ナタリー PowerPush - BLUE ENCOUNT
4人の“気にしい”が鳴らす 超共感型エモロック
たくさんの人が聴いてくれたのがエモだった
──音楽的な方向性についても聞かせてください。結成当初から“エモ”を軸にしようという意識はあったんですか?
田邊 いや、なかったです。「なんでもやろう」っていうだけで。
高村 ジャンルを1個に絞らないようにしてたんですよ。田邊が作る曲が、最初からそうだったんですね。ラップだったり、エモだったり、ギターロックだったり、ポップだったり。ホントにバラバラなんですけど、どれか1つに絞るんじゃなくて、それを全部やろうと。
江口 まあ、最初はそこまで深く考えてなかったですけどね。いろんな曲をやってみたら、実はそれが全部好きだったっていう。
田邊 だからフィーチャーされたのがたまたまエモっぽい曲だった、という感じなんですよね。
江口 うん。たくさんの人がBLUE ENCOUNTを知ってくれるきっかけとなった「HALO」が……。
田邊 たまたまエモだったってだけなんです。
──確かにアルバムを聴くと、エモっぽい曲だけじゃなくて、J-POP的なメロディの「YOU」、ファンクテイストの「D.N.K」など、いろんなタイプの楽曲があって。
田邊 そうなんですよね。ただ、どのジャンルの曲を作る上でも同じようにメロディに重きを置くことやサビをキャッチーにすることを大切にしてはいます。
辻村 あとは楽器陣がそのメロディをどれだけ面白くできるか?ということを大事にして。それぞれにプレイヤーの中に「この曲は、こういう感じでやりたい」という理想像があって、今回のアルバムではそれがうまく絡み合ってる感じがしますね。
誰もロックから始まっていないエモバンド
──メンバーの音楽的志向はバラバラだったりするんですか?
田邊 全然違います! まず、ドラムはジャズですから。
高村 両親がジャズ好きなんですよ。子供の頃から家でもずっとジャズがかかっていたし、僕も一番好きなのはビル・エヴァンスでしたし。だから当時はポップスやロックを全然知らなくて。高校に入って、軽音楽部で今のメンバーと知り合ってからですね、J-POPとかを知ったのは。
田邊 その話だけ聞くと、帰国子女みたい(笑)。
──(笑)。辻村さんは?
辻村 やっぱり親の影響なんですけど、ディスコとかダンスミュージックですね。Earth, Wind & Fireとか。
田邊 去年のサマソニ、一緒の日にアースが出てたんですよ。
辻村 超興奮しました(笑)。中学生のときからバンドをやってたんですけど、家ではディスコソングに合わせてベース弾いてました。
──ロックがルーツっていうメンバーはいないんですか?
田邊 江口じゃないですか? 175Rからでしょ、音楽に興味を持ったのは。
江口 いや、俺の始まりはKICK THE CAN CREWだから。
田邊 誰もロックから始まってないんですよね(笑)。僕はSMAPですから。小学校のときにシェリル・クロウばっかり聴いてた時期があったんですけど、中学生になったらSMAPにハマって、コンサートにも行ってて。ギターを初めて触ったのは高校のときなんですけど、そのきっかけは森山直太朗さんでしたし。
高村 歌ってたもんな、森山直太朗の曲。
田邊 “直太朗”時代から聴いてましたから(森山はインディーズ時代、直太朗名義で活動)。バンドやロックに興味を持ったのも、高校で軽音部に入ってからですね。学校の中でいろんな人との異文化交流みたいなものが始まって、ELLEGARDENとか銀杏BOYZを知って。
辻村 モンパチとかね。
江口 カッコいいな!って思ったよね。
田邊 そこから一気にのめり込んでいった感じですね。学校の趣旨とか関係なく……。
──学校の趣旨?
田邊 この3人(田邊、江口、高村)は高専だったんです。工業系の勉強が中心で、卒業したら就職するか、大学に編入するのが普通で。
──高専って就職率もいいんですよね?
田邊 ほぼ100%ですね。でも僕らは音楽の専門学校に行ったっていう(笑)。学校にとっては前代未聞のできごとだったらしいです。先生に怪物を見るような目で見られましたからね。この就職難の時代に何を考えてるんだ?って。でも「いや、僕らは音楽をやるんです」って。あのときが一番ロックだったかもしれない(笑)。
- ニューアルバム「BAND OF DESTINATION」 / 2014年2月5日発売 / 2300円 / BounDEE by SSNW / XQLS-1003
- ニューアルバム「BAND OF DESTINATION」
収録曲
- opening~B.O.D~
- DESTINATION
- アンバランス
- HALO
- HANDS
- GO CRAZY
- T.K
- YOU
- JUST AWAKE
- THANKS
- ONE
- D.N.K
- 声
- VOICE
- PLACE
BLUE ENCOUNT(ぶるーえんかうんと)
田邊駿一(Vo, G)、江口雄也(G)、辻村勇太(B)、高村佳秀(Dr)の4人からなるロックバンド。2007年、田邊、江口、高村が地元熊本でバンドを結成し、2009年、3人の進学先である都内の音楽専門学校で辻村と出会い現体制となる。2010年の1stミニアルバム「the beginning of the beginning」を、2012年には2ndアルバム「HALO EFFECT」をリリース。「HALO EFFECT」収録の「HALO」がYouTubeで70万回以上再生されるなど、この頃よりライブハウスシーンで頭角を現すように。2013年にはライブ会場限定CD「SIGNALS」やミニアルバム「NOISY SLUGGER」、MY FIRST STORY、SWANKY DANK、AIR SWELLとのスプリットアルバム「BONEDS」を発表。年末には初のワンマンツアー「NEXT DESTINATION」を開催し、全公演ともソールドアウトさせている。またその一方で同8月の「SUMMER SONIC 2013」や、12月の「COUNT DOWN JAPAN 13/14」「GT2014」と大型フェスにも立て続けに出演。そして2014年2月に初のフルアルバム「BAND OF DESTINATION」をリリースした。