ナタリー PowerPush - Curly Giraffe
オーガニック路線を脱却!? 本質剥き出しのロックアルバム誕生
「泣きながら踊る」のが自分のスタンダード
──今回のアルバムは音も骨太になって、今までよりも“ロック”な印象を受けます。
何枚かアルバムを作ってきて、そろそろ自分の中にあるもっと変なものっていうか、違う部分を表現してみたいと思ったんですよね。単純にもともとロックが好きだし。僕は、人間の喜怒哀楽の裏側に大切なものがあると思っていて、そういうものを音で表現したいといつも思っているんです。ただ明るいだけとか悲しいだけとか、そういうものにはあんまり興味がない。「この曲、踊れるけどなんか切ないね」みたいな、そういうバランスのものにいつもグッときてしまう。「泣きながら踊る」みたいな感じが、自分にとってのスタンダードなんです。素直に自分を出していくとどんどんそういうものになっていくんですよね。
──聴くたびに印象が変わるような不思議なアルバムですよね。曲順もすごく自然に聴こえるけど、ものすごく考えられているような。
曲順はいつもレーベルの人が決めてます。
──えっ？
レーベルに曲順マニアの人がいるんですよ（笑）。曲が完成した時点で、僕としては100％納得しているし、制作は本当に1人の世界なので、曲順はある意味ファン目線というか、お客さん目線で決めてもらってます。1stアルバムからずっとそうですね。そのほうが自分も楽しめるし。
──歌詞についてはいかがですか？ 今回さらに詞の世界も突き詰められていると感じるんですが。
詞はファーストからずっとジーニー・クラッシュさんにお願いしてるんですけど、僕から「こうしてほしい」というようなことは一切言いません。
──えーっ!?（笑）
オケを先に作ってから詞をつけてもらうんですけど、その印象で好きに書いてもらってます。僕自身には詞で伝えたいことは全くないので、まかせっきりで（笑）。
──でもCurly Giraffeの歌詞のファンも多いと思いますよ。童話のような独特の世界観があったり、寓話的な毒が含まれていたり、さっきの音の話と同様に相反する価値観が共存しているようなところがありますよね。
うん、僕もいい歌詞だと思います（笑）。
このバンドが育ち始めたらヤバいですよ
──アルバム制作は1人ですが、ライブのときはバンド形態ですよね。メンバーはそれぞれ凄腕のアーティストの方々ですが、演奏に関してはどんな指示をされるんでしょうか？
いや、「こう演奏してほしい」みたいな話はほとんどしませんね（笑）。僕のCDを聴いてもらって、スタジオに来てもらって、みんなで自由演技。昔からの仲間で、イメージのズレがないメンツを集めているから細かいことを言う必要がないというか。そもそもCDの再現をしたいわけではないから、みんなでバンドとしてのCurly Giraffeを作りましょうっていう感じです。曲によってCDに近い曲もあれば全く印象が変わる曲もある。そもそもCurly Giraffeを始めたときは、ライブをやることは考えてなかったんですよ。初めは自分がボーカルで真ん中に立ってるってことに相当違和感があって。最近ですよ、ボーカリストとしての自覚が出てきたのは（笑）。
──去年のSHIBUYA-AXでのリリースパーティは、ボーカリストにBONNIE PINK、新居昭乃、平岡恵子、安藤裕子、Chara、LOVE PSYCHEDELICO、Coccoといったそうそうたるメンツをゲストに迎えて行われたわけですが、いかがでしたか？
あのライブで5kg痩せました（笑）。見事にホスト役ダイエット成功でした。
──音楽の神様が微笑んでいるような素晴らしいライブだったと思います。そして、今年はいよいよCurly Giraffeとしての全国ツアーが待っていますよね。
心配です（笑）。全国ツアーどころかワンマンでライブやったこともないですからね、僕。いつもゲストを呼んだり対バンイベントだったりで。ただ、ツアーみたいな形で何カ所かまわるとバンドが成長していくので、それはものすごく楽しみですね。このバンドが育ち始めたらヤバいですよー（笑）。やっぱりステージではテンション上がって一気にロック魂に火がついちゃうというかね。
──バンドメンバーはどんな感じに？
僕がベース＆ボーカルで、ギターが名越（由貴夫）くん。ドラムが（白根）賢一で、キーボードが堀江（博久）くんと奥野（真哉）くん。ホントにすごく楽しみで。
──AXのライブはかなりの量の器材を使ってましたが、今回も？
僕が古い楽器の音が大好きで、メンバーもみんな好きだから、どうしてもそのへんはこだわっちゃいますね。僕がレコーディングで使ってる部屋も最近そういうビンテージ器材が増えすぎて、古道具屋みたいな匂いがしてきた（笑）。
──今年に入ってからもすでにCharaの全国ツアーが終わり、今はCaravanの全国ツアー中。来月はCurly Giraffeの全国ツアー、そのあとはデリコのツアーと大忙しですけどそのあたりは？
今年の前半はほとんど旅芸人（笑）。体はキツいけどみんな才能のあるミュージシャンばかりなので楽しくやってます。夏にはCurly Giraffeでいくつかフェスにも出る予定です。今まで行けなかったところにも行けそうなのでそれもすごく楽しみですね。そのあとは、またアルバムを作るのかな？ あと、そろそろ海外でもライブをやってみたいですね。“海外進出”とかそういう大げさな感じじゃなく、普通にいろんなところでね。
CD収録曲
- Roaring Forties
- Paper Doll
- Spider's Song
- Once Upon a Time
- Wave's End
- A Little Girl Makes a Little Book
- Gypsy Girl
- Sign Post
- 123 4 U
- Lack Decision
- Dunce Cap
- To Have and Have Not
2010 Idiots Tour
- 2010年5月16日（日）宮城県 仙台enn
OPEN 17:00 / START 17:30 - 2010年5月18日（火）東京都 渋谷CLUB QUATTRO
OPEN 18:00 / START 19:00 - 2010年5月21日（金）愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
OPEN 18:30 / START 19:30 - 2010年5月22日（土）大阪府 心斎橋CLUB QUATTRO
OPEN 17:00 / START 18:00 - 2010年5月29日（土）熊本県 熊本DRUM Be-9 V2
OPEN 19:00 / START 20:00 - 2010年5月30日（日）福岡県 ROOMS
OPEN 19:00 / START 20:00 - 2010年6月4日（金）東京都 渋谷CLUB QUATTRO
OPEN 18:00 / START 19:00
Curly Giraffe（かーりーじらふ）
2005年10月にタワーレコード限定EP「Curly Giraffe e.p.」をリリース。翌2006年4月に1stアルバム「CURLY GIRAFFE」を発表し、ノンプロモーションにもかかわらず外資系CDショップやiTunes Storeなどでロングヒットを記録した。2009年4月に3rdアルバム「New Order」をリリース。同年10月にはBONNIE PINK、新居昭乃、平岡恵子、安藤裕子、Chara、LOVE PSYCHEDELICO、Cocco、木村カエラという8組の女性アーティストがCurly Giraffeの楽曲をカバーする企画アルバム「Thank You For Being A Friend」が発売され、大きな話題を集めた。作曲、演奏、録音、アートワークなどを1人でこなし、ライブでは白根賢一、堀江博久、名越由貴夫、奥野真哉といった実力派アーティストとともにセッションを展開。これまで発表された楽曲はすべて英語詞で歌われており、海外でもリリースされている。
