ナタリー PowerPush - Base Ball Bear”

普通ってなんだ?「二十九歳」完成までの苦悩

「二十九歳」とは?

──本作のタイトル「二十九歳」というのは、バンドの現在を表す言葉なんですか?

小出祐介(Vo, G)

小出 そうですね。まあセルフタイトルだと思ってもらえればいいと思う。現時点のBase Ball Bearっていうくらいの。ここまで話してきた通り、今回のアルバムは僕自身の中にあるすごく曖昧なニュアンスを表現した作品なんです。だからタイトルにもあまり意味を持たせたくなくて。

──僕は今までの皆さんの話を聞いていて、今回のアルバムは紆余曲折あった小出さんがようやく自分自身のありのままを受け止めることができた、自分を肯定したアルバムなんじゃないか、と思ったんです。

小出 あー、そういう受け取り方もありますね(笑)。

──しかもバンドのメンバーというかけがえのない人たちと一緒に。

小出 でもね、今回はあえてアルバム全体を物語にするのをやめたんです、途中で。もともとそういうのはすごく好きだし「新呼吸」なんかは、まさにそういう作品だし。でもこの「二十九歳」では答えを提示したくなかったんですよ。物語性の名残として「光蘚」「魔王」があって、ちょっと答えっぽくなってるけど、あれも“答え風”のものでしかない。

──なぜ答えを提示したくなかったんですか?

小出 この「二十九歳」ってアルバムは、僕の遠回りの記録なんですよね。これまで僕が違和感として抱いてたこと、それはさっき言った今作のテーマもそうだし、これまでの作品で言ってきた心の壁がどうこうとか、周りへの拒絶とか、自意識やアイデンティティがどうとかっていう僕の葛藤や悩みっていうものを全部引き連れて、もうそのままでいい、と。今までの僕は、どこかでずっと誰かになりたがっていたわけですよ。でも自分は自分でしかないので、どっかでそれをやめたんですよね。「新呼吸」以降の、この3年間のどこかで。ようやくそれが不毛なことだということに気付いたんです。

──はい。

小出 でもそれって飲み込めないんですよ、なかなか。結局誰かに憧れてたほうが楽じゃないですか(笑)。自分の荷物を預けるようなもんで。そのほうが楽なのはわかってるんだけど、でもそれは自分のなりたい自分じゃないし。だから、僕はものすごく遠回りをして結局自分になりたいだけだったんだっていうことに気付いたんだと思います。

──自分の荷物は自分しか背負えない、と。

小出 そうですね。だからこそ物語性を排除したかったし、答えのないフラットな状態の作品にしたかったんです。真顔の作品(笑)。もちろん僕にだって喜怒哀楽、いろんな感情があるけど、それに酔わずに作ったアルバムなんです。

ツアー情報

Base Ball Bear「2014年秋ツアー」(仮)

  • 2014年9月6日(土)群馬県 高崎club FLEEZ
  • 2014年9月7日(日)茨城県 mito LIGHT HOUSE
  • 2014年9月13日(土)岡山県 CRAZYMAMA KINGDOM
  • 2014年9月14日(日)鳥取県 米子 AZTiC laughs
  • 2014年9月16日(火)京都府 磔磔
  • 2014年9月20日(土)北海道 札幌PENNY LANE24
  • 2014年9月21日(日)北海道 帯広Rest
  • 2014年9月23日(火・祝)北海道 函館club COCOA
  • 2014年10月4日(土)香川県 DIME
  • 2014年10月5日(日)高知県 X-pt.
  • 2014年10月11日(土)宮崎県 SR BOX
  • 2014年10月12日(日)福岡県 DRUM LOGOS
  • 2014年10月16日(木)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
  • 2014年10月18日(土)新潟県 新潟LOTS
  • 2014年10月19日(日)石川県 Kanazawa AZ
  • 2014年10月25日(土)広島県 広島CLUB QUATTRO
  • 2014年10月30日(木)大阪府 なんばHatch
  • 2014年10月31日(金)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2014年11月2日(日)宮城県 darwin
  • 2014年11月3日(月・祝)岩手県 Club Change WAVE
  • 2014年11月7日(金)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
  • 2014年11月11日(火)東京都 下北沢GARAGE
ニューアルバム「二十九歳」/ 2014年6月4日発売 / EMI Records
「二十九歳」
初回限定盤 [CD+DVD] 3780円 / UPCH-29167
通常盤[CD] 3165円 / UPCH-20353
CD収録曲
  1. 何才
  2. アンビバレントダンサー
  3. ファンファーレがきこえる(Album Mix)
  4. Ghost Town
  5. yellow
  6. そんなに好きじゃなかった
  7. The Cut feat. RHYMESTER(Album Mix)
  8. 方舟
  9. The End
  10. ERAい人
  11. スクランブル
  12. UNDER THE STAR LIGHT
  13. PERFECT BLUE(Album Mix)
  14. 光蘚(Album Mix)
  15. 魔王
  16. カナリア
初回限定盤DVD収録内容
  • メンバーによる初の公式インタビュー
  • 2014年4月4日、TOUR「光蘚」ファイナル 名古屋ボトムラインでの最新ライブ映像 (全6曲収録)
Base Ball Bear(ベースボールベアー)

小出祐介(Vo, G)、関根史織(B, Cho)、湯浅将平(G)、堀之内大介(Dr, Cho)からなるロックバンド。2001年、同じ高校に通っていたメンバーによって、学園祭に出演するために結成された。2006年4月にミニアルバム「GIRL FRIEND」でメジャーデビューを果たした。2010年1月には初の日本武道館単独公演を実施。さらに全国のさまざまなライブやイベント、フェス出演も精力的に行なう。近年は他アーティストとのコラボレーションも盛んになり、2012年に7月に発表したミニアルバム「初恋」でヒャダインや岡村靖幸と、2013年6月リリースのミニアルバム「THE CUT」では、RHYMESTERや花澤香菜と、それぞれ共演している。2014年6月に約2年7カ月ぶりとなるフルアルバム「二十九歳」を発表。同年9月からは全国のライブハウスを回るツアーも実施する。