ナタリー PowerPush - Chicago Poodle
1stフルアルバム「僕旅」完成 ピアノ3ピースが鳴らす美メロの秘密
今年3月にシングル「ODYSSEY」でメジャーデビューしたChicago Poodle。待望の1stアルバム「僕旅」は、読んで字のごとく、彼らがこれまで歩んできた“音楽の旅”を凝縮したような1枚だ。
彼らの魅力は、往年の洋楽ポップスに匹敵する上質な美メロサウンド。ピアノを軸に奏でられる、キラキラと優しいアンサンブルには、リスナーの心を癒し、勇気づけ、自然と笑顔に変える魔法がある。その効果は、きっと再生ボタンを押してからものの数分で実感できるはずだ。
取材・文/川倉由起子
ボーカルが作曲、リズム隊が作詞する変則スタイル
──11曲入りの1stアルバム「僕旅」は、発売日も11月11日と、1(ワン)づくしの1枚ですね。
花沢耕太 はい。僕ら「Chicago Poodle」というグループ名なので、やはり犬の鳴き声、“1(ワン)”に引っかけたいという思いがあって(笑)。今年の頭くらいにちょうど11月11日が(CD発売日の)水曜だと気付き、そこに向けて何か作品を出したいと考えていたんです。
──3年前、2006年にリリースしたインディーズ時代のフルアルバム「one」も、1月11日の発売でしたね。
辻本健司 はい、ワンという響きには過剰に反応するんです(笑)。
──なるほど(笑)。では、まず皆さんの制作スタイルについて聴かせてください。クレジットを見て、作詞をボーカルの花沢さんではなく、山口さんと辻本さんのリズム隊が担当しているのがまず珍しいなと思ったんですが。
山口教仁 そうですね。花沢はメロディを作ることに専念したいというか、あまり歌詞を書くのが得意じゃないらしくて(笑)。だったら僕ら2人が書こうという感じなんです。
花沢 以前、インディーズ時代に1曲作詞をしたことがあったんですが、完成するのに4カ月もかかってしまって。これは効率が悪いなということで作曲のほうに専念しようと思ったんです。そもそも作曲を始めたのは、子供の頃から親の影響でよく洋楽を聴いてて、メロディがすごく心に入ってくる感じがあって。そういう音楽を自分で作ってみたいという想いが強かったんです。
──山口さんと辻本さんは、最初からすんなり作詞ができましたか?
山口 いや、僕はこのバンドに入るまで作詞をしたことがなかったんで、最初はとにかくがむしゃらに思うがまま書いてましたね。壁にぶつかることもありますが、今はいろんな人の歌詞を見たりして、勉強しながらやってます。
辻本 僕は高校時代から授業中によく詞を書いてて。Chicago Poodleに入る前も自分で作詞作曲をしたりしていたので、そのときの経験も活かしながら書いています。
普段は絶対言わないようなクサい言葉も歌詞ならでは
──今作「僕旅」はいつ頃から制作を始めていたんですか?
花沢 結構まばらなんですけど、去年の後半くらいからずっと曲をためてまして。その頃の曲もあれば、つい最近できた曲までいろいろあります。
──イチオシ曲「ハレルヤ」は、辻本さんの作詞ですね。好きな相手への情熱的でストレートな想いがよく伝わってきます。
辻本 まず曲を聴いたときに「元気になれる明るい曲やな」って感じて。なので、思い切って普段は言わないようなクサい歌詞でもいいんじゃないかと。溢れる想いを表現したラブソングのイメージで書いてみました。
──「何回も何十回も何百回も何千回も」っていうサビはグッときますね。
辻本 普段は絶対言えない言葉だけど、歌だからこそ歌えると思うんです。例えば、好きな人と一緒にカラオケに行ったときとか、結婚10周年を迎えたご夫婦とか……そういう使用方法もございます(笑)。
──花沢さんはこの歌詞を初めて見たとき、どう思いました?
花沢 曲調も明るい感じやし、辻本らしいなって思いました。歌ってても気持ち良かったし、サビの歌詞にはかなり感情移入できましたね。
Chicago Poodle(しかごぷーどる)
2000年4月結成。幾度かのメンバーチェンジを経て、花沢耕太(Vo, Pf)、山口教仁(Dr)、辻本健司(B)の3人編成に固まる。全曲を花沢が作曲、作詞を山口と辻本が手がける制作スタイル。1980年代の洋楽ポップスのエッセンスを感じられる、懐かしくも切ないメロディと、リズム隊が織りなす都会的なアンサンブルで注目を集める。2009年3月にデビューシングル「ODYSSEY」をリリース。その後7月に2ndシングル「ナツメロ」、10月に3rdシングル「さよならベイベー」を発売し、いずれも全国のFM局にてパワープレイを獲得。現在着実に支持を獲得してきている。