音楽ナタリー Power Push - BiS×渡辺淳之介(BiSマネージャー)

2ndアルバム発売も BiS、けっこうピンチです

重要な曲はメンバーに作詞してもらいたい

──そして8曲目はプー・ルイさんの「ロミオの心臓」。このタイトルってBLANKY JET CITYの「ロメオの心臓」とは何か関連があるんですか?

プー・ルイ タイトルは渡辺さんが付けたんですよね。そういうアルバムがあるっていうのはあとから知った感じです。ウブちゃんが元気がない日があったんですけど、それがきっかけになって書き始めた曲で。BiSの中で起こってることをそのまま書いたらこうなったという感じです。私はわりとそのときの状況を歌詞に書くことが多いんですよね。ウブちゃんが心配で話してたら泣いちゃって。別にこっちは怒ってるわけじゃないんだけど、どう言ったら伝わるんだろうって考えちゃうんですよね。

──ウブさんは自分のことが歌詞になってるのに気付きました?

ペリ はい。というか、全部私に対しての曲なんじゃないかと思ってるくらいで。

プー・ルイ でもそれはいいと思う。全部自分に置き換えて聴いてもらえるのはうれしい。

キカ・フロント・フロンタール

キカ 私も実はウブちゃんに対して書いた歌詞があったんだけど、採用されなかった。彼女、元気がない時期がけっこう長くあって。

ペリ ツアーで名古屋に行く前くらいまでの間にいろいろあってねー。辞めようとは思ってなかったですけど。

プー・ルイ 彼女は反省してるときに元気がないんですよ。そういう性格的なところも後々知るんですけど、最初はわかんないから心配しちゃって。

──皆さんとしてもいろんなことを抱えながら作詞してた時期だから、そういう思いが歌詞に反映されてるんですね。

プー・ルイ そうですね。でも今書いたらもっと暗いものになると思いますよ(笑)。

──9曲目はキカさんが作詞した「明日が来るなら」。恋愛がテーマの曲ですか?

キカ そうですね。私がそういう体質なのか、本当は好きなんだけど好きって言えなくて、でも仲がいいからその関係は壊したくなくてずっと仲良しのままでいるっていう歌ですね。

プー・ルイ 面倒くさいですね。

──恋愛の曲を書くっていうのが意外でした。

キカ 最初は違うテーマがあったんですけど、途中で方向性が変わって恋愛になって。幼馴染ですごく仲のいい男友達とか、不倫関係とか、そういうのをイメージして書きました。

──実体験をもとにしたということではなく?

キカ そういうことも多少ありつつ、膨らませた感じですね(笑)。

プー・ルイ あふれ出す大人感というか。人妻というか。ウブが不倫って言ってもイメージできないし。ファンもキカに処女性は求めてないと思う。

キカ 歌詞の中の物語としては、その恋が成就するかしないかは決めてなくて、そのあとどうなったかはまた違う曲で続きを書ければなと。

プー・ルイ この曲はライブでも盛り上がります。みんな手振りしてくれるし。

アヤ・エイトプリンス

──というところで、ここまで話を聞いてきましたが実はアヤさんだけ歌詞が採用されてないんですよね。

アヤ ないです! まず出した歌詞の数も少なくて、めちゃくちゃ考えてるんですけど語彙がなくて言葉が出なくて。悔しいんですけど次までにはたくさん本を読んだりして勉強したい。

──次に期待します。渡辺さんは今回彼女たちの歌詞を見てどう思いましたか?

渡辺 個性は出てきたと思うんですけど、だいたい「明日が始まらない」みたいな内容の歌詞が多いなと。表面上明るい雰囲気はあるんですけど、基本的には暗いですね。BiSHとかは死ぬほど暗いので、そっちに寄っちゃったような気はしてます。その中でゴジラとかペリとかキカの歌詞は新鮮に感じましたよ。アヤ以外はけっこうがんばったと思います。一番書いてきたのは実はキカなんですけどね。その中で1曲ハマったので採用しました。ゴジラは歌詞の世界観がハマりやすかったのとBiSの方向性にマッチしてるなと思って3曲採用しました。ペリはモンスターですね。冒頭の部分、ほとんどメロディがないのに歌詞を入れてきたのはテンテンコ以来でびっくりしました。フリーダムですね。

──アヤさんは難しかったですか?

渡辺 八王子出身のBiSHのセントチヒロ・チッチも同じタイプなんですよね。彼女もアルバム「KiLLER BiSH」で1曲も歌詞が採用されてませんから。アヤも八王子出身なので何かあるんじゃないかと思っちゃうくらいで。「八王子歌詞書けない病」的な。

プー・ルイ まあ、みんな同じ時間の中で悩んで書いてますからね。

──渡辺さんは1曲目の「gives」と10曲目の「NAKODUB」の作詞を手がけてます。一番肝心なところは渡辺さんという。

渡辺 目立ちたいんですかね(笑)。メンバーには節目っぽい曲の歌詞を書いてほしかったんですけど、なんかまだそこにハマらなくて。BiSっていうものにまだ入り込めてないんだろうなと。だから僕や松隈ケンタのほうがまだBiSらしさという意味では強くて。でも今後はそういう重要な曲の歌詞をメンバーに書いてもらいたいんですよね。そうなっていくとすごくグループとしてもよくなっていくと思います。

──まだ早かったんですかね。

渡辺 僕としては最初のオーディション合宿でけっこうBiS魂みたいなものを叩き込めると思ったんですけど、それは甘かったです。やっぱりBiSっていうのは全裸PVやったり過呼吸になったりしないとダメなのかもね(笑)。

──「NAKODUB」は武道館への思いを歌った曲だと思いますが、やはりBiSとしてそこを目標にしているという思いを出していこうと?

渡辺 あきらめてねえぞ、と。あとBiSHのアルバムでも2枚目のアルバムの最後で武道館に向けた曲を作ってるので、その対比って意味もあります。

壊される可能性があるのはBiSですね

──WACK所属グループの合同オーディション開催が決定しました。新メンバーが入ることについては皆さんどう思ってますか?

プー・ルイ 私は入ってほしいですね。入れたほうがいいなと思う。今の状態がすごくよければ別に入れなくてもいいんですけど、そうじゃないから。あとから入った子に負けるのって悔しいじゃないですか。だいたい新メンバーは人気出るし、そこでメラメラしてほしいなって。

キカ プーちゃんの意見も一理あるんですけど、私はこの5人でがんばりたいという気持ちがあったから正直嫌です。

渡辺 そう言ってたやつが辞めたりするからね(笑)。

プー・ルイ でも新メンバーはどこのグループに入るかわかんないんですよね。だから受ける側もわかんないから不安でしょうに。BiSは変わっていくものですからね。同じメンバーで1年続いたことがないですから。

ゴ・ジーラ

──ほかのグループとのシャッフルなんてことはありえますか?

渡辺 今のところ考えてはないですが、合宿を経て何か考えることはあるかもしれませんね。

プー・ルイ うまくいってるグループを壊す必要がないから(笑)。壊される可能性があるのはBiSですね(笑)。

渡辺 僕ら、こんなこともできるようになったんだなと思って。

プー・ルイ ハロー!プロジェクトみたいになった!

──アルバム発売以降もBiSの形がどうなるか注目ですね。

プー・ルイ でも楽しみです。やっぱり私、不幸が好きみたい(笑)。このメンバーで最強になろうぜって思ってた時期もありましたけど、今はそれが自分の中で見えない。まずは目の前にあることを1つずつ乗り越えて、がんばっていきたいと思います。

──最後に、最新のアー写を見たんですけど、キカさん、どうしました?

キカ 何かあるとは聞いてたんですけど、撮影に入ったら白塗りにされて。

渡辺 ちょっと意外だったのは、そんな状況になってもキカがうれしがってたんですよね。

プー・ルイ まあでも、これだったらキカが脱退しても誰かわかんないと思うからいいね!

──発売までにいなくなってたら察しろということで(笑)。

キカ お察しください! 辞めませんけど!

ゴ・ジーラ
アヤ・エイトプリンス
プー・ルイ
ペリ・ウブ
キカ・フロント・フロンタール
2ndアルバム「RE:STUPiD」 2017年2月22日発売 / 2500円 / SPACE SHOWER MUSIC / XQJZ-1058
「RE:STUPiD」
収録曲
  1. gives
  2. twisted grunge
  3. ミステリアスホール
  4. SAY YES
  5. Never Starting Song
  6. NOT the END
  7. ぎぶみあちょこれいと
  8. ロミオの心臓
  9. 明日が来るなら
  10. NAKODUB
BiS「Re:STUPiD TOUR」ツアーファイナル

2017年2月26日(日)東京都 WWW X

BiS(ビス)
BiS

プー・ルイ、ペリ・ウブ、アヤ・エイトプリンス、ゴ・ジーラ、キカ・フロント・フロンタールの5人からなるアイドルグループ。BiSは2014年7月をもって解散したが、マネージャーの渡辺淳之介、サウンドプロデューサーの松隈ケンタ、プー・ルイの3人によって再始動がアナウンスされ、2016年9月に新体制として活動が再開。11月16日に1stアルバム「Brand-new idol Society 2」を発表し、11月20日に1stワンマンライブを東京・下北沢SHELTERで開催。12月より全国ツアー「『Brand-new idol Society』2年間おまたせ!いま会いにゆきます」を行った。2017年2月22日に2ndアルバム「Re:STUPiD」をリリース。1月より全国ツアー「Re:STUPiD TOUR」を開催し、それに伴って1週間米しか食べることのできない車中泊ツアーおよび100kmマラソンを敢行した。