ナタリー PowerPush - Chicago Poodle
新たな気持ち、新たな挑戦「3.0」
「家族」がテーマの壮大なラブソング
──リード曲「タカラモノ」は、珠玉のラブソングですね。
花沢 「タカラモノ」は何かバラードを作ろうと思ってたときにメガネのタナカさんから「創業100周年のイメージソングを作ってください」とオファーをいただいて。テーマが「家族」ということで、そこを起点に曲を書いていきました。
──山口さんの歌詞がとても胸に沁みて、プロポーズソングのようにも聴けると思います。
山口 「家族」というテーマから僕が考えたのは、どっちかというとラブソング寄りのイメージで。これから家族になって愛を育んで……という画が浮かんだので、大切な人に出会い、家族を作って、最期のお別れするときまでっていう壮大なストーリーになりました。普段からいろんなフレーズをノートに書き留めてるんですが、その中から言葉を選んだり、プロデューサーとも話し合ったりしながら作りました。
──とても壮大なスケールの内容になりましたね。
山口 ラブソングは今までけっこう作ってきたんですけど、ここまではなかなか踏み込めなかったので。未知の領域でしたね(笑)。
──花沢さんは、この歌詞を見たときどんな印象でした?
花沢 今の僕らが歌うから、しっくり来るところもあるのかなと。周りにはすでに結婚した人も多いですし、今こういうメッセージをChicago Poodleが歌うのは全然違和感がないなって。言葉も素直に入ってくるし、何より歌に感情を込めやすいですね。
辻本 僕はこの歌詞を見た瞬間にグッときて、これは歌うととんでもないことになるんじゃないか?と思いました。すでにライブでもやってて、1番の途中まで花沢の弾き語りなんですが、そこまででちょっと泣きそうになるんです。自分の演奏が始まるまではイチ観客として聴いてしまって、いつもウルウルしてます(笑)。
──PVもストーリー仕立ての泣ける作品になるとか。
辻本 歌詞からインスパイアされた物語を役者さんが演じてくださってるんですが、僕らも完成がすごく楽しみです。
山口 シナリオを見せてもらったら、まさかあの歌詞がこうなるとは……ってビックリしました。ぜひPVもあわせて楽しんでほしいです。
インプットしたものが自然と歌詞に出る
──辻本さんは今回の作詞作業で、意識した部分はありましたか?
辻本 さっき山口も言ってたんですけど、僕も歌詞を毎日少しずつでも書きためていて。今まで全然やってなかったんですが、最近は雑誌、漫画、テレビや映画などから気になる言葉をピックアップしていて、そこから得られたものも多い気はします。例えば「こういう言い回しや比喩表現があるんや!」っていう発見があったり。具体的にそれがどの部分に生きたかはわからないんですけど、そうやってインプットしたものは自然と歌詞に出てるんじゃないかなって。
──アウトプットするだけでなく、インプットの必要性も感じたと。
辻本 そうですね。あとプロデューサーに「自分がクサいとか恥ずかしいと思う言葉を花沢に歌わせるな」みたいなことを言われて。だからなるべく素直に、変な言い回しは避けようっていうのを意識するようになりました。僕が書いてても、歌うのは花沢なんで(笑)。
──ここまで山口さんと辻本さんに作詞のお話をいろいろ伺ってきましたが、そもそも花沢さんは曲ができたときに、どんなジャッジで2人に振り分けるんですか?
花沢 ひらめきと言いますか、この曲は山口っぽい、この曲は辻本っぽいっていうのがあるんですよね。それは明るいとか暗いじゃなくて、曲の響きの面で。自分でも不思議な感覚なんですけど、そういう曲とのフィーリングで決めてる感じがします。
山口 でもたまに、お互い行き詰まって交換することもあるんです(笑)。「どうあがいてもオレにこの歌詞は書けへん!」って。
辻本 あるなー(笑)。
山口 交換すると、だいたいはしっくり来ますね。
最新のシカゴプードルの形を伝えにいくツアーに
──タイトルの「3.0」は、どんな思いで付けたんですか?
山口 これはファンの方にいろんな解釈で受け取っていただいても面白いのかなって。
──3人組バンド、3rdアルバム……想像はいろいろ膨らみますが、正解はあるんですか?
花沢 ありますね。一応、ただの“3”ではないんで(笑)。
山口 実は最初「3」にしたんですけど、なんか面白くないなって思って。“.0”を付けて、まだまだ続いていきますよっていう意味も込めてみました。
──そんな「3.0」のリリースツアーのタイトルは「3.1」。これは?
山口 「3.0」の一歩先の「3.1」で、少しアップデートされたイメージです。パソコンとかでも、バージョンが上がると0.1が増えるじゃないですか? だからアルバムのアップデート形態がこのツアーになるんじゃないかと思います。いろいろアレンジとかも加わって。
花沢 来てくださる方に、最新のChicago Poodleの形を伝えにいくツアーにしたいですね。
辻本 本当に納得のいくいいアルバムが作れたので、まだ僕らの音楽に触れたことのない人の耳にも届くように、いろんなところでライブがしたいなって思います。
山口 実はこんなにいい季節にツアーするのは初めてなんですよ。だいたいいつも冬なので。たぶん、僕らのパワーもあり余ってると思うので(笑)、ぜひ期待しててほしいですね。
収録曲
- ともし灯
- More Soul Train
- 煌ランナー
- タカラモノ
- カクテルスケッチ
- ミスターベイベー
- おやすみ(仮)
- 雨のち太陽
- 退化論
- 1225 ~君がいたクリスマス~ ver3.0
- ツヨムシ
- ありふれた今日の特別な場面
Chicago Poodle(しかごぷーどる)
花沢耕太(Vo, Piano)、山口教仁(Dr)、辻本健司(B)の3人編成バンド。花沢が作曲、作詞を山口と辻本が手がける制作スタイル。1980年代の洋楽ポップスのエッセンスが感じられる懐かしくも切ないメロディと、リズム隊が織りなす都会的なアンサンブルで注目を集める。2009年3月にデビューシングル「ODYSSEY」、同年11月に1stアルバム「僕旅」をリリース。その後もコンスタントに作品を発表し、2011年11月には活動の集大成となるベストアルバム「HISTORY I」をリリースした。2013年4月24日、約2年半ぶりのオリジナルアルバム「3.0」を発売する。