ベリーグッドマン、アリーナワンマンに向けてTOYOTA ARENA TOKYOに潜入

2026年にメジャーデビュー10周年を迎えるベリーグッドマンが、B.LEAGUEに所属するプロバスケットボールチーム・神戸ストークスの応援アンバサダーに就任。応援ソングとして書き下ろした「コウノトリ」をリリースした。

さらに2026年1月11日にアルバルク東京の本拠地となる東京・TOYOTA ARENA TOKYOでワンマンライブを開催することになったベリーグッドマンは、オープンを1カ月後に控えた会場を訪問。ライブの下見を兼ねて、場内で撮影とインタビューを行い、実際に足を踏み入れての感慨はもちろん、新曲「コウノトリ」に込めた思いもたっぷり語ってもらった。

なお、取材当日はスケジュールの都合で不参加となったメンバーのHiDEXからは、TOYOTA ARENA TOKYOワンマンへ向けた意気込みと、「コウノトリ」に込めた思いをつづったコメントが到着した。こちらも合わせてチェックしてほしい。

取材・文 / 高岡洋詞撮影 / 山崎玲士

隔たりのなさが一体感を生む

──スポーツと縁の深いベリーグッドマンですが、どちらかというと野球のイメージが強いせいか、神戸ストークスの応援アンバサダー就任とバスケットボールアリーナでのライブ開催にはちょっと驚きました。

Rover TOYOTA ARENA TOKYOのようなバスケットボールチームの本拠地が各地にできた中、僕らもメジャー10周年を迎えるので、“新たな出発”という意味で新しい場所でライブがやりたいと思ったんです。バスケットボールとはあまり関わりがなかったけど、2022年の11月にアルバルク東京の試合のハーフタイムショーに出演させてもらったときに観た試合がめっちゃカッコよくて。ヒップホップやEDMが流れてて、ストリート感もあるし、迫力もすごくて、僕たちの音楽もフィットしそうだなと思ってました。ライブハウスもホールももちろん大好きですけど、多くの人に観ていただけるライブを考える中で、ちょうど運よくこのアリーナが完成することを知って、「ここでやろう!」と。

MOCA 僕は高校時代は野球部でしたけど、バスケ部の子とも仲がよくて。母校の延岡学園のバスケ部は当時から全国レベルだったんで、試合の応援に行ったりしてたんですよ。でも初めて観たプロリーグのアリーナ試合はやっぱり高校生の試合とは全然違っていて(笑)。エンタテインメント性が高くて、音楽との親和性もかなり高いなと感じましたね。そんな中、神戸ストークスさんのアンバサダーをやらせてもらうことになり、TOYOTA ARENA TOKYOオープン直後のタイミングでライブをするチャンスをいただいて「ぜひともやりたい!」という感じでした。

左からRover、MOCA。

左からRover、MOCA。

──これまで野球場やバスケットボールアリーナ以外に、プロスポーツが行われる場所でライブをした経験はありますか?

Rover 今年の5月に「NTTジャパンラグビー リーグワン」のピッチでヤマハスタジアムに立たせてもらいました。

──僕は今日の取材で生まれて初めてバスケットコートに立ったんですが、身が引き締まるような感覚がありました。お二人はいかがですか?

Rover ついこの間、ここと同じバスケットボールアリーナのGLION ARENA KOBEでレコーディングさせてもらったんですけど、コートと客席の境目があんまりないんですよね。それが不思議というか、こんなに観客と一体感のある感じなんだなって、けっこうびっくりしました。

──野球場はグラウンドと観客席の間にネットがありますもんね。

Rover バスケットコートは客席までボールが飛んでくるぞ!みたいな距離感ですよね。今日も実際にコートに立ってみると、思った以上に客席との距離が近いんですよ。

──大きな選手たちが縦横に走り回りながらボールを操るわけですから、すごい迫力だろうなと思います。

Rover 前に試合を見せてもらったときは「こんな音楽の演出あるんや」と知ったことが一番の衝撃でした。シューズがキュッキュッキュッ、ボールがドンドンドン、みたいな音を予想してたら、相手チームにすごい圧をかけながら音楽で演出してたんですよ。ヒップホップのライブイベントみたいな感じで。

TOYOTA ARENA TOKYOの正面入口から中へ入るRoverとMOCA。

TOYOTA ARENA TOKYOの正面入口から中へ入るRoverとMOCA。

──試合中に流す音楽は、ホームチーム側が選曲を?

MOCA そうです。DJもいて、サンプラーを叩いたりとか。

Rover 音楽に合わせてチアがめっちゃ踊るみたいな。ショーとして見せてる感じでした。

MOCA でもやっぱりコートは聖域だと僕は思ってるんで、実際に立つと緊張しますね。普通だったら立つことのできない場所なので、入るのが申し訳ない気持ちです。

──野球のグラウンドに立つのとはまたちょっと違いますか?

MOCA そうですね。ある種コンパクトな場所で、あんなガタイの人たちがぶつかり合いながら、ちっちゃなゴールに球を入れる戦いがいかにパワフルで繊細か、コートに立って実感しました。

Rover 行ったり来たりがすごいあるじゃないですか。あと攻撃してたと思ったら2秒後に守備に回るみたいな。1試合で何km走ってんねやろ。フィールドの広いサッカーとはまた違って、目まぐるしい攻防戦がある感じですね。

──ライブに来るお客さんも、未体験の距離感と空気感でパフォーマンスを楽しめそうですね。

MOCA 自分たちが経験したライブ会場の中では、形と規模が大阪城ホールに近いんかなと思います(参照:ベリーグッドマン、夢の大阪城ホールワンマンを1万人が祝福「てっぺんとったで!」)。ライブになるとステージが組まれるので仕様も変わると思いますが、隔たりがあまりないので、一体感を生みやすそう。

ベリーグッドマンのツアーグッズを手に、熱烈に応援している雰囲気の2人。

ベリーグッドマンのツアーグッズを手に、熱烈に応援している雰囲気の2人。

意外とよく見えるんですよ

──ベリーグッドマンはこれまでいろんな場所でライブをしてこられましたが、印象に残っている会場は?

Rover 中野サンプラザはめっちゃ音いいなと思いました。あとはやっぱり甲子園球場ですかね(参照:ベリーグッドマンが3万人と大合唱、Roverの涙で大団円を迎えた夢の甲子園ワンマン)。あれはもう最高でした。

MOCA それに、不思議なんですけど、2回目に来るとあんまりデカく感じなくなるんですよ。例えば大阪城ホールも、初めてやったときはちびりそうなぐらいデカく感じたんですけど、その後に専門学校の入学式とかフェスとかで行ったら「あれ、こんなちっちゃかったっけ?」と。甲子園も自分たちのワンマンライブを終えて、100周年記念アンバサダーとして行ったとき、「あれ? 想像よりちっちゃいな」と感じたりして。そのときに成長を感じられるというか。偉大さみたいなところは変わらないけど、気持ちの部分で食らってたものが解き放たれて、「またやりたい」とか「次はこんなんやってやりたい」みたいな気分で挑めるんですよ。今日もここに来て「めっちゃ広いな」って感じますけど、いざライブを終えたら「あれ? あんまデカくないな」と思うかもしれないです。

バスケットコートで拳を突き合わせるRoverとMOCA。

バスケットコートで拳を突き合わせるRoverとMOCA。

──心理的な距離が変わるんですかね。自分の仕事場のひとつみたいな感覚になるというか。

Rover あとは人が入ってるか入ってないかの違いも大きいですね。人が入ると意外によく見えるんですよ。「あくびしてんな、あの人」ぐらい(笑)。それでめちゃくちゃリアルになって、そのあと来たときに「あれ? こんな感じやったっけな」みたいな現象が起きるんちゃうかなと思います。

──今日は人が入っていないので、まだ広さを感じる状態ですね。

MOCA あとは、ステージ組んでもらって立ってみたら、あまり広く感じないこともあって。「僕らがやりやすいように、めちゃくちゃいい感じで作ってもらえてるんだ」と思ったり。