コドモメンタルINC.特集 今村伸秀(コドモメンタルINC. 代表取締役)×如月愛海(ぜんぶ君のせいだ。)|“アイドル不況”の中でコドモメンタルが好調な理由

2015年に誕生し、ぜんぶ君のせいだ。、ゆくえしれずつれづれ、幽世テロルArchitectといった個性的なアイドルグループを生み出してきたレーベルプロダクション・コドモメンタルINC.。メジャーレーベルに所属しているアイドルグループの活動休止や解散などが相次いだ2018年においても、コドモメンタルは新たなグループを増やしながら順調にリリースを重ね、シーンの中でその存在感を増している。

音楽ナタリーではコドモメンタルというレーベルにスポットを当てた特集を企画。レーベルの代表取締役・今村伸秀と、看板グループであるぜんぶ君のせいだ。のリーダー・如月愛海の2人にインタビューを行い、“アイドル不況”と呼ばれる昨今のシーンの中でなぜコドモメンタルが順調に規模を拡大しているのか、その理由に迫った。

取材・文 / 倉嶌孝彦 撮影 / 関上貴也

愛海にはなんとなく声をかけた

──いろんなところで語られていることではありますが、もともとコドモメンタルという集団は今村さんと少年がミルクさんの2人が始めたものなんですよね?

今村伸秀

今村伸秀 そうですね。コドモメンタルは別に会社を興そうと思って始めたわけではなかったんです。僕、前職はサービス業やイベント系の仕事を請け負うグループ会社を経営する立場だったんですけど、単純に会社を転がしていくことに疲れて。会社経営がやりたくて生きてるわけじゃないし、単純に経営のようなものも今でもですけど好きじゃない。何かモノを作って生きていきたいと思っている中で、ミルクと出会って「コドモメンタル」という名前の集まりを作ったのが始まりですね。

──コドモメンタルのオフィシャルサイトでブログをさかのぼっていくと、最初は映画を製作していたと書かれています。

今村 当時から和樹(水谷和樹。Gauche.のメンバー)もコドモメンタルの一員だったので音楽も作ってました。映画作りが目立ってはいたんですけど、僕らの主軸は最初から音楽にありました。愛海が入ったのは映画を作っていた時期ですね。

──如月さんはどういうきっかけでコドモメンタルに入ったのでしょうか?

如月愛海(ぜんぶ君のせいだ。) 当時コドモメンタルの方とは知らず、女性のカメラマンさんの写真をSNSで「いいね!」したときに、「映画の仕事をやらない?」って直接連絡をもらったんです。私はもともと映画に興味があって役者を志していたので、ちょっと興味があったし、コドモメンタルの人たちも面白そうだったのでやってみることにしたんです。

今村 特に普段から声をかけるとか、そういうことはまったくないんです。理屈じゃなくて感覚的に気になったから愛海には声をかけたんですよね。当時はグループ会社を辞めたあとだったこともあって、大人数で働くことにうんざりしてたし、鬱陶しいなと思ってたし、できるだけ少人数で面白いことをしようってマインドだったんですけど、愛海にはなんとなく声をかけました(笑)。

廃れていくならアイドルをやってみよう

──のちに如月さんはぜんぶ君のせいだ。というアイドルグループのリーダーになるわけですが、まだここまでの話の中で「アイドル」という言葉が一度も出てきていません。

今村 もともと僕はアイドルにまるで興味がなかったんです。なんなら今でも興味がないかもしれない(笑)。コドモメンタルのアイドル以外の音源は聴かないし、アイドルのライブも全然観に行かない。こだわりとかそういうわけでもなくて、もともとバンド出身だしジャンルはさまざまでもコアな音楽にばっかり触れていたし。

──如月さんも「アイドルのことは詳しくなかった」と公言しています。ライブも観たことがなかったとか。

如月愛海

如月 昔の自分はホントにアイドルのことは何も知らなかったんです。そもそも音楽番組も全然観たことがないレベルで、音楽に疎くて……。

──なぜアイドルという形態で活動をすることになったんでしょうか?

如月 さっき話に出てきたカメラマンの女性スタッフがものすごくアイドルが好きだったんです。

今村 そうそう。「アイドルやってみたいです」って言うから「マジ? じゃあやってみる?」みたいなノリで。愛海も「コドモメンタルがやるならなんでもやります」みたいな感じだったし。

如月 当時、社長と「もしかしたらこれからアイドル業界は廃れていくかもしれない」って話をしたんですよ。でもそのとき話したのが……。

今村 「廃れていくならアイドルというフォーマットを使ってみよう」って。

如月 そうそう(笑)。

今村 そもそも流行り廃りはコドモメンタルにとって関係ないんです。これは矛盾した考え方かもしれないんですけど、僕らはビジネスをしに音楽業界に殴り込んだわけではないというか。映画を作るのもCDをリリースするのも、世の中ではなんだか知らないけど莫大なお金がかかるイメージがある。もちろんそういう方法論もあるけど、でも本当にそうなの?って常に感じていて。僕らは高価な楽器を購入したり、有名なプロデューサーに依頼したりしないけど、自分たちの中で納得した音楽をリリースしてる。それを「いい」と言ってくれる人も少しずつでも増えてる。お金をたくさんかけずとも、ちゃんと自分たちで作れるならそれが一番理想的だから、僕らは僕らで理想的な音楽や表現を、理想的な形で作ってるだけだと思ってます。

ぜんぶ君のせいだ。
「Natural Born Independent / ロマンスセクト」
2019年2月6日発売 / コドモメンタルINC.
ぜんぶ君のせいだ。「Natural Born Independent / ロマンスセクト」

[CD] 1080円
CMI-0050

Amazon.co.jp

収録曲
  1. Natural Born Independent
  2. ロマンスセクト
  3. Natural Born Independent(Instrumental)
  4. ロマンスセクト(Instrumental)
ぜんぶ君のせいだ。(ゼンブキミノセイダ)
ぜんぶ君のせいだ。
如月愛海(きさらぎめぐみ)、ましろ、一十三四(ひとみよつ)、咎憐无(とがれん)の4人からなる「病みかわいい」をコンセプトにしたアイドルユニット。2015年7月に1stシングル「ねおじぇらす✡めろかおす」を発表し、同年10月に愛知・CLUB Zionにて単独公演を開催。初ライブにしてソールドアウトを記録した。2016年には1月に1stアルバム「やみかわIMRAD」を、11月に2ndアルバム「アニマあにむすPRDX」をリリースした。12月に東京・LIQUIDROOMで行われたワンマンライブ「ぜんぶ僕のせいだ。」で新メンバーの咎憐无が加入。2017年1月には新たに未来千代めねがグループに加わり、同年2月には新体制初のシングル「Sophomore Sick Sacrifice」を発表した。9月に行われた全国ツアー「みんなごとTOUR 2017~2018」の初日公演をもって、のどの不調のため活動を休止していた未来千代めねが脱退。2018年5月には東京・TSUTAYA O-EASTにてワンマンライブ「ロマン無頼IZM」を開催した。また7月には4thアルバム「NEORDER NATION」をリリース。7月から8月にかけては平日限定のフリーライブツアー「MOB MORATORIUM TOUR」を、9月には東名阪ツアー「おぼろばんからからーTOUR」を実施した。2019年1月には東京・Zepp Tokyoにてグループ史上最大規模の会場でのワンマンライブを開催する。また同年2月にニューシングル「Natural Born Independent / ロマンスセクト」をリリースする。

2020年6月15日更新