足りなくて、最後にものすごく苦労したとかそういうのも……？

ないです。音楽を作るときに、変な苦労とかする必要はないと思うんで。

──そのあたりが、Curly Giraffeが根本的に他のアーティストと違うところのような気がします。

もともとCurly Giraffeを始めたきっかけも、今のレーベルの人に「ソロやってみない？」って言われたからだし、ソロ活動することが別に目的じゃなくて、やりたい音楽、作りたいものがあって動いてるだけですからね。制作に関しては、完全に自分1人で完結してるのでストレスも全くないですよ（笑）。