超特急「クレッシェンド」インタビュー|だんだん強く、広がり続けるために 駆け抜けた10年を抱きしめ示す、超特急の進化の証明 (3/4)

超特急が好きな人ならより深く感じ取れるものに

──ここからは新曲「クレッシェンド」の話を。TBS系ドラマ「理想ノカレシ」のオープニング主題歌としてオンエアされているこの曲は「ありがとう」の思いが込められたさわやかなナンバーですが、どういった経緯でこのような曲に仕上がったのですか?

タカシ 12月25日の結成記念日、8月8日の“8号車の日”と、僕たちは昔から記念日を大事にしているけれど、今年の6月10日はCDデビュー10周年なのでやっぱり特別だよなと。もしかしたら5人体制最後の曲になるかもしれないという思いもありつつ、日々応援してくれている8号車に感謝を伝えられるような楽曲を届けられたらいいなという気持ちから「クレッシェンド」が生まれた感じです。ジャンルで言うとJ-POPだけど、どこかつかみどころのないイレギュラーなメロディ展開もあって、僕たちらしさが出ているなと思う。歌詞はストレートに感謝を伝えています。

カイ 上がってきた歌詞に対して「ここはこういうメッセージのほうがいいんじゃないか」という意見があるメンバーはそれを伝えて……というやりとりを経て、歌詞を仕上げてもらったんです。タカシはダンサーメンバーよりも一歩踏み込んで、ワードを提案したりとかね。

タカシ そうやね。最初にもらった歌詞も素敵なものだったんですけど、デビュー10周年を迎える僕たちだからこその要素がもっと感じられたらなと思ったので、自分が“超特急らしさ”を加えられたらと思って。例えば「忘れない あの約束」というフレーズは、東京ドームに立つ夢や、言葉にしなくともわかる僕らと8号車との約束のことを言っていたり。

──なるほど。

タカシ あとは、言っちゃえば僕らの体制のことを……形が変わったとしても僕たちは変わらないよという思いを込めてみたりとか。「線路」と書いて「みち」と読むところも、こちらから提案したものですね。タイアップとの兼ね合いがあったのでどこまで僕らの意見を入れ込めるかわからない部分もあったけど、思った以上に反映できました。

──タカシさんのほかにリクエストを伝えた人は?

カイ 今、歌い出しは「キセキ」になっているけど、当初は……「涙」だったっけ?

タカシ そう、涙。

カイ ここは意見を伝えさせていただきました。「ありがとう」を伝える歌が「涙」から始まるのはどうなんだろう?と……流れで見たらそんなに気にならないかもしれないけど、もうちょっとポジティブな言葉から始まったほうがいいんじゃないかと思ったんですよね。あとはタカシも少し言ってくれたように、聴く人が聴いたら「これは超特急のことだな」とわかる部分を作ってほしいというところですかね。1番はドラマに寄せた作りになっているけど、2番は超特急が好きな人ならより深く感じ取れるものになっているんじゃないかなと思います。

タカシ あと、サビで「ありがとうのクレッシェンド」って繰り返すじゃないですか。当初はラストサビまで「クレッシェンド」で通す作りだったんですけど、「クレッシェンドだけで終わるのもな」と、自分で「クレッシェンド」の韻にハマる言葉を探して、1カ所だけ「ありがとうのプレゼント」に変えてもらったり……。

タクヤの撮影会の様子。

タクヤの撮影会の様子。

リョウガ へえ、そこタカシが考えたの? すごいね。

タカシ そうやねん。ラストサビで変化を起こしたくて「こんなのどうですか?」と聞いたら、意外とすんなり。

リョウガ いや、ここ面白いなと思ってた。

カイ ふーん……おもしれー男。

タクヤ 「コンセント」じゃダメなの?

タカシ コ、コンセントか。その発想はなかったわ。(メロディに乗せて)ありがとうのコンセントー……。

リョウガ だっさ!(笑)

ユーキ じゃあ、50セント……。

リョウガ それじゃラップになっちゃうから(笑)。

「ありがとう」をしっかりみんなに伝えよう

──サビのキーが高く、ほとんどファルセットで歌い切っているのもすごく特徴的だなと思いました。

タカシ 僕も新鮮だなと思いました。ファルセットを使う曲はけっこうあるけど、今回みたいなアッパーめの曲で使うことはあまりなかったので。だから、昔の洋楽のアーティストを頭の中でイメージしながら歌ってみたんですよ。Earth, Wind & Fireとか、Maroon5とか。「クレッシェンド」にはファンクっぽいテイストもあるし、雰囲気が合うんじゃないかなって。そういうベースを頭の中で作ったらやりやすかったし、歌っていて楽しかったです。

──ファルセットボイスはタカシさんの大きな持ち味の1つだと思いますし、本当にタカシさんだけのためにオーダーメイドで作られた曲なんだなという印象を受けました。

タカシ ああ、本当ですか。

タクヤ タカシの成長を感じられる曲だってことですよね。(タカシを見て)さすが。

──歌入れの際には、どんなことを意識していましたか?

タカシ 声が重たくならないように意識しました。レコーディングブースは閉鎖的でどうしても気持ちを上げにくい部分があるんですけど、頭の中では自分が晴れやかな気持ちになれるときのこと……めちゃくちゃ天気のいい日や野外ライブをイメージして、気持ちを上げていましたね。あと、Bメロは特に“切実感”を大事にしました。「ありがとう」をしっかりみんなに伝えようと。僕がよくイメージしているのは、しゃべりながら歌う感覚……これすごい大事だと思っていて。ファルセットを使う歌い方って“しゃべる”感じではないと思うんですけど、伝わり方は自分の気持ちひとつでかなり変わるんですよ。それは意識していたかなと思います。

超特急

超特急

超特急

超特急

ポール・スミスで現場来て、ポール・スミスに着替えてる

──ちなみに、振り付けはもう済んでいるんですか?

カイ まだです。今回はユーキが作るんですけど……。

ユーキ まだ0です!

リョウガ すがすがしいな(笑)。

ユーキ さっきの話で言うと、僕も歌詞について意見を伝えたんですよ。サビの「ありがとうのクレッシェンド」という部分、最初は違ったんです。もっとオシャンティーな感じで……。

タカシ 「限界からのクレッシェンド」やったっけな。

ユーキ そうそう。なんだか小難しいなと感じてしまったので正直に伝えたら、めちゃくちゃストレートな「ありがとうのクレッシェンド」に変更になったんです。僕ららしい伝え方になってよかったなとは思っているんですけど、歌ってもないのに大口叩いちゃったから、振り付けでしっかりと返せるようにがんばらなきゃって……今、プレッシャーに押し潰されそうです(笑)。

リョウガ あはは。正直だなあ(笑)。

──では、ミュージックビデオも撮影はこれから?

ユーキ そうですね。これからなんですけど、わりかし近々で撮るんですよ。

タカシ MVにもこの衣装が登場します。

カイ 僕が衣装を担当させてもらったんですけど、今日着ている服がMVで着る2パターンのうちの1つで。

──そうだったんですね。なんだか、皆さんそれぞれの私服みたいだなと思っていました。

カイ それ、一番の褒め言葉! 実際私服のように見せたくて、みんなが普段着ているブランドを選んだり、テイストを寄せたりしたんです。

──ということは、リョウガさんの衣装は愛用されているポール・スミス……?

リョウガ (うなずく)

カイ ポール・スミスで現場来て、ポール・スミスに着替えてるの、この人。

ユーキ (ボソッと)ポール・スミ男……。

タクヤとタカシのフォトセッションと、それを見るユーキ(右)。

タクヤとタカシのフォトセッションと、それを見るユーキ(右)。

──なぜそのような趣向に?

カイ この記事が出る頃には公開されていると思うけど、今回のMVは僕たちが過去の映像や「クレッシェンド」のパフォーマンス映像を映画館で観ているという内容なんです。だから、観ている側の自分たちはできるだけ等身大の姿にしたくて。

──そうなんですね。カイさん、以前はMVの制作にも携わっていましたが、今回は?

カイ 全部まるっとではないのですが、少しアイデア出しをさせてもらっています。映画館に入ってくる5人の順番とかには意味を持たせてこだわりたいなと思っていますね。楽しみにしていてください。