BRADIO「THE VOLCANOES」インタビュー|火山のように沸き立つバンドのパッション (3/3)

“孤独な男の歌詞”が優しくなった理由

──3曲目に収録されている書き下ろしの新曲「Frisbee」は、どういう経緯で作られたんですか?

大山 EPを配信するにあたって、既発の4曲と新曲の「THE VOLCANOES」は入れることが決まっていたんですが、できればもう1曲書き下ろし曲を入れたいという思いは制作初期からあって。「THE VOLCANOES」の歌詞がちょうど軌道に乗ったくらいのタイミングのときに、間に合えば入れるつもりで作り始めたのが「Frisbee」ですね。

真行寺 デモはたくさん上がってくるんですけど、歌詞を生み出すのに苦労するバンドなので、僕のところで止まっている作業がいくつかあるんですよ(笑)。「THE VOLCANOES」で苦戦した分、もう1曲作れるかは半ば賭けになるようなタイミングだったんですが、そこで届いたのが「Frisbee」のデモですね。

大山 貴秋さんが作詞で詰まらないように、トラックもなるべくシンプルにというか軽やかにしようとは意識していました。「Frisbee」はいい意味であまり頭を使わずに生み出した曲なんですよ。もし半年かけて作っていたら、最終的によくわからなくなってリリースされない曲になってしまうような気がするんです(笑)。

真行寺 歌詞も同じで、思ったことをシンプルに書いた形ですね。「トロフィー」「瞬き羽ばたき、故に繋がり」もあまり考えすぎずに書けた詞だと思います。今回はそれがよかったとも感じていますね。

──今作の歌詞は特に聴き手の背中を押すメッセージであふれていますよね。

真行寺 そうですね。歌詞は自分に返ってくるものですから。僕自身がBRADIOの音楽に励まされるんですよ(笑)。

大山 貴秋さんにはバンドが始まった頃から歌詞をずっと書いてもらっているんですが、一貫して“孤独な男の歌詞”というのは変わらない。その軸がありながら、曲によっては言葉遊びにチャレンジしてくれたり、ここ数年は盛り上がるだけじゃなくて聴く人に寄り添う、背中を押すメッセージ性のある歌詞も増えてきた。おそらくですが、僕らも歳を取って、20代の頃に見ていたものと30代になって見えてきたものが違うんだと思います。でも、好きなことを好きなように歌ってくれるので、僕らが安心して曲を任せられるというのは昔から変わらないですね。

──これまで真行寺さんはライブで盛り上がる歌詞を書くのが得意な印象が強かったんですが、今作では苦戦している人、悩んでいる人の背中を押すような優しさを感じさせる歌詞が多い印象を持ちました。

真行寺 そこに関しては意識して書いたところもあります。滅入っている人、くたばっている人の気持ちをわかりたいと思うし、「THE VOLCANOES」の歌詞に行き詰まったときに「優しさだけじゃ生きていけない」と言われる世の中で優しさだけで生きていきたい感覚になって。だから歌詞を読んで「優しい」と感じてくれたことは素直にうれしいですね。

BRADIO

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好きなことを好きにやる難しさ

──新作を携えたツアーも決まっていますし、2022年は充実した1年になりそうな走り出しですね。

真行寺 「THE VOLCANOES」で僕らが示したいのは「これから」があることなんですよね。ツアーを皮切りにいろんなことをみんなと一緒に楽しめたらいいなと思っています。

大山 自粛期間があって、僕らも自分を見つめ直す時間が増えた。そこで感じたのが「やりたいことをやる」というのが本当に難しいということで。「好きにやってください」と言われたときに僕らは何ができるのか、何がしたいのか。それを改めて見つめながら今僕らのやりたいBRADIOの音楽を、2022年はしっかりライブでも届けられる1年になるといいなと思っています。

酒井 いろいろあったけどカッコいい歳の取り方をしたいよね。

大山 新衣装も今回それぞれ好きな色や形を選んでいるんですよ。こういうときに僕らの強さが試されているときですから、僕らの「好き」がどのくらい通用するのか、改めて勝負する1年にしたいですね。

BRADIO

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ツアー情報

BRADIO THE VOLCANOES Release tour 2022

  • 2022年2月26日(土)石川県 金沢EIGHT HALL
  • 2022年2月27日(日)長野県 NAGANO CLUB JUNK BOX
  • 2022年3月2日(水)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2022年3月5日(土)静岡県 LiveHouse 浜松 窓枠
  • 2022年3月6日(日)大阪府 Zepp Osaka Bayside
  • 2022年3月11日(金)北海道 Zepp Sapporo
  • 2022年3月13日(日)宮城県 仙台Rensa
  • 2022年3月20日(日)岡山県 CRAZYMAMA KINGDOM
  • 2022年3月21日(月・祝)福岡県 Zepp Fukuoka
  • 2022年4月2日(土)広島県 広島CLUB QUATTRO
  • 2022年4月3日(日)香川県 高松MONSTER
  • 2022年4月7日(木)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)
  • 2022年4月8日(金)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)

プロフィール

BRADIO(ブラディオ)

真行寺貴秋(Vo)、大山聡一(G)、酒井亮輔(B)の3人からなる“日常に彩りを加えるエンターテインメント”をコンセプトに活動するロックバンド。多彩なビートを生み出すリズム隊を軸にしたサウンドや、シャウトやファルセットを使い分ける個性的なボーカルが話題を呼ぶ。2017年10月にシングル「LA PA PARADISE」をリリースし、WARNER MUSICよりメジャーデビューを果たした。2020年12月には神奈川・パシフィコ横浜にて10周年記念ライブ「LET'S THE HONKI DO THE FUNKY」を開催。2021年4月にはメジャー2ndアルバム「Joyful Style」を発表した。2022年2月に新作音源「THE VOLCANOES」をリリースし、2月から4月にかけて全国ツアー「THE VOLCANOES Release tour 2022」を開催する。