音楽ナタリー Power Push - BiSH

困難に立ち向かう6人の「プロミスザスター」

BiSHがメジャー2ndシングル「プロミスザスター」をリリースした。昨年12月にメインボーカルのアイナ・ジ・エンドが声帯結節の手術を受け、およそ1カ月ライブ活動を休止していた彼女たち。そのブランクを取り戻すかのように、1月8日にスタートした全国ツアー「BiSH NEVERMiND TOUR」では復活したアイナと共に各地で熱狂的なライブを繰り広げてきた。音楽ナタリーではシングルの発売を記念してメンバー全員にインタビューを行った。アイナの不調を受けてのメンバーの思い、そして現在のBiSHの絆を描いた歌詞が特徴的な新曲について話を聞いた。

取材・文・撮影 / 古川朋久

普通に声が出ることが幸せ

──昨年末にアイナさんが喉の手術を受けてグループ自体がライブ活動を休止していました。その間、アイナさんとメンバーはどんな思いを抱えながら過ごしていたのかなと。

アイナ・ジ・エンド

アイナ・ジ・エンド 手術後はしばらくしゃべれなくて、2週間を過ぎたあたりからメンバーと一緒に新曲の振り入れをやってました。手術することで18歳くらいの頃の声帯に戻るって言われてて、手術後に声を出したらすごく若い声になっていたんです。でもこの声だと「オーケストラ」の落ちサビは歌えないと思ってけっこう焦りましたね。

──想定していたよりも自分の声を幼く感じてしまったと?

アイナ というよりも声質が変わっちゃったような気がしたんですよ。手術後にそんな声になっちゃったことを誰にも言えなくて、とりあえず様子を見ていました。キレイな艶のある声で「オーケストラ」を歌っても……と思ったし、それは私じゃなくても、もはやいいってことになっちゃうので。そういう意味で手術前よりも手術後の不安のほうが大きかったんですけど、結果として時間が経ったら元の声になってきたので安心しました(笑)。

セントチヒロ・チッチ 私も不安でした。ライブを休止するってこともそうだし、アイナの声が元に戻るのも100%保証されたものではないから。でも彼女が喉に対する不安を抱えながらライブをやっていた姿をずっとそばで見ていたから、このタイミングで手術に踏み切ったことを私たちは応援するしかなかったです。

──グループとして順調に進んでいた矢先にアイナさんの喉にメスを入れなきゃいけないというのは、ほかのメンバーにとっても不安だったでしょうね。

ハシヤスメ・アツコ

ハシヤスメ・アツコ もしアイナの声が変わったとしたら今までの楽曲のイメージが変わってしまう。そんなとき、私たちはどれだけのサポートを彼女に対してできるんだろうって、そんなことばかり考えてました。結果としてハッピーになるかどうかわからないけど、アイナを信じて待とうって。きっとアイナはパワーアップして帰ってくるから、それに見合うように私たちも強くなっていようと思ってレッスンに励んでましたね。

──そして復帰の場所が1月2日にお台場で行われたライブイベント「TOKYO IDOL PROJECT×@JAM ニューイヤープレミアムパーティ2017」でした。復帰1発目のライブはいかがでしたか?

アイナ 今までと同じように煽ったら、ただの女の叫び声みたいになっちゃって自分でドン引きしちゃいました(笑)。今までこんなに力まないと声が出なかったんだなって思ったら、そりゃあ喉に負担もかかるよなって。

──今まで無理して出していた力強い声が、そこまで無理をしなくても出るようになったと?

アイナ はい。ラクになりました。すごい幸せです。手術前は、いつも朝起きて声を出していたんですけど、ガラガラ声がずっと続いて声が思うように出ないからみんなに迷惑かけるなって思ってたんです。でも今は普通に朝から無理なく声が出てめっちゃ幸せで。1月2日のライブも歌えることが幸せに思えたんですけど、この日はひさしぶりということもあってまだまだな仕上がりだったなと。叫んだらこれくらいの声が出るんだというのが確認できた日、というか。どちらかというと翌日に赤坂BLITZで行われた「アイドル甲子園 in 赤坂BLITZ supported by 生メール」のほうが仕上がってたような気がします。前日にわかったことを修正していく時間はなかったんですけど、同じ事務所所属のBiS、GANG PARADEと一緒だったので負けたくない気持ちのほうが強かったです。

モモコグミカンパニー

モモコグミカンパニー 「アイドル甲子園」のほうがバチバチ感はあったよね。清掃員(※BiSHファンの総称)もライブが1カ月くらい空いてたから、前よりもシビアに私たちの仕上がりを見てくると思って、自分たちのハードルも上がりました。これでダメだと思われたらもう来てくれなくなっちゃうかもしれないし、BiSやギャンパレのファンもたくさんいたから気が抜けなかったです。

──「2組のファンを取りにいく」と言わんばかりの、熱量が伝わってくるライブだったと思います。同時に、BiS、ギャンパレのライブの熱量もすごかったですね。WACK勢としてはギャンパレがトップバッターでしたが、舞台袖で出番を待つカミヤサキ(GANG PARADE)の表情が怖かったです。

ハシヤスメ すごい気合いが入ってましたね。

──そして1月8日に全国ツアーがスタートしました。そういう意味では1月2、3日のライブで現状を把握して、8日までにどう修正していくかを知れたから、ツアー前にライブに出演できたことは皆さんにとってもよかったんじゃないでしょうか。

チッチ ツアーに向けて課題が見えました。この2日間があったかなかったかではツアー初日の仕上がりもだいぶ違うものになってたように思います。

ツアー前は缶詰状態でリハーサル

──ツアー初日はZepp Nagoyaでした。振り返ってみてどうでしたか?

チッチ リハーサルを2日間やってから名古屋に行ったんですけど、今回のツアーでは松隈(ケンタ)さん率いる通称“鬼バンド”と一緒にライブをやるので、私たちは初めてイヤモニを付けながら歌ったんですよ。その状態でパフォーマンスすることに正直慣れてなくて、ツアー初日について満足したかと聞かれるとまだまだだなって思いました。むしろここからだなって。

──それ以降のツアーはどうでしたか?

リンリン

リンリン 自分としてはよかったり悪かったりでしたね。

チッチ リンリンは会場ごとに髪型が凝ってて。鬼みたいに髪を盛ったりして気合いを感じました(笑)。アユニは札幌が凱旋公演になったよね。

アユニ・D 初めて親がライブを観に来てくれて、感激してまして。伝わってよかったなと思いました。

ハシヤスメ 札幌公演は2日間あったんですよ。

モモコ どちらかというと2日目のほうがいいパフォーマンスができたかなと思います。

チッチ 清掃員からも札幌の2日目がよかったっていうのをよく聞きます。それは私もよかったなって感じていて。

──初めてのZeppツアーということで始める前は不安もあったんじゃないかと思いますが、いかがです?

モモコ それもあってツアー初日の名古屋公演の前にみっちりリハーサルをやったんです。

アイナ 2日間みっちりとね。

セントチヒロ・チッチ

チッチ こんなにやったことないっていうくらいリハをやりました。

ハシヤスメ 鬼バンドと一緒にずっと缶詰状態で。大変でしたけど、それがあったからいいライブが見せられたかなとは思います。

──ツアーファイナルは皆さんが目標にしていたZepp Tokyoで、早々とチケットがソールドアウトを記録しました。

ハシヤスメ これはうれしいことですよ。

チッチ ソールドアウトしたことは素直にビックリして。一昨年の夏から「TBS」という無料ライブをZepp Tokyoでやってるんですけど、昨年は前年よりも埋まらなくて。無料だとみんな来ないのかなとか、ちょっとよくわからないんですけど。

ニューシングル「プロミスザスター」 / 2017年3月22日発売 / avex trax
BE@RBRICK盤 [CD+DVD+グッズ] / 16200円 / AVZD-83764/B
LIVE盤 [CD+DVD] / 4104円 / AVCD-83765/B
CD盤 [CD] / 1080円 / AVCD-83766
CD収録曲
  1. プロミスザスター
  2. Help!!
BE@RBRICK盤・LIVE盤DVD収録内容
2016.12.01 BiSH FREE LIVE "iN THE END"
  1. BiSH-星が瞬く夜に-
  2. 本当本気
  3. DA DANCE!!
  4. ぴらぴろ
  5. DEADMAN
  6. ファーストキッチンライフ
  7. beautifulさ
  8. スパーク
  9. Primitive
  10. My distinction
  11. オーケストラ
  12. MONSTERS
  13. OTNK

<ENCORE>

  1. ALL YOU NEED IS LOVE
  2. BiSH-星が瞬く夜に-
Music Video Collections(BE@RBRICK盤のみ)
  • BiSH-星が瞬く夜に-
  • OTNK
  • MONSTERS
  • ALL YOU NEED IS LOVE
  • DEADMAN
  • オーケストラ
  • 本当本気
  • プロミスザスター
  • 本当本気 Music Video Making
  • プロミスザスター Music Video Making

※メンバーによる副音声付き。

BiSH(ビッシュ)
BiSH

アイナ・ジ・エンド、モモコグミカンパニー、セントチヒロ・チッチ、ハシヤスメ・アツコ、リンリン、アユニ・Dの6人からなるアイドルグループ。BiSを作り上げた渡辺淳之介と松隈ケンタが再びタッグを組み、彼女たちのプロデュースを担当する。2015年5月27日に1stアルバム「Brand-new idol SHiT」をリリース。同年5月には東京・中野heavy sick ZEROにて初のワンマンライブ「THiS IS FOR BiS」を開催し、以降のライブは各所でソールドアウトを記録する。2016年1月に2ndアルバム「FAKE METAL JACKET」を発表。同年5月にはメジャー1stシングル「DEADMAN」をリリースしavexよりメジャーデビューを果たした。さらに6月から10月にかけて全国ツアー「BiSH Less than SEX TOUR」を開催し、ツアーファイナル「帝王切開」では東京・日比谷野外大音楽堂で単独公演を成功させた。同年10月にメジャー1stアルバム「KiLLER BiSH」を発売。2017年1月から全国6都市を巡る「BiSH NEVERMiND TOUR」を開催し、同年3月にメジャー2ndシングル「プロミスザスター」をリリースした。7月22日には千葉・幕張メッセ イベントホールにてグループ史上最大規模のワンマンライブを行う。