先日放送が終了したテレビアニメ「グレンダイザーU」でオープニングテーマを担当していたGLAYと、エンディングテーマを手がけたBAND-MAID。レーベルメイトである2組がニューアルバムを同時期にリリースすることを記念して、音楽ナタリーにて対談を企画した。
GLAYからはバンドの“アニメ・ゲーム班”要員であるTERU(Vo)とHISASHI(G)が、BAND-MAIDからはバンドの顔として活躍する小鳩ミク(G, Vo)とSAIKI(Vo)、コンポーザーを務めるKANAMI(G)が参加。お互いに対する印象に始まり、それぞれが「グレンダイザーU」に提供した楽曲の制作エピソード、バンドとして活動し続ける面白さに至るまで、さまざまな話題が飛び出す対談となった。
取材・文 / 西廣智一撮影 / Shin Ishikawa(Sketch)
「わーっ、本当にいたんだ!」「存在した!」
──8月の「SUMMER SONIC 2024」幕張公演で、GLAYとBAND-MAIDは同じ日に出演していました。一緒に記念撮影した様子はSNSでも確認できましたが、当初はお互いにどんな印象を持っていましたか?
HISASHI(GLAY / G) まずビジュアルから「どういう音楽をやるんだろう?」って、ちょっと頭がバグる感じですよね(笑)。
TERU(GLAY / Vo) 最初にお会いしたのが台湾でのイベントだったんですが、当時からめちゃくちゃ話題になっているのは知っていました。当初は女性がゴスロリの格好でバンドをやっていることに対して、珍しいイメージがありましたね。で、実際にお会いしたら……今のこの雰囲気のままでした(笑)。(小鳩、SAIKIを順に指差しながら)めちゃくちゃ陽キャもいるし、陰キャもいるし。すげえなと思いました。
小鳩ミク(BAND-MAID / G, Vo) このまんまという(笑)。
HISASHI 最初はビジュアルの先入観が大きかったけど、演奏を聴いたら説得力がすごくて。
TERU あんなにハードだと思わないもんね。
HISASHI 一度観たらファンになるって。メンバー同士の掛け合いもすごくて、あれはおじさんたちには刺さるよ(笑)。
TERU サマソニでもステージを拝見したんですけど、これは海外に行っても胸を張れるなと実感しました。
SAIKI(BAND-MAID / Vo) そう言っていただけて、本当にうれしいです。
──BAND-MAIDの皆さんにとっては、GLAYは音楽活動を始める前から第一線で活躍していたわけで。
KANAMI(BAND-MAID / G) 知らないわけがないですよね。
SAIKI 生まれたときから聴いて育ってきました。
TERU そうなるよねえ(笑)。
小鳩 季節ごとに必ずGLAYさんの楽曲が流れてくるという、生活の一部のような存在だったので……。
SAIKI まさかお会いできるとは思ってなかったですし、こうやって取材でご一緒させていただけるなんて。あの頃の自分に教えてあげたいです(笑)。
KANAMI 私、ギターを始めて最初にライブで演奏したのが「HOWEVER」だったんです。
TERU・HISASHI えーっ!
小鳩 当時のKANAMIちゃん、びっくりしちゃうっぽね。
SAIKI だって最初にお会いしたときも、私たちの中では「わーっ、本当にいたんだ!」っていう感覚でしたから。
KANAMI 「存在した!」という。
小鳩 だから、初めて台湾のイベントでご一緒させていただいたときも、「私たち、一緒にいていいのかな?」みたいな感覚がありましたっぽ。
SAIKI 緊張でだいぶ冷や汗が出たよね(笑)。
HISASHI でも、BAND-MAIDは「Lollapalooza」(アメリカ・シカゴで開催されているロックフェスティバル)に出演しているわけですし、海外では皆さんのほうが先輩。BAND-MAID姐さんですからね。
小鳩・SAIKI・KANAMI いやいやいや!
SAIKI すごい方々に「すごい」って言ってもらえてる。それ自体がすごいことです(笑)。
GLAYとBAND-MAIDの共通点は
──お互いの音楽や活動を通して共感できる、シンパシーを感じる点であったり、逆に自分たちにはない魅力的だと感じる部分はありますか?
HISASHI 「グレンダイザーU」の試写会に行ったとき、エンディングでBAND-MAIDの「Protect You」が流れたんですけど、すごく丁寧な音楽だなと感じて。音楽作りの姿勢においてすごく共感できました。
TERU 一貫してBAND-MAIDというブランディングを突き通しているところは、僕らもGLAYというブランディング、4人の立ち位置をすごく大事にしているので、すごく共感できますね。
HISASHI ちゃんと個性を確立させて、それをここまで貫いているのはいいことだと思います。
SAIKI ありがとうございます。
小鳩 私たちから見たら、GLAYの皆さんはライブもそうですし、普段過ごされてるときの雰囲気もそうですけど、メンバー仲がとてもいいのがすごく素敵だなと思っていて。私たちもだいぶメンバー仲がいいので、先輩方のようにずっと仲よくいられたらなと。
SAIKI 私たち、けっこう引かれるぐらい仲がいいので。よく周りから「気持ち悪い」って言われます(笑)。
TERU へー、そうなんだ。
小鳩 メンバー5人でごはんに行ったりすることもしょっちゅうありますし。
KANAMI GLAYさんもそうですよね?
HISASHI だって、誰もイヤって言わないしねえ(笑)。
小鳩 私たちもそうだっぽね。「一緒にごはん行こう」って言ったら行きますし、「飲みに行こう」って言ったら一緒に行きますっぽ。
HISASHI 打ち上げも?
小鳩 メンバー同士でしたりしますっぽね。
TERU そういうところは一緒なんだね。
SAIKI 音楽を続けていくうえでメンバー仲は大事なので、引き続き見習っていきたいと思います。
TERU ぶつかったりはしない?
SAIKI 大きいぶつかり合いはないですね。みんなけっこうはっきり言うタイプなので、嫌なことは嫌と言うし。
小鳩 話し合いみたいなことは全然あるんですけど、一般的なケンカみたいなことはないですっぽね。
TERU 音楽についても?
小鳩 そこも都度都度「じゃあ次はそっちをやろう、今はこっちをやってみよう」とか、そういう話し合いだったりっていうのはあったりしますっぽ。
熱血少年マンガタイプはTERU、サブカルチックな作品はHISASHI
──では、ここからは「グレンダイザーU」のテーマソングについてお話を伺っていきます。まず、GLAYが担当するオープニングテーマ「会心ノ一撃」について。
HISASHI ちょうど去年のツアー中に「こういうアニメのテーマソングの話があるんだけど」ということをライブの5分前に知らされてお引き受けしたんです。そのときはまだアニメ制作に関する詳細が決まってなくて、あとからアニメーション制作や監督やキャラクターデザインを誰が担当するかを知ってすごく驚いて(※「グレンダイザーU」は総監督を「機動戦士ガンダムSEED」「新世紀GPXサイバーフォーミュラ」の福田己津央、キャラクターデザインを「新世紀エヴァンゲリオン」「サマーウォーズ」の貞本義行、劇伴を「ONE PIECE」「サクラ大戦シリーズ」の田中公平が務め、アニメーション制作はGAINAが手がけた)。「グレンダイザー」はロボットアニメの礎を築き上げた作品だから敬意を表したいなと、自分なりの解釈で曲を作ってみました。
──歌詞の内容やテーマに関して、アニメ制作チームからオーダーはあったんですか?
HISASHI オンラインミーティングをしましたけど、特に「こういう内容にしてほしい」という指示はなかったです。なので、アニメのストーリーと自分たちのメッセージ性がうまくリンクするところを探していくことをまず意識しました。実は、この曲自体はもともとは「グレンダイザーU」用に書いたものではなくて。
TERU コロナ中にとあるオファーが来て、僕とHISASHIでそれぞれ2曲ずつ持ち寄ってアレンジしたりしてたんです。そこで激しい2曲とちょっとポップな2曲があったので、激しい曲はYOW-ROWくんにアレンジを任せてみようかってことでできた1曲が「会心ノ一撃」の元になる楽曲。そういう中で「グレンダイザーU」の話が来て、この曲がいいよねってメンバー間で意見が一致して、そこからアニメ用に作り直したんです。
KANAMI GLAYの皆さんは4人とも曲を書けるのがすごいですよね。
HISASHI アニメやゲームのお話が来ると、主にこの2人が担当するんだけどね(笑)。
小鳩 担当があったとしても、誰でも曲が書けるのがすごいですっぽね。
HISASHI BAND-MAIDも前向きな曲担当、後ろ向きの曲担当とかないの?
小鳩 歌詞に関してはあるかもしれないですっぽね(笑)。
HISASHI GLAYだったら熱血の少年マンガタイプがTERUで、ちょっとダークだったりサブカルチックなのが僕なのかな(笑)。
SAIKI なるほど(笑)。
KANAMI この曲のドラムって……。
HISASHI 打ち込みです。
KANAMI やっぱり。最初、打ち込みなのか生ドラムにトリガーとかコンプ(レッサー)をめちゃくちゃかけてベタベタにしているのか、どっちなんだろうってメンバーと話していたんです。
HISASHI 一応叩いてもらったんだけど、やっぱり曲の雰囲気的に違うなってことになって。
KANAMI そうだったんですね。
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攻めより守りをテーマに