ライブの人間味
──ライブについてはどうですか? アルバム「Strata」の曲がセットリストに入ることで、かなり雰囲気が変わっていると思うのですが。
福永 よりバンドらしくなってると思います。もちろんこれまでの積み重ねもあるんですが、パッションでいける部分が増えてるというか。以前はどちらかというと音源をそのまま再現する感じだったんですけど、「Strata」の楽曲は自由度が高くて、演奏している中でライブバージョンっぽくなったり、尺が長くなることもあって。あと、エンディングのかき回しってあるじゃないですか。
──曲の終わりでジャーン!とラフに決めるヤツですか?
福永 そうそう。あれをやったことがなかったんですよ。去年の2月のビルボードライブ東京のライブで(ゲストミュージシャンとして参加した)MELRAWが「かき回しで終わる?」って言ってくれて、やってみたら「意外といいな」と(笑)。ライブ感みたいなものがわかりやすく出せるし、バーン!と終われる曲が意外とあったんですよね。
大澤 「ここで終わりです」ってわかりやすく伝わるし、盛り上がるんですよ。前は「どこで拍手していいかわからない」って言われることもあったので(笑)、そこはちょっと変わってきました。自分たちのテンションも上がるし、ライブ自体の雰囲気も以前とは違うかもしれないですね。演奏のことで言うと、打ち込みメインで作った曲をどうやって生ドラムで表現するか?ということを意識しています。もちろん打ち込みとは違ってリズムがヨレることもあるんですけど、そこも人間味なのかなと。
山崎 ずっとライブを重ねてきて、自分たちのスキルも上がっているとは思うんですけど、いい意味で肩の力が抜けているのがいいんじゃないかなって。感情や熱量を発揮しやすいし、それはお客さんにも自然と伝わっていると思います。
福永 楽しくやってます(笑)。もともとは「聴くのが好き」「作るのが好き」というタイプで、めっちゃライブをやりたいわけではなかったんですけど、今はかなり好きですね。
トランペットの説得力
──3月には2025年第1弾となる新曲「Domino feat. 寺久保伶矢」がリリースされました。2001年生まれの気鋭のトランぺッター・寺久保伶矢さんが参加していますね。
福永 すごいんですよ、伶矢は。もともとはタブゾンビさんに「いいトランぺッターいるよ」と紹介してもらって。(寺久保が参加した)S.A.R.のライブなんかも見て、「ぜひ一緒にやりたい」と思ってオファーしました。まずメロがいいんですよね。
山崎 うん。
福永 歌詞が乗ってない状態のデモを聴いてもらって、「ここはテーマっぽいメロディ」「このパートは自由にやってください」と話しながらレコ—ディングしたんですけど、「こんな感じでどうですか?」と吹いてくれたフレーズが全部よくて、ほぼほぼ一発でしたね。
──旋律も素晴らしいし、柔らかい表現もすごく曲に合っていて。
福永 「弱く吹いて優しい音で録りたい」と言われて、「なるほど」と思いました(笑)。
大澤 すごくいいですよね。リズムで言うと、ずっとやりたかったフレーズを入れてるんですよ。ウッドブロックを重ねて、ちょっとズラして……という感じのフレーズなんですけど、アルバム「Strata」の制作のときはうまくハマる曲がなくて。今回ようやく形になったのでうれしいです(笑)。
福永 セオ・クロッカーというトランぺッターの「GOOD DAY」という曲にもウッドブロックを使ったフレーズが入ってて。「Domino」もトランペットが入ってるので、ちょうどいいんじゃない?と思ったんです。
──メンバーのアイデアも反映しながらの制作なんですね。
福永 もちろん。
山崎 ピアノのコード進行から始まって、ちょっとずつ肉付けしていって。録り自体も基本的に自分たちで完結させているんですけど、かなり重厚なトラックだし、1つひとつの音も骨太になっています。あと、無理に加えた音がないんです。
福永 そうだね。「Strata」のときは自分自身の挑戦もあって、一旦完成した曲の“先”を考えていたんですよ。めっちゃ聴き込んで、「こういう音を入れたらいいんじゃないか」「こんなアプローチもいいんじゃないか」というものを足しまくりました。それはそれでよかったと思うんですけど、「Domino」はめっちゃシンプルなんですよ。ボーカルにディレイをかけたりしてるんだけど、ほかには何もしてなくて。トランペットの説得力もあるから、足したいところがなかった。
──曲作り、サウンドメイクの精度が上がっていると。
福永 どっちがいいという話ではなくて、そのときの好みだとは思いますけどね。例えばアルバムに入ってる「Yellow Gold」はいろんなアプローチを試したことで、壁を突き抜けた曲だと思っています。「Domino」にもそういう可能性があったかもしれないけど、「このままでいいか」という気持ちになりましたね。
──ちなみに歌詞を乗せるのは最後ですか?
福永 はい。JQさんに「俺と真逆だな」って言われましたけど、音を聴いて、そこから浮かんでくるもの、乗せたい言葉を書いているので。メロやオケの世界観を大切にしたいんですよね。
──そうすると曲名を決めるのは……。
福永 最後の最後です。「タイトル決めるのやだな」と思いながら(笑)。「Domino」は歌詞にも出てくるんですけど、主のテーマではない単語をタイトルにするのがおしゃれだなと思って。“倒れ始めたドミノをただ眺めてしまった”という表現にも掛かっているので、リスナーの皆さんに深い意味を付けてもらえれば。
楽器が歌う
──4月6日にはビルボードライブ横浜で「ame_no_parade Special Live 2025 at Billboard Live YOKOHAMA」が開催されます。ビルボードライブでの公演は去年に続いて2度目ですが、去年のライブの手応えはどうでした?
福永 ビルボードは何度か行ったことがあるんですけど、自分でやるとなるとちょっと違和感がありました(笑)。お客さんは座ってるし、スピーカーは後ろにあるし、最初は「どうしよう」という感じだったんですけど、だんだん慣れてきて「いつものライブと変わらないな」という気持ちになってからは楽しめましたね。
山崎 あんなに天井が高い縦長の会場でライブをやったことがあまりなかったので、ちょっと不思議ではありました(笑)。
福永 後ろのカーテンがバーッと開くのも気持ちいいよね。
大澤 ライブハウスとは音の聴こえ方も違いますからね。管楽器と一緒に演奏できる特別感があって、忘れられないライブになりました。
福永 MELRAWさんにはサックスが入ってない曲も参加してもらったんですけど、すごくハマって。「これで完成したんだな」と思った曲もあったんですよ。楽器が“歌う”という曲を作ってことなかったから、去年のビルボードのライブの経験が「Strata」に生かされているところもありますね。
──今回の横浜公演には寺久保伶矢さんが参加します。どんなステージになりそうですか?
福永 伶矢くんには「Domino」以外の曲にもがっつり入ってもらおうと思っていて。かなり多めに曲を渡してるので、あとは伶矢くんがどれだけやってくれるかですね(笑)。ビルボード横浜にはまだ行ったことがないんですけど、「音がいい」という話を聞いているのですごく楽しみです。
山崎 僕は何度か行ったことがあって。ビルボードライブ東京とはちょっと雰囲気が違って、ラウンジ感が強い印象があるんですよ。そういう会場で演奏できるのがうれしいですね。
大澤 去年のビルボード公演は手探りな部分もあったんですけど、今回は最初からしっかり熱量を持ってお届けできると思います。
福永 「Strata」の曲が多めになると思うんですけど、ビルボードに合うんじゃないかな。
──バッチリ合うと思います! 当日はオリジナルカクテルもあるんですよね?
福永 そうなんですよ。「Domino」のジャケットのイメージで作ってもらって。
大澤 ジャケが大自然の写真なので、さわやかなカクテルに仕上がってるみたいです。
──最後に、雨のパレードのこの先の活動ビジョンについて聞かせてもらえますか?
福永 アルバムを出したばかりなので、まずはそれを届けたいですね。「Domino」は「Strata」を経てさらに踏み込んだ楽曲だと思っているので、この感じでいくつか新曲を制作して、まとまった作品にできたらいいなと。もちろんワンマンもやりたいです。
大澤 この先も自分たちが納得できる、好きだなと思える楽曲を作っていきたいですね。海外でツアーをやりたい気持ちもあります。
山崎 活動のスタンスを大きく変えることなく、自分たちが好きになれる、カッコいい音を追求していきたいです。ライブに関しては、それこそビルボードもそうですけど、いろんな形式でやりたくて。そうやって表現の幅を広げていけたらいいなと思ってます。
公演情報
ame_no_parade Special Live 2025 at Billboard Live YOKOHAMA
2025年4月6日(日)神奈川県 ビルボードライブ横浜
[1st]OPEN 14:00 / START 15:00
[2nd]OPEN 17:00 / START 18:00
プロフィール
雨のパレード(アメノパレード)
福永浩平(Vo)、山﨑康介(G, Syn)、大澤実音穂(Dr)からなるバンド。エレクトロハウス、R&B、ソウル、アンビエント、ロック、ポップスなど、さまざまな音楽を独自にクロスオーバーさせ、バンドという形態にこだわらないサウンドメイクを武器に作品を発表し続けている。2013年に結成され、2016年3月に1stフルアルバム「New generation」でSPEEDSTAR RECORDSよりメジャーデビュー。2024年9月にHILLS RECORDS移籍後初となるアルバム「Strata」をリリースした。2025年4月には神奈川・ビルボードライブ横浜で寺久保伶矢(Tp)をゲストに招きライブを開催する。