音楽ナタリー PowerPush - BLUE ENCOUNT
もっと光を届けるために
妬み、嫉みをポップに書けた
──シングルのカップリング曲についても聞かせてください。まず2曲目の「ワナビィ」はダンサブルなアレンジが印象的なナンバーですね。
田邊 「もっと光を」をシングルとして出そうという話になったあと、カップリング用に作った新曲ですね。歌詞に関しては、自分自身の体験がもとになってます。2011年くらいかな? 客もいない、金もないっていう時期の……。
高村 僕らが一番クサってた時期ですね(笑)。
田邊 妬み、嫉みがすごくて。ちょっとでも客がいるバンドがいると、必ず悪く言ってましたから(笑)。
──最悪ですね(笑)。
田邊 ホントに最悪なんですよ。酒を飲んで、「あんなの全然いい曲じゃねえよ」って言ったりして。当時はバイトしてたんですけど、そこでも周りに「俺はすぐ売れるから」とか言ってたんですよね。で、そういう自分をサムいと思っていて──そのときの経験をようやくポップに書けるようになったんですよね。
──過去の自分たちを肯定できたのかも。
田邊 そうですね。あと、とことん騒げる曲っていうのもやってみたかったんですよね。アレンジとか構成は今まで通り、スタジオでバッと作ったんですけど。ウチら緻密に作るってことができないよね。
高村 そうだね。とりあえず詰め込めるだけ詰め込んで、そのあと「ここはいらないか」みたいな感じで作ってるので。
田邊 その場で一気に作らないと気が済まないんですよね。あと「MEMENTO」が作れたことも、すごく自信になったんですよ。あれだけブッ飛んでいて、パンチのある構成の曲が作れたっていう。
何も考えずに走りまくりたい
──3曲目の「LIFE」は洋楽テイストのミディアムバラード。これ、いい曲ですよね。
田邊 お、ありがとうございます。実はこれ、構想3年くらいなんですよ。
江口 3年以上だね。
辻村 だいぶ寝かせてたから。
──どうしてそんなに時間がかかったんですか?
高村 やりたいけどできなかったんです。
江口 バンドでやるより、田邊が1人でやったほうが世界観が出たりね。
辻村 そうなったら、4人でやってる意味がないですからね。
──細かいニュアンスや表現力が求められる曲ですよね、きっと。
田邊 そうなんですよ。3年間で蓄積したもの、勉強してきたことを踏まえて、満を持してやってみようということになって。USバンドのバラードもかなり聴き込みましたけど、そういったテイストのサウンドにちゃんとブルエンの軌跡も加えられたんじゃないかなって。
──試行錯誤を繰り返す中で、バンド全体の力もしっかり付いてきたってことですよね。
田邊 いやー、どうですかね。まだまだだと思いますけど。
辻村 少しずつ、一歩一歩です。
──でもそろそろ飛躍しないといけない時期じゃないですか? 「もっと光を」によって、さらに勢いも増すだろうし。
田邊 できれば今年は何も考えずに走りまくりたいんですよね。もっともっと衝動的に曲を作りたいし。フルアルバムを作るっていう目標もあるんですが、1曲1曲、誰が聴いても「ヤバい」というものをそろえたいんですよ。オール新曲で、すべてシングルにできるような。ライブに関しても、もっと悩んで……。
高村 うん。
──まだ悩みますか(笑)。「考えすぎかも」って思ったりしませんか?
高村 例えば辻村に「考えすぎじゃない?」って言われることはあるけど、自分でそう思うことはないですね。
辻村 そう言いながら、俺もまだ考え足りないと思うことはあるけどね。
高村 「もっと考えなきゃ」とか。
田邊 ……不器用なバンドですね。
──確かに器用ではないですね。
田邊 人に委ねることも必要なんだろうけど、自分たちでやってみないと納得できないんですよ。
高村 そうそう、その通り! 全力疾走してるつもりだけど、無駄足も多いかも。
田邊 もうちょっと冷静にならないといけないかも……って、今思いました(笑)。でも、この感じは変えられないですね。結成から11年間、ずっとこういう感じでやってるので。
──しんどいことも多いかもしれませんけど、バンドを続けていく中で「最高に楽しい」と思う瞬間もあるでしょ?
田邊 うん、もちろん。こういう取材もめっちゃ楽しいですし、音楽だけを生業にして生きていられる状況も大事にしたいし。メジャーデビューするときにいろんな人から「大変だよ」って言われたんだけど、その大変さを楽しめてるんじゃないかなって。ちょうど昨日、先月の交通費をまとめてたんですけど(笑)、「こんなスケジュールで動いてたのか!?ってビックリしたんです。昔だったら、根を上げてたと思うんですよ。そのときに改めて「音楽に携わることが全然苦じゃないんだな」と思って。
高村 生きてるのが楽しいですからね、今。
──それ人間にとって究極の状態じゃないですか。
高村 家に1人でいるときも、「音楽で生活できるって、すごくうれしいことだな」って思うんですよ。
江口 わかるわかる。「ちゃんと一人暮らしできてる」って(笑)。
田邊 あと、時間がもったいないと思うようになりましたね。家にいると「早くスタジオに入りたい」って思ったり。今年の1月は、(自由になる)時間がかなりあるんですよ。この間に新作の制作も進めたいな、と。
辻村 今は吸収する時期だと思うんですよね。いいことも悪いことも含めて、その経験を次につなげていく年になるのではないでしょうか。
江口 その通りだけど、なんでまとめた?(笑)
──(笑)。2015年のBLUE ENCOUNTがどんな展開を見せてくれるか、個人的にもすごく楽しみです。
田邊 僕らはまだ「楽しみ」とか言ってられないですけど。まずは「もっと光を」でいいスタートダッシュが切れたら幸せですね。ハラハラドキドキですけどね、しっかりこの曲を世に送り出すまでは。
- 1stシングル「もっと光を」2015年1月28日発売 / Ki/oon Music
- 初回限定盤
- 初回限定盤 [CD+DVD] 1544円 / KSCL-2536~7
- 通常盤 [CD] 1258円 / KSCL-2538
CD収録曲
- もっと光を
- ワナビィ
- LIFE
初回限定盤DVD収録内容
「TOUR2014 ROOKIE’S HIGH」
- JUST AWAKE
- ロストジンクス
- MEMENTO
- YOU
- ドキュメンタリー映像
TOUR 2015 GRAB THE LIGHT
- 2015年5月23日(土)愛知県 DIAMOND HALL
- 2015年5月30日(土)福岡県 DRUM LOGOS
- 2015年6月6日(土)大阪府 BIGCAT
- 2015年6月12日(金)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
BLUE ENCOUNT(ブルーエンカウント)
田邊駿一(Vo, G)、江口雄也(G)、辻村勇太(B)、高村佳秀(Dr)の4人からなるロックバンド。2007年、田邊、江口、高村が地元熊本でバンドを結成し、2009年に3人の進学先である都内の音楽専門学校で辻村と出会い現体制となる。2010年の1stミニアルバム「the beginning of the beginning」を、2012年には2ndアルバム「HALO EFFECT」をリリース。「HALO EFFECT」収録の「HALO」がYouTubeで150万回以上再生されるなど、この頃よりライブハウスシーンで頭角を現すように。2013年にはライブ会場限定CD「SIGNALS」やミニアルバム「NOISY SLUGGER」、MY FIRST STORY、SWANKY DANK、AIR SWELLとのスプリットアルバム「BONEDS」を発表。年末には初のワンマンツアー「NEXT DESTINATION」を開催し、全公演ともソールドアウトさせている。2014年2月に初のフルアルバム「BAND OF DESTINATION」をリリースした。同年9月にキューンミュージックより4曲入りCD「TIMELESS ROOKIE」でメジャーデビュー。2015年1月にシングル「もっと光を」を発表した。