ナタリー PowerPush - Curly Giraffe
リラックスした空間が生み出す純度100%のハンドメイドミュージック
Curly Giraffeは死ぬまでできる音楽
──Curly Giraffeの音楽は、ジャック・ジョンソンやドノヴァン・フランケンレイターあたりと比較されることも多いと思いますが、ご自身ではどう感じてますか?
僕はジャック・ジョンソンみたいにサーフィンはしないし、むしろインドア派の引きこもりなのでちょっと違うと思ってます。ただ、共通する部分があるとすれば、お互いリラック スした音楽を作ってるっていうところですね。
──確かにCurly Giraffeの音楽って派手さはないんですけど、すごく心地よくて、何度もリピートしてしまう魅力がありますよね。
そう言ってもらえると嬉しいです。派手なものって一時はいいけど、すぐ飽きてしまうと思うんです。僕はずっと普遍的なものを作りたいと思っていて、リリースしたときにドーン と売れなくてもいいけど、たくさんの人に長く聴かれるような音楽を作りたいんです。たとえば、モータウンのようなポップスは自分の中でキーワードですし、ポピュラリティに対する憧れがすごくあるんですね。音楽の基本を感じるというか、曲だったり音だったりに心を震わされる部分がある。
──Curly Giraffeの音楽というと、子供から大人まで聴けるエバーグリーンなポップスだと思うんですが、今後も方向性は変わらない感じですか?
ええ。僕がCurly Giraffeとして表現したいキラキラしたポップスというのは、10年後も変わらないはずなんで。表現の仕方や曲調はそのときの気分で多少変わるかもしれないけど、根底にあるものは変わらない。昔からチャック・ベリーとかRAMONESみたいにずっと同じ音楽を作っているアーティストにすごく憧れがあって。自分はいろんなものを好きになっちゃうから、たくさん寄り道を してきたんですけど、Curly Giraffeを始めてから、自分が作るものとして、おそらく死ぬまでできる音楽に出会えたんです。
──Curly Giraffeはライフワーク?
そうですね。遠回りもいっぱいしたけど、そのお陰で今のようなことができるようになったし。音楽を始めた頃はベースしか弾いてなかったけど、経験を重ねることで自分の中で表 現したいものができたんです。Curly Giraffeとして自分の好きなことを3枚分追求したら、あんなこともできるこんなこともできる、ってさらに見えてきて。ますます止まらない状態になって、ヤバイです(笑)。
自分の楽曲が生まれ変わったカバー集
──さて、女性ボーカリストが歌うCurly Giraffeのカバーアルバム「Thank You For Being A Friend」のリリースが決定していますが、これはどういった経緯で作られることになったんですか?
平岡恵子さんというアーティストがいて、彼女がCurly Giraffeの曲をライブでカバーしたいって言ってくれたんです。そこで彼女が僕の曲をカバーしているのを聴いて、僕の曲を女性が歌うと全然違うふうに聴こえるのがすごくいいなと。自分の曲をほかの人が歌うことで、リスナー感覚で聴けたのがすごく楽しくて。
──自分の曲、お好きですもんね。
はい(笑)。僕はいろんな女性アーティストのサポートをしてるので、彼女たちにCurly Giraffeの曲を歌ってもらえたらいいなと思って連絡をしてたら、全員OKしてくれて。気付いたらメンツがすごいことになっちゃって、これは真剣にやらないとマズイ! と。
──Cocco、Chara、BONNIE PINKなど参加アーティストも豪華で、サウンド面も贅沢な仕上がりですよね。
もちろん歌っている人がすごくて、毎回、スタジオでディレクターと顔を見合わせてばかりで。あと、今回は普段ライブで一緒に演奏しているメンバー(白根賢一、名越由貴夫、堀 江博久)とレコーディングしたのですが、これも素晴らしい出来で。
──Curly Giraffeだとドライな感じがありますけど、女性アーティストが歌うと同じ曲でもすごく艶っぽさがでますね。
いい意味で原曲に比べてもっと生々しくなっているというか。曲が立体的になってるし、自分の曲が完全に生まれ変わりましたね。純粋に僕と、音楽で繋がってるアーティストに歌 ってもらっているから、お互い音楽の気心が知れているし、それも音に出てる。自分の財産になるような作品になりました。3rdアルバムも、もちろんですけど、カバーアルバムのほうもぜひ楽しんでもらいたい です。
CD収録曲
- Forbidden Fruits
- The Flying Dutchman
- On Cloud Nine
- Run Run Run
- Pecuriarities
- Fountain Of Youth
- New Order
- Inspiration Lives On
- Melody Maker
- My Kitten
- Blown To The Wind
- Stand
Curly Giraffe(かーりーじらふ)
2005年10月に、タワーレコード限定EP「Curly Giraffe e.p.」をリリース、翌2006年4月に1stアルバム「CURLY GIRAFFE」を発表し、ノンプロモーションにもかかわらず外資系CDショップやiTunes Storeなどでロングヒットを記録した。作曲/演奏/録音/アートワークなどをひとりでこなし、ライブでは白根賢一、堀江博久、名越由貴夫といった敏腕アーティストとともにセッショ ンを展開。全曲英語詞で歌われており、海外でもリリースされている。