音楽ナタリー PowerPush -Crossfaith

メジャー1stシングルでさらなる高みへ

Crossfaithがメジャーデビューシングル「MADNESS」をリリースした。2009年4月に1stアルバム「The Artifical theory for the Dramatic Beauty」をリリースして以降、国内だけでなく海外でも着実に知名度を高めている彼ら。今年は「Download Festival 2014」「Reading / Leeds Festival 2014」といったイギリスの大型野外フェスのメインステージに立つなど大躍進を遂げており、11月には初のUKヘッドライナーツアーも控えている。

そんな彼らが昨年9月のアルバム「APOCALYZE」以来に放つ新作「MADNESS」には、今後のCrossfaithを占う上で重要な意味を持つであろう3曲を収録。ナタリー初登場となる今回は新作についての話題はもちろんのこと、バンド結成から海外で名を馳せるまでの歴史を振り返ってもらった。

取材・文 / 西廣智一

海外進出は自然ななりゆき

──皆さんはCrossfaithを結成した頃から海外での活動は意識していたんですか?

Crossfaith(Photo by Julen Esteban-Pretel)

Kenta Koie(Vo) そうですね。もっと言うと、このバンドの前にやっていた別のバンドの頃から海外でもやりたいと考えていて。洋楽を聴いて育ってきたんで、海外でライブをしたい、海外で自分たちの音源をリリースしたいというのは自然ななりゆきで、中3か高校ぐらいの頃から考えてました。

──なるほど。Crossfaithはラウドロックにエレクトロの要素を取り入れたという意味では先駆者的な存在かと思いますが、今のスタイルはどうやって生み出されたものなんですか?

Koie 当初はメタルコアとかスクリーモとかをやりたいと思って、それこそKillswitch EngageとかUnderoathとかSlipknotとかをカバーして、ライブハウスで演奏してたんです。その当時はデジタルやエレクトロを取り入れているラウドバンドが本当に少なくて。

Terufumi Tamano(Program, Vision) 当時カバーしていたSlipknotやAs I Lay Dyingの曲にも、俺は原曲にない音を入れていたんです。そこからオリジナル曲を作るとなったとき、メタルコアサウンドにいかにキーボードを取り入れていくかでかなり模索しましたね。そういう意味では既存のメタルバンドよりも、The Chemical BrothersやThe Prodigyといったデジタルミュージックからの影響が強いのかも。それが聴いた人に新鮮だと感じてもらえた1つの要素なのかな。ちょうど「Blue」(「The Artifical theory for the Dramatic Beauty」収録曲)をライブでやり出した頃は、海外でEnter Shikariが出てきた頃だったと思うんですけど……。

──そうですね。ちょうどラウドシーンに新たな波が生まれるタイミングだったと。

Teru その当時、日本で一緒にライブをしていたNEW BREEDやBLOOD STAIN CHILDもデジタルの要素を取り入れていていたんですけど、俺たちがほかのバンドと決定的に違ったのはメタルコアバンドだったことで。そこは大きな違いでしたよね。

──Kazukiさんはシンセも前面に出てくるCrossfaithのスタイルの中で、ギタリストとしていろいろ挑戦することも多かったんじゃないかと思うんですが。

Kazuki Takemura(G) 最初の頃は僕が作った曲に対して「(もっとキーボードを)ぶっ込んでくれ」と言ってたくらいで、挑戦というよりは楽しみながら作ってましたね。

Teru むしろ1stアルバムや2ndアルバム「The Dream, The Space」(2011年4月発売)の頃はお互い音でぶつかり合ってましたね(笑)。当時はKazukiが大半の曲を作っていたんですけど、どういう音がいいとかじゃなくて、例えば「この曲は“紫”と“悪魔城”」みたいな漠然としたテーマを聞いて、それを自分なりに解釈して色付けしてくのが面白くて。

Kazuki 自分の作った曲に自分にはない色が加わることで自分の想像とは違う曲に仕上がるというのは面白いですね。やっぱり1人だけで作ると想像の範囲内のものしかできないので、刺激を与えてくれるという意味では本当に楽しいですよ。

「Omen」での手応えから生まれた「ZION EP」

──1st、2ndアルバムでCrossfaithの地盤が固まったと思いますが、続く「ZION EP」(2012年6月発売)はサウンドの感触や楽曲全体の印象が前2作とは変わっていて。

Crossfaith(Photo by Julen Esteban-Pretel)

Teru 一番大きな理由としては、「ZION EP」に収録されている「Monolith」「Photosphere」「Quasar」の3曲を俺が持ち込んだからかな。

Kazuki 「ZION EP」は俺らが初めてアメリカでレコーディングした作品で、そういう意味でも前作から変わったところがあると思うんです。

Teru 「ZION EP」の前の「The Dream, The Space」でThe Prodigyの「Omen」をカバーしたんですけど、そこで初めてエレクトロサイドからメタルコアに寄せていって。「Omen」で大きな手応えが得られたから「Monolith」でのダブステップとか、1stや2ndの頃になかったアプローチもできるようになって引き出しも増えたんだと思います。

──そして「ZION EP」リリース以降、海外での活動が本格化します。

Koie 初めてのイギリスツアーでライブハウスを17カ所回ったんですけど、ライブに来るお客さんの「遊んでやるぞ!」という熱量に驚きましたね。日本のお客さんももちろんすごいんですけど、それとは違ったエネルギーを感じました。

Kazuki あと17日間連続でライブっていうのもすごかったな(笑)。でも向こうのお客さんからはCrossfaithのことを知ってる、知らない関係なしに楽しもうとしてるのが伝わってきて、それを受けていいライブをやらなきゃって思えた。そういうところで今のCrossfaithのライブ力が培われてきたんじゃないかと思いますね。

1stシングル「MADNESS」/ 2014年10月8日発売 / Sony Music Labels
「MADNESS」
初回限定盤 [CD+DVD] 1944円 / BVC7-2~3
通常盤 [CD] 1080円 / BVC7-4
CD収録曲
  1. Madness
  2. Dance With The Enemy
  3. S.O.S
初回限定盤DVD収録内容
  • 「DOWNLOAD FESTIVAL 2014」ライブ映像
Crossfaith(クロスフェイス)

2006年11月にKenta Koie(Vo)、Terufumi Tamano(Program, Vision)、Kazuki Takemura(G)、Hiroki Ikegawa(B)、Tatsuya Amano(Dr)により結成。メタルコアやスクリーモを軸に、ストリングスやエレクトロニカを随所に織り交ぜドラマチックに展開する唯一無二のバンドサウンドで、その地位を確立していく。2009年4月にリリースした1stアルバム「The Artifical theory for the Dramatic Beauty」が、国内メタルコア / スクリーモシーンを活気付ける起爆剤に。同年10月には「LOUD PARK 09」に出演し、圧巻のライブパフォーマンスで多くのオーディエンスを魅了した。その後、ヨーロッパやアメリカでのCDリリース、精力的な海外ツアーを展開。「Warped Tour UK」「Sound Wave Festival 2013」「Download Festival 2014」「Reading / Leeds Festival 2014」など海外の大型フェスにも多数出演し、各国のメディアから絶賛される。2014年10月、キャリア初となるシングル「MADNESS」をソニー・ミュージックレーベルズからリリース。10月末からはバンド初の欧州ヘッドライナーツアーも控えている。