ナタリー PowerPush - BoA

オンリーワン歌姫が明かす“今の私”

BoAがデビュー10周年を記念したDVDシングル「Milestone」以来、約1年2カ月ぶりとなるシングル「Only One」を日本でリリースした。自ら作詞作曲を手がけたこのナンバーは、26歳になった彼女が等身大の視点で切なくも前向きな恋の別れを描いたラブソング。昨年夏に韓国で発売したアルバム「Only One」のタイトル曲に本人が日本語詞を付けたものだ。

今回は新曲が生まれた背景や、スターが抱える喜びと重圧を歌った本人作詞のカップリング曲「The Shadow」に込めた思いを中心にインタビュー。10周年を経て、大人の女性へと成長した彼女の心境の変化にも迫った。

取材・文 / 猪又孝

ナチュラルな感じのものを作りたかったんです

──「Only One」は昨年夏に韓国で出したアルバム「Only One」のタイトル曲でした。そもそもこのアルバムはどんなものを目指して作っていたんですか?

BoA

前作「Hurricane Venus」までは闘う強い女性っていうイメージがあったと思うんですけど、もうちょっとナチュラルな感じのものを作りたかったんです。今、エレクトロが流行ってるけど、実際に長く残る曲って歌詞がよくていいメロディを持っているもの。純粋に曲にパワーがあるものだと思ってるんですね。

──そういう楽曲はエバーグリーンな魅力を放つと。

そう、まさにエバーグリーンなものをって。ポップというジャンルにフォーカスしていい曲を作りましょうっていうのが合い言葉。派手さとか、パフォーマンス重視の曲っていうよりも、普通に聴いて素直にいいって言える、そういう曲が集まったアルバムを作りたかったんです。

──ジャケットのビジュアルワークも「Hurricane Venus」のデコラティブな衣装から一変しましたしね。

ぜんぜん別人ですよね。今思うと、アレは怖い(笑)。

──でも、なぜナチュラルな感じを志向するようになったんですか?

たぶんそれは韓国で「K-POP STAR」というオーディション番組の審査員をやってた影響がすごくあったと思うんです(※2011年12月から2012年4月までのシーズン1で審査員を担当。昨年12月からのシーズン2でも審査員を務めている)。それでいろんな人が私に興味を持ち始めて……。私がすごくシンプルなメイクで座ってしゃべるところを韓国の人は初めて見たと思うんですよね。

──それまでテレビで見るのは「アーティストBoA」だけだった?

そう。これまではステージ映えするメイクが多かったから、実際、「BoAってあんな顔してたんだ」っていう感想も多かったし、そういうBoAを見て新鮮に思ってくれる方も多かったし。で、自分も今の年齢になって、ワザとカッコよく見せるよりもそういうイメージのほうがいいかなって。カッコよさっていうのはパフォーマンスを見る人が決めることだなって思ったんです。自分がカッコよく見えるために、無理やりメイクしたり、必要以上に着飾ったりしないほうが今はいいかなって。

マネージャー そもそも、これまで長い間バラエティを封印してたんですよ、本人が。

──そのためBoAさんの素みたいな部分が番組を通じて一気に多くの人に伝わったと。テレビでトークするのは新曲のプロモーションぐらいだったんですか?

ですね。そういうインタビューくらい。だから、デビューしてから12年、だいぶもったいぶったんです(笑)。逆にそれがよかったのかもしれない。ちょこちょこ出てたら、ここまで騒ぎにならなかったかも。

歌詞と一緒にメロディが出てきた

──そんな中、「Only One」という楽曲はどんなふうに作っていったんですか?

これを書いたのは去年の2月くらいですね。毎週「K-POP STAR」の生放送があるから長期でどこかに行けないし、生放送だから体調を崩しちゃいけないし、家にいる時間が多かったんです。で、時間があるから曲でも書いてみよっかなっていう、すごい軽い気持ちで取りかかったんです。いつか自分でメロディのきれいな曲を作ってみたいっていう気持ちはあったんですけど、そう思って作っていったら「あ、これ、いいかも」って。で、編曲してくれたキムさんは友達なので、「これをアレンジしてもらえる?」ってお願いしたんです。

──メロディは鼻歌で作ったんですか?

これは歌詞と一緒に出てきたんです。トラックは自分で作って、ドラムとエレクトリックピアノのフレーズとストリングスを入れて。そこにメロディラインを録音して、このイメージがもっと広がるようにアレンジをお願いして。

──美しいメロディの曲ですが、ビートも効いてますよね。「踊る曲」っていうイメージは最初からあったんですか?

踊るイメージよりも、気持ちよく聴ける曲が作りたいと思ってたんです。あとコーラスがきれいに乗るイメージ。いろんなコーラスのラインがかぶって、ふわっとする感じが欲しいなって。

ニューシングル「Only One」 / 2013年2月27日発売 avex trax
CD+DVD盤 [CD+DVD] 2100円 / AVCK-79085/B
CD盤 [CD] 1050円 / AVCK-79086
CD収録曲
  1. Only One
  2. The Shadow
  3. Only One(INST)
  4. The Shadow(INST)
DVD収録内容
  • Only One(ビデオクリップ)
  • The Shadow(ビデオクリップ)
  • Only One(メイキング映像)
  • The Shadow(メイキング映像)
BoA(ぼあ)

1986年生まれ、韓国出身の女性シンガー。2000年8月に韓国で歌手デビューを果たし、翌2001年5月にはシングル「ID; Peace B」で日本デビュー。2002年1月発売の4thシングル「LISTEN TO MY HEART」でブレイクして日本でもトップスターの仲間入りを果たす。その後も「VALENTI」「奇蹟 / NO.1」「JEWEL SONG」「Shine We Are!」「メリクリ」「Everlasting」など多くのヒット作を送り出し、2009年3月にはベストアルバムと全米デビューアルバムを1つにした“2in1”アルバム「BEST & USA」を発表。現在は韓国や日本のみならず、中国や台湾などのアジア諸国やアメリカなどでも積極的に活動を行っており、2013年2月に日本では約1年2カ月ぶりとなる新曲「Only One」をリリースする。