ナタリー PowerPush - BLUE ENCOUNT

4人の“気にしい”が鳴らす 超共感型エモロック

うわ、俺たちは大丈夫じゃないんだ!?

──専門学校に入ってからはどんな活動を?

田邊 めちゃくちゃ生ぬるい活動を(笑)。彼(辻村)とは専門学校で知り合ったんですけど、専門学校に入る前から3人はBLUE ENCOUNTというバンド名でやってたし、すでに持ち曲もけっこうあって。しかもベースが入ってからは都内でもけっこうライブもやってたから、ただの専門学生のくせに自分の中では「もうできあがってる」みたいな感じがあったんです。天狗になってたんですよ。で、そんな中、最初のミニアルバム(2010年発表の「the beginning of the beginning」)を出すんだけど、もちろん全然売れず(笑)。

江口 バンドの状況も変わらず(笑)。

田邊 ライブのお客さんもどんどん減り、ライブハウスの人からも「もう終わったかな」くらいの感じで見られ始めて。

高村佳秀(Dr)

高村 それでもライブだけは続けてたんですよね。

田邊 とにかくライブをやればお客さんが増えると思ってたんですよ。多いときで月に20本くらいやってたかな。

江口 2011年は年間120本くらいやってましたからね。

田邊 で、その年末にベースの辻村が「俺、辞める」って言い出して。

辻村 自分はあとからバンドに加入したから、客観的にメンバーを見てる感じもあったんですよ。その頃は正直言って不安だったんですよね。

──まあ、ただライブをやってるだけでは、お客さんは増えないですからね。

辻村 そうなんですよね。なのにこの3人はライブハウスの人に「おまえら、大丈夫か?」って聞かれても「大丈夫です!」って(笑)。それを見て俺は「これ以上やっててもダメだな」と思ったから「もう辞める」って言って。

BLUE ENCOUNT

田邊 ビックリしましたね。「うわ、俺たちは大丈夫じゃないんだ!?」って初めて気付いたっていう。

辻村 俺は「じゃあ、ほかのベース探す」って言われると思ってたんです、実は。でも、3人とも死にそうな顔をして「どうしよう……」ってなってたから、逆にちょっとホッとして(笑)。

田邊 「辞める」って話を聞いた瞬間「なんとかしなきゃ」って思うのと同時に「もうバンド自体潮時なのかな」っていう気持ちにもなりましたから。

辻村 だから、そのときにいろいろ話して「もう1枚アルバムを出して、ツアーをやろう。そこでダメだったら……」ということになって。そのアルバムが2枚目の「HALO EFFECT」(2012年4月)なんですよ。

まずは武道館!

田邊駿一(Vo, G)

田邊 「HALO EFFECT」を出してからはもうヤケクソ精神ですよね。捨て身になってライブをやって。そうしたらちょっとずつ状況が変わってきて、ツアーファイナルで今のマネージャーさんと出会って、そこからバンドの運気がグッと上がったんですよ。応援してくれる人がどんどん増えて、ライブにもお客さんが少しずつ来てくれるようになって。それまで10人も入らなかったところで、40人とか50人のお客さんが来てくれるって、すごいことじゃないですか。さっきも言いましたけど、2013年はさらに大きなライブも増えましたし。そこで改めて「この人たちのために音楽を続けよう」と思えたんですよね。

──ここ2年で急激な変化があったわけですね。ただそういう修羅場を経験していたのなら、心配性になるのも無理ないかも。

田邊 だから今後もずっとこういう感じだと思いますね、僕らは。僕らにもいろいろな不安があるし、お客さんが抱えてるものもいろいろあるだろうし。そういうものを共有しながら、一緒に闘っていく。その気持ちを失くしてしまうのは、違うのかなって思います。それに今後もし売れるようなことがあったら、もっと怖くなることが増える気もしますし。

辻村 そうだね。

──最後に現時点でのバンドの目標を教えてもらえますか?

BLUE ENCOUNT

田邊 まずは武道館ですね! これを言うとスタッフにニヤニヤされるんですけど、2年後に武道館をやるって決めてるんですよ。無茶だと思われても仕方ないですけど、とにかく武道館をやって、そのときに次のデカいライブを発表するっていうのが目標です。もう1つは、どんなキャパであってもライブハウスと同じ感じでやりたいってことですね。距離感だったり、ステージでいうことだったりに関しても、全然変えるつもりはないので。この2つはちゃんと書いておいてください!

BLUE ENCOUNT/BAND OF DESTINATION DIGEST

ニューアルバム「BAND OF DESTINATION」 / 2014年2月5日発売 / 2300円 / BounDEE by SSNW / XQLS-1003
ニューアルバム「BAND OF DESTINATION」
収録曲
  1. opening~B.O.D~
  2. DESTINATION
  3. アンバランス
  4. HALO
  5. HANDS
  6. GO CRAZY
  7. T.K
  8. YOU
  9. JUST AWAKE
  10. THANKS
  11. ONE
  12. D.N.K
  13. VOICE
  14. PLACE
BLUE ENCOUNT(ぶるーえんかうんと)

BLUE ENCOUNT

田邊駿一(Vo, G)、江口雄也(G)、辻村勇太(B)、高村佳秀(Dr)の4人からなるロックバンド。2007年、田邊、江口、高村が地元熊本でバンドを結成し、2009年、3人の進学先である都内の音楽専門学校で辻村と出会い現体制となる。2010年の1stミニアルバム「the beginning of the beginning」を、2012年には2ndアルバム「HALO EFFECT」をリリース。「HALO EFFECT」収録の「HALO」がYouTubeで70万回以上再生されるなど、この頃よりライブハウスシーンで頭角を現すように。2013年にはライブ会場限定CD「SIGNALS」やミニアルバム「NOISY SLUGGER」、MY FIRST STORY、SWANKY DANK、AIR SWELLとのスプリットアルバム「BONEDS」を発表。年末には初のワンマンツアー「NEXT DESTINATION」を開催し、全公演ともソールドアウトさせている。またその一方で同8月の「SUMMER SONIC 2013」や、12月の「COUNT DOWN JAPAN 13/14」「GT2014」と大型フェスにも立て続けに出演。そして2014年2月に初のフルアルバム「BAND OF DESTINATION」をリリースした。