音楽家も進化しないといけない
mabanua 30歳になって何か変わったことはありますか?
Ryu 大人になったなと思います。嫌なことは嫌だと言うようになりました。
mabanua 20代の頃は?
Ryu もっと嫌だって言ってました(笑)。でもそれはきちんと理解をせずに言ってたんですよ。30代になってからは、自分の中に相手の意見を取り込んだ状態で嫌だと言えるようになったと思います。あとはプロデュース業でも、言葉の使い方を工夫して自分の求めている方向に持っていけるようになりました。無意識にですけど。
mabanua それは20代ではできなかった?
Ryu 全然できなかったです。自分の求めている音楽ではないとダメって考えで、頑固だったので。昔よりは柔軟性が高まってきましたね。
mabanua ちなみにRyuさんは、最近の音楽シーンについてどう思いますか?
Ryu いや、もう、楽しい。いい意味で埋もれるものはもっと埋もれていく時代というか。YouTubeを観ていても、みんないい一眼レフや高い性能の機材を使っていて、ある程度クオリティが並列なんですよ。そんな中でみんなに観てもらったり、聴いてもらったりしないといけない。それが面白いと思います。昔のようにプロモーションにお金を使えるわけではないですし。
mabanua 確かに。ミュージックビデオを作るときに、映像作家の人に出せる予算は昔よりは下がりましたよね。
Ryu そうなんですよ。だからプロモーションをするときにも、アーティストがDIYしなければいけない時代になってきている。僕はDIY大好きなので、どうやったら面白いものをアウトプットできるかをよく考えてます。
mabanua うんうん。Myspaceが流行っていた頃は、ジャケット写真も作れて、ミックスもできて、楽器も弾ける人はすごいって印象だったけど、最近はそんなに目新しいことじゃないよね。
Ryu 今はアーティストがDTMできることが当たり前みたいになってますよね。いろいろなものが進化して、僕ら音楽家も進化しないといけない。
mabanua そう思うと、予算がないから自分たちでやらざるを得ない環境って、ある意味クリエイターにとってはすごくいい環境ですね。
Ryu いい環境だし、そのほうが人と人同士の関係性が深くなっていくのかなと思います。お客さんも人が好きだとかアーティストの肌感みたいなのを求めてライブに行くんだと思うし。だから一生ライブというものは続いていくのかなって。だってライブも映像で観れるっちゃ観れるじゃないですか。そういう時代だからこそライブハウスの身近さが大事になってくる。だからライブでは、お客さんとは人と人として接していきたいというか、音をぶつけるくらいのイメージで演奏をしていきたいですね。
Negiccoと対バンしたい
──最後にRyuさんからmabanuaさんに聞きたいことがあればお願いします。
Ryu Ovallの曲を聴かせていただいて……。
mabanua マジ? ありがとうございます。
Ryu こちらこそ、光栄です(笑)。Ovallと自分たちのサウンドスケープ感にすごく親近感を感じて。Ovallはどういった音楽ジャンルにあたるんですか?
mabanua 台湾だと「前衛的ヒップホップ集団」って言われてる(笑)。でもヒップホップでもないし、ノイズミュージックみたいな感じがホントは前衛的だと思うし。どうなんだろう、俺もわからないんですよね。最近はもうないけど、昔は「どのジャンルの売り場に置けばいいですか?」って言われても、俺もわからなかった。
Ryu 同じです! あと「対バンに困ります」ってよく言われます。
mabanua あるある。
Ryu 自分たち的には、アイドルと対バンでも問題ないって思ってるくらいです(笑)。
mabanua うんうん。Ryu Matsuyamaさんは、「東京JAZZ」に出たっていいと思うし、「SUMMER SONIC」に出てもいいし、Negiccoと対バンしたっていいと思います。
Ryu Negiccoさん、対バンしたいです! 面白いライブになりそう。僕らは昔アンビエントロックを自称していたんですけど、今はポップだと言っていますし。今日は、mabanuaさんは何ジャンルなのかすごく聞きたかったんです。
mabanua 無理やり決めろって言われたらオルタナティブになるのかな。ズルいっすけどね、オルタナティブって。だから俺もわかりませんって言うようにしてます。
Ryu なるほど。もしくは……前衛的ヒップホップ集団。
mabanua (笑)。
Ryu いつかmabanuaさんにプロデュースしていただきたいです。もしくは僕みたいなファルセッターが必要だったらいつでも呼んでください!
mabanua わかりました(笑)。