Blur「The Ballad of Darren」リリース記念|著名人10人によるプレイリスト&コメント (2/2)

西寺郷太(NONA REEVES)

西寺郷太

テーマ:「90's ナインティーズ」のサウンドトラック、象徴的存在としてのBlur

Blur楽曲との最初の出会いは1993年。僕が上京して2年目の大学2年生の春のおわりのことだ。音楽サークルに加入してきた1年生の女子4人で組んだバンドが荒削りだがクールで楽曲もカッコよく、とくに演奏した1曲に衝撃を受けたのだが、彼女たちからそれがリリースされたばかりの2ndアルバム収録の「Advert」のコピーだと教えてもらった。すぐに僕もCDを買いに走る。初期Blurのアルバムの歌詞カードにはギターコードが記されていたので自分もコードをたどってみると、シンプルでありながら彼ら流のヒネりが加えられた奇想天外な展開に驚き心酔。

1995年になると下北沢のライブハウスに通い詰めるようになった僕を待っていたのが、DJが毎晩大音量で響かせるBlurやOasis、いわゆるブリットポップ、ギターポップのビッグウェーブ。部屋やヘッドフォンでCDで聴くというより、どうしてもライブハウスやクラブで仲間たちと浴びた思い出が多いのでシングル中心のベスト盤みたいな選曲になってしまったが、自分にとってBlurは20代前半のサウンドトラックなのでこの10曲の素直すぎる選曲に嘘はつけない。

プロフィール

西寺郷太(ニシデラゴウタ)

1973年生まれ、NONA REEVESのボーカリストとして活躍する一方、他アーティストのプロデュースや楽曲提供も多数行っている。2020年7月には2ndソロアルバム「Funkvision」、2021年9月にはバンドでアルバム「Discography」をリリースした。文筆家としても活躍し、著書は「新しい『マイケル・ジャクソン』の教科書」「プリンス論」「伝わるノートマジック」「90's ナインティーズ」など。近年では1980年代音楽の伝承者としてテレビやラジオ番組などに多数出演している。2023年3月、3rdソロアルバム「Sunset Rain」リリース。

ハリー杉山

ハリー杉山

テーマ:休日のロンドンの公園で聴きたいBlur

僕がイギリスに渡った1996年。ブリットポップ全盛期のとき、どこへ行こうとOasis? Blur?あなたはどっちなのと聞かれたあの日々。絶妙にキャッチーなのに唯一無二なカッコよさを持ち、社会を深く掘り下げる彼らは社会現象になりました。特に「Song 2」はまさにアンセム、聴くとどんな時代でもやる気が点火します。先日はロンドンマラソンを走りながら37km地点で諦めそうなときにしぶとく闘うスイッチをon! 名曲の証です。

プロフィール

ハリー杉山(ハリースギヤマ)

1985年1月20日生まれ、東京都出身。英国人の父、日本人の母を持つ。11歳で渡英後、英国最古のパブリックスクール・ウィンチェスターカレッジに入学し、ロンドン大学に進む。フジテレビ系「ノンストップ!」、テレビ東京「東京GOOD!」、NHK BS1「ランスマ倶楽部」などにレギュラー出演中。俳優としては連続テレビ小説「まんぷく」「カムカムエヴリバディ」などに出演した。

ホリエアツシ(ストレイテナー)

ホリエアツシ

テーマ:Blurのバラード

初めてBlurに出会ったのは高校時代、長崎ローカルのラジオ洋楽チャート番組から流れてきた「Charmless Man」だった。
それが、僕が90年代後期のUKロックに没頭していく入り口だったのかも知れない。
捻くれたポップセンスも魅力だが、独特なコード感とアンサンブルで、憂いを感じさせるバラードが好きだった。
新作のタイトルが「The Ballad of Darren」
ということで、好きなスロー~ミドルテンポのナンバーでプレイリストを作ってみました。

プロフィール

ホリエアツシ

ストレイテナーのボーカル、ギター、ピアノを担当し、ほとんどの楽曲の作詞作曲を手がける。今年2023年に結成25周年、メジャーデビュー20周年のアニバーサリーイヤーを迎え、2023年5月には最新曲「246」を配信リリースした。今秋にはベストアルバム(タイトル未定)のリリースし、10月15日には10年ぶりの日本武道館でのワンマンライブが決定している。

やついいちろう(エレキコミック)

やついいちろう

テーマ:ライブで必ず観たい好きなシングル曲10選

Blurのライブを最初に観たのは渋谷O-EAST。2ndアルバムの「Modern Life Is Rubbish」を渋谷のCISCOで試聴してあまりのよさに即買い。そのアルバムのツアーで東京に来たときでした。このあとの3rdアルバム「Parklife」で大ブレイクする前夜だったんでこの規模のライブハウスで観れたのは一生の思い出です。めちゃよかったなー。モッシュが起きてて、そこに突っ込んでかなり前の方で観たのを思い出します。この日のためにPUMAのスニーカーを買って、FRED PERRYのポロシャツで行ったなー。当時アメリカはNirvana、イギリスはBlurを代表にした新しいカルチャーが起きててそれが気持ちよかった! あえてイギリスのバンド感を色濃く出す感じ。ここからThe Kinksとか改めて聴いたり。日本ではサニーデイ・サービスが出て来てはっぴいえんどを改めて聴き出す流れが出てきたりして、Blurのやり方の日本版だと感じたりしてました。大好き! 今回はライブで必ず観たい好きなシングルを選曲しました。聴いてるだけでテンション上がる! また小さいライブハウスで観たいけどもう無理だろうな。とにかくライブ楽しみだー!

プロフィール

やついいちろう

1997年にお笑いコンビ・エレキコミックを結成。2010年に「NHK新人演芸大賞」演芸部門大賞を受賞し、TBS「キングオブコント」の決勝に進出。敬愛する曽我部恵一の勧めでDJ活動を始め、現在までに8枚のミックスCDをリリースしている。また「YATSUI FESTIVAL!」のオーガナイザーも務める。著書に「それこそ青春というやつなのだろうな」「うちの犬がおじいちゃんになっちゃった」がある。

ラブリーサマーちゃん

ラブリーサマーちゃん

テーマ:めちゃくちゃ聴いたBlur

この企画に際してBlurを聴き返す。Blurの曲を聴いていくごとに自分に与えられた衝撃がよみがえる。そしてBlurが表現してきたことの幅の広さとその完成度に改めて驚いた。
初めてBlurの曲を聴いたのはthe brilliant greenのカバーする「Song 2」だった。原曲をYouTubeで聴いて、「音楽と映像でこんなに爆発できるんだ」と思った。すべてが完璧な曲であまりにもクールだった。
すぐにCD屋に行った。「Song 2」が入っているCDはなく、「The Great Escape」を買った。「Country House」を聴いたとき「自分が思い描いてる英国らしさってこういうやつ!」と思った。でも当時の自分には「The Great Escape」は渋かった。その後「Parklife」と「Leisure」を買った。こんなにポップでキャッチーなバンドなんだと思い、耳馴染みのよさから聴きまくった。そうしているうちに、Blurが孕んでいる自由さと、主にグレアムが醸し出すいびつさに気付き、そこから自分はBlurが大好きになった。
Blurは確かにものすごく英国的だと思う。でも金太郎飴的にフォーマット化されたブリットポップらしさからBlurはどれだけ逸脱してきただろう。パンクでローファイでグランジでディスコでシューゲイザーで。Blurには、いい匂いのするほうへフラッと行ってしまう自由さと、それをすべて名曲にしてしまう腕がある。
大好きなバンドが初めてリアルタイムでアルバムをリリースし、来日公演をやってくれる。Blurの新曲を聴けた。こんな幸せなことがあるだろうか。「The Narcissist」の歌詞を見て、「ひさしぶりにBlurを動かす人が書く歌詞すぎる!」と感動した。
Blurは素晴らしいバンド。新しいアルバムにもきっと、自分の想像を超える何かがあって、驚かせてくれるに決まっている。Blurおかえりなさい! はじめまして!

プロフィール

ラブリーサマーちゃん

1995年生まれ、東京都在住のシンガーソングライター。2013年夏に自宅での音楽制作を開始し、インターネットに音源を公開。SoundCloudやTwitterなどで話題を呼んだ。2015年に1stアルバム「#ラブリーミュージック」、2016年11月にはメジャーデビューアルバム「LSC」をリリースし好評を博す。2020年9月に3rdアルバム「THE THIRD SUMMER OF LOVE」を発表。2023年8月5日に大阪・ユニバース、9月8日に東京・東京キネマ倶楽部で主催イベント「LOVELY SUMMER SONIC 2023」を開催する。


Blur

プロフィール

Blur(ブラー)

1989年にFood / EMIレコードとサイン契約を交わし、1991年に「Leisure」でデビューを飾る。1993年発表の2ndアルバム「Modern Life Is Rubbish」、1994年発表の3rdアルバム「Parklife」のリリースを経てブリットポップ / UKロックの旗手としてシーンを牽引するバンドへと成長。アルバム「Parklife」は全英チャート1位を記録した。その後はブリットポップの音域に磨きをかけた「The Great Escape」、ノイジーなインディギターロックをかき鳴らす「Blur」、ウィリアム・オービットが参加し、オーガニックなポップと最新技術を組み合わせた「13」、そしてグレアム・コクソンがバンドを脱退し、3ピースバンドとして発表した「Think Tank」まで5作連続で全英1位を記録する快挙を成し遂げた。2009年の再結成以降は世界各国のフェスティバルへのヘッドライン出演や、デビュー21周年を記念するボックスセット「BLUR 21 BOX」の発売、キャリアのすべてを網羅したドキュメンタリー映画「No Distance Left To Run」の公開など精力的な活動を展開。2012年にイギリス・ロンドンのハイド・パークで行ったライブのチケットは完売。同年にはロンドンオリンピックの閉会式に参加した。2014年には約10年ぶりとなる来日公演を開催。2023年7月に約8年ぶりとなるオリジナルアルバム「The Ballad of Darren」を発表した。8月19、20日に千葉・ZOZOマリンスタジアム&幕張メッセと大阪・舞洲SONIC PARK(舞洲スポーツアイランド)で行われる音楽フェスティバル「SUMMER SONIC 2023」ではヘッドライナーを務める。