こだわり詰まった多彩な収録曲

──アルバムの収録曲はどのように決めていったんですか？

ミク　基本的に今作では作家さんに曲を作っていただいているので、全体の雰囲気については事前にメンバーとスタッフで話をしました。それを作家さんサイドに伝えて、候補曲を選んでいくという形を取りました。

──具体的にはどのような作品にしようと思ったんでしょう。

彩姫　前作に入っている「REAL EXISTENCE」の疾走感というか、攻めてる感じを作品で表現したいなと思いました。

歌波　「REAL EXISTENCE」は前作でファンから人気があったし自分たちでもとても気に入っていて。あと「Thrill（スリル）」のようなハードロックテイストの曲もまたやりたかったので、この2曲の要素を混ぜたソリッドなイメージを作品全体で打ち出したかったんです。

──ソリッドなイメージとは裏腹に「Brand New Road」はジャジーで、今作の中だと異色でした。

茜　「Brand New Road」ではベースソロでジャズっぽいフレーズを入れてて。アルバム全体の中では単調さを感じさせないアクセントになってる1曲かな。

歌波　サウンドがロックでグルーヴがジャズっぽい曲はBAND-MAID初だよね。

茜　疾走感で押し切れなくてごまかしが効かないからちょっとしたリズムのズレとかにもシビアになっちゃって。レコーディングでは納得いく結果が出せるまでに時間がかかりましたね。スネアのハネた感じにもすごくこだわって。

──茜さんはジャズ系のバンド経験はなかったんですか？

茜　ジャズ系はサポートでやったことがあるんですけど、ノリが難しいですね。「Brand New Road」のドラムはTOTO のシャッフル感を意識したのでオリジナリティがあるとはいえないかもしれないですけど、自分の引き出しに今までなかったリズムパターンが作れたのはよかったかな。MISAとも相談しつつ、スティングの「Englishman in New York」のベースラインを参考にしてバスドラのコンビネーションを考えました。

MISA　グルーヴについては話し合ったよね。私は専門学校で習ったくらいだったので、ジャジーなフレーズを考えたのは初めてでした。

──あと「LOOK AT ME」は大きく曲が展開していくあたりが面白いなと思いました。

歌波　デモをいただいたときには驚きましたね。「ああ、ここで転調させるんだ」って（笑）。この曲はギターソロに入るタイミングで転調してキーが上がって、ソロ終わりに今度はテンポが下がるんですよ。激しいソロも好きだしゆったりしたソロも好きなのでやりたいことが全部できちゃう、そんな曲ですね。あとワウも入れてて、この曲のために素早くエフェクトの切り替えができるようにワウをCrybabyからMorleyのものに変えるとか、ライブを想定したシステムを考え直しました。

──「alone」はバンドで作詞作曲した楽曲です。

MISA　今作ではこの1曲だけがバンドだけで作った楽曲になります。Bメロのベースラインや渋みのあるアレンジもそうだし、音色的にも弾いていて気持ちいいゴリゴリ感が存分に出せた1曲で特に気に入っていてます。

歌波　自分の好きなハーモニックマイナー、ディミニッシュとか不穏な響きのソロやコード進行を入れられたので、私もこの曲はお気に入りです。

茜　ドラムはAメロとBメロで違うアプローチをかけたり、スネアの刻み方もツインペダルを使ったバスドラとのコンビネーションにこだわったパターンをいろいろ詰め込めたので楽しかったです。

──「Before yesterday」はGARNET CROWの岡本仁志さんが作曲していますね。

彩姫　これは私の推し曲です。超エモいので好きですね、あんまり私の感性にはないエモさだし。

──自分の中にない感覚を歌うときってどう感情を込めるんですか？

彩姫　客観的にその歌詞の登場人物を見て歌ってる感じというか、自分が歌ってる姿を自分が客観視しているっていう。