音楽ナタリー Power Push - BiS×渡辺淳之介(BiSマネージャー)
2ndアルバム発売も BiS、けっこうピンチです
ギャンパレのほうが勢いがあると思う
──そんな中、同じWACK所属のGANG PARADEが新体制以降、ライブがすごく評価されてます。彼女たちの勢いを皆さんはどう見てるのかなと。
プー・ルイ 私は全然ギャンパレのほうが勝ってると思う。彼女たちはそれぞれがこれまで悔しい思いをしてきたりオーディションに落ちて負けてきたりした経緯があるから、覚悟の度合いが我々とは違いますよね。
──カミヤサキだけでもプラニメ、POPを経てGANG PARADEと激動でしたから。
プー・ルイ 元SiSのメンバー3人もオーディションに落ちてSiSも解散してと負けを経験してますし。負け続けた者たちが集まったことで、ようやく「これだ!」と思えるものになったのかもしれないです。
──だからこその一体感と勢いなのかなと。1月3日に赤坂BLITZで行われた「アイドル甲子園」ではBiS、ギャンパレ、BiSHのWACK勢3組が出演しました。この日はギャンパレがWACK勢の中ではトップバッターということで気合いの入り方がすごかったです。カミヤさんも「この順番をひっくり返す!」と言ってましたし。
プー・ルイ そういう状況を含めてBiSがこの先ギャンパレやBiSHに勝てるように、まずは全員で100kmマラソンを完走してつなげていきたいです。走り切らないとメンバー脱退なんで。走り切らないやつなんていらないよね、って。
──インタビューが載る頃に誰かいない可能性もあるんですね(笑)。
プー・ルイ 「BiSとは何か」というのを私が見せようと思います!
ご時世的にも「SAY YES」はヤバい
──1stアルバム発売後、わずか3カ月で2ndアルバムをリリースと、かなり早いスピード感ですね。前回のアルバムでは旧BiSの楽曲の新アレンジバージョンが収録曲の半分を占めてましたが、今回はすべて新生BiSの新曲ということで、皆さんにとってもすごく思い入れのある1枚になっているのではないかと思うのですが。
プー・ルイ そうですね。今回のアルバムのテーマは「もう一度バカになろう」なんです。BiSっぽい曲もあるし、そうでない曲もあります。あとメンバーが作詞をけっこう担当させてもらいました。
──それぞれが作詞した楽曲を解説してもらいたいと思います。まずは2曲目の「twisted grunge」。これはゴ・ジーラさんが作詞しました。
ゴ・ジーラ 作詞するときは夜中にファミレスで書いてるんですけど、私、夜になると性格が暗くなるみたいで。夜に書いたものを朝になって見返すと「なんでこんなこと書いたんだろう」って思うことが多くて。この曲に関しては私がずっと日本の花鳥風月に癒されたいって思って、Aメロの詞はそれをテーマにして書いてます。あとはグランジって言葉の語感がすごく好きなので入れたいなと思って。
ペリ ゴジラっぽい、いい歌詞だよね。
プー・ルイ ゴジラにしか書けない歌詞だと思う。
──続けて4曲目「SAY YES」、5曲目「Never Starting Song」もゴ・ジーラさんによる作詞曲ですね。
ゴ・ジーラ 「SAY YES」は仮歌を聴いたときにすごく楽しい印象でした。私自身、友達がすごく少ないんですけど、大阪にいた頃は月に8回くらいはライブハウスに通っていて音楽があれば全然楽しかった。そんな気持ちを書きました。
──この曲の歌詞をゴ・ジーラさんが書いてるのが意外でした。陰と陽で言えばこの楽曲は陽だと思うので、普段から大人しいゴ・ジーラさんがテンション高めの歌詞を手がけてるとは思いませんでした。それこそ「twisted grunge」の花鳥風月な世界観とは真逆というか。
ゴ・ジーラ これはお昼くらいに書いたからですかね(笑)。
──そもそも「SAY YES」なんて言わなそうですし。
ゴ・ジーラ 絶対に言わないですね。あとご時世的にも言っていいのかなっていう……。ちょっとデリケートすぎてヤバいと思いました。
プー・ルイ ちょうどタイムリーな時期に歌詞ができあがりましたからね(笑)。私、絶対に確信犯だと思いましたよ。
ゴ・ジーラ これはアカンやろって思って、最初は「SAY YEAH」にしてましたから。
──「Never Starting Song」はスカのリズムで明るい曲調ですが、どんなことをイメージして書きましたか?
ゴ・ジーラ これは夜に書いてて、朝が来るのがとても嫌で「釣りに行きたいわー」って思いながらまとめました。
アヤ 曲は明るいのに歌詞の中で「息したくない」とか、ちょっとギャップがありますね。
──歌詞だけ読むとちょっとダウナーな感じになってきますけど、曲はめっちゃ明るいという。なんで釣りに行きたいと思ったんですか?
ゴ・ジーラ 釣りしたことないんですけどね(笑)。なぜかこのとき釣りしたい欲求がものすごかったんですよね。そんな気持ちを込めて書きました。
ぼちぼち歌も目で楽しむ時代
──6曲目はプー・ルイさんが作詞した「NOT the END」。食に対する今の気持ちがストレートにつづられてますね。
プー・ルイ デモ音源ができあがって聴いてみたら、青春を感じさせるような曲調で。なのでその方向性で一度歌詞を書いてみたんですけど、採用されなかったんです。きっとそっちの方向性じゃないんだろうなって思って違うベクトルで考えてみて、この美しいメロディに寄生虫ってワードを使ったら面白いと思ったんですよ。でも「いいのかな?」って思ったんですけどね。
──なかなか歌詞では使われない言葉ですもんね。
プー・ルイ 最初はパラサイトっていう言葉がカッコいいと思って使いたかったんですけどうまくハマらなかったから日本語にしてみた感じです。それと「代わりはいない」っていう言葉は、ちょうどヲタクに対して思ってたことで、彼らは「オマエの代わりはいないから」とか「好き」って言ってたのにすぐにほかに行っちゃうんですよ。そういうイラッとした気持ちを「ほざいてる」って言葉と共に歌詞にしたらしっくりきて。まさか採用されるとは思わなかったです。
──でもBiSらしい歌詞の楽曲ですよね。多少ぶっ飛んでても、そこは「BiSだから」って思うと不思議と許せるというか(笑)。
プー・ルイ 短期間でたくさん歌詞を書いてたからどうしてもみんな同じような感じになっていっちゃうんですよね。なので内容が偏らないようにしてたらこうなったという。
──7曲目はウブさんの「ぎぶみあちょこれいと」なんですが、これまた個性的な歌詞ですね。
ペリ かわいいでしょ?
──かわいいですね(笑)。これは歌詞を見ないと伝わらないと思いますけど、絵文字とか記号がふんだんに使われてます。
ペリ こだわりましたね。絵文字とか使ったのは狂気じみた子供をイメージしてて。
プー・ルイ 自分のことだね。
ペリ 違うんですよー。ぼちぼち歌も目で楽しむ時代かなって思ってね。
プー・ルイ だからアルバムを買わないとウブちゃんの真意は伝わらないと思うんですよ。
ペリ 歌詞カード見ないとダメ。だから買ってね。
──楽曲のテーマはなんですか?
ペリ 曲調がカッコよかったので最初は“マザーファッカー”っていうテーマで歌詞を考えて、ガッツリと両親を殺す歌にしてたんですけど、ちょっとヤバかったのかだいぶマイルドになりました。
──もっとヤバかったんですね……。
ペリ でもとてもいい曲になりました。作詞するのは楽しかったです。
アヤ 独特な世界観。天才かもしれない。
キカ 現代っ子っていうかネオ世代というかね。
プー・ルイ キカとは世代が二回りくらい違うから。
キカ いやいや、そんなに変わらないから!
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収録曲
- gives
- twisted grunge
- ミステリアスホール
- SAY YES
- Never Starting Song
- NOT the END
- ぎぶみあちょこれいと
- ロミオの心臓
- 明日が来るなら
- NAKODUB
BiS「Re:STUPiD TOUR」ツアーファイナル
2017年2月26日(日)東京都 WWW X
BiS(ビス)
プー・ルイ、ペリ・ウブ、アヤ・エイトプリンス、ゴ・ジーラ、キカ・フロント・フロンタールの5人からなるアイドルグループ。BiSは2014年7月をもって解散したが、マネージャーの渡辺淳之介、サウンドプロデューサーの松隈ケンタ、プー・ルイの3人によって再始動がアナウンスされ、2016年9月に新体制として活動が再開。11月16日に1stアルバム「Brand-new idol Society 2」を発表し、11月20日に1stワンマンライブを東京・下北沢SHELTERで開催。12月より全国ツアー「『Brand-new idol Society』2年間おまたせ!いま会いにゆきます」を行った。2017年2月22日に2ndアルバム「Re:STUPiD」をリリース。1月より全国ツアー「Re:STUPiD TOUR」を開催し、それに伴って1週間米しか食べることのできない車中泊ツアーおよび100kmマラソンを敢行した。