バカリズムと(バカリズム×秦基博)|4年越しの思い叶う 日テレ系「バズリズム」発ユニット“ハタリズム”が贈る名バラード

小出祐介に対するライバル心が動機

──バカリズムさんは過去にアイドリング!!!の楽曲に作詞家として参加したり、定期的に単独ライブに向けてRAM RIDERさんと楽曲制作をしていたりと、アーティストと音楽を作る機会が多い芸人さんですよね。

バカリズム そうですね。

──今回は秦さんのほうから「一緒に曲を作りたい」と提案されたということですが、そういう活動を見ていて思うところもあったんですか?

 えっと……そういうことでもないんですけど……。

バカリズム そこしっかり。秦さん、そこしっかり(笑)。

秦基博

 僕はそれよりも、小出さんに対するライバル心のほうが強かったですね……!「いいなあ」って。しかもその「いいなあ」って思ったものを「バズリズムライブ」でギターを弾くだけっていう形でやらせてもらって、それが超悔しかったのが動機です。ステージでは「あの名曲を自分が披露できてうれしい」っていう気持ちと、「自分の曲だったらもっとよかったな」っていう気持ちが半々ぐらいありました。

バカリズム 僕は逆に、秦さん的には「自分が作るとかじゃなくて、演奏で参加するならいいですよ」って感じだと思ったんですよ。これぐらいの関わり方だったらOKなんだろうなって。そしたら「作る」って言ってくださって、びっくりでした。面白そうだと思ってくれてたんだなって。

 もちろんですよ。だから、僕のほうからちょっとずつちょっとずつ近付いていって。「矢野フェス」の大部屋で挨拶した日から4年経って、ようやく今、こうやって隣にいるんです。

歌詞を見たとき、絶対いいバラードにしなきゃいけないと思った

──秦さんは、バカリズムさんがこれまで作詞してきた曲に対してどんなイメージを持っていましたか?

 「女性のそれ、言っちゃうんだ」みたいな、風刺的な歌詞だなと思ってました。2014年の「矢野フェス」でバカリズムさんが土岐麻子さんと披露していた「男は女が思っているほど 女の浴衣は好きじゃない」っていう歌詞の曲(堂島孝平が作曲した「僕の気持ち」)とか(参照:矢野フェス初日はコラボ満載&あの衝撃が再び)。だからそういう目線の曲が来るのかなあと思ってたんですけど、バカリズムさんが会議室で約30曲分のタイトル案をバーっと並べたら、そんなこともなく(笑)。

バカリズム 僕、こういうときのアイデアって選択肢をたくさん出すようにしてるんですよ。例えばネタ番組でも時間帯に合わせて、どんなネタを披露するのかをスタッフさんと擦り合わせるので。今回は秦さんが損をしないようにとか、テレビでオンエアできるようにとか、ゆくゆくはほかの音楽番組に出たいとか、そういう大人の事情的なことも考えて。あと「下ネタはまずい」となったときのために、下ネタじゃないタイトルを入れたり、でも逆に「攻めましょう」っていうパターンもあると思ったから、攻めた感じのタイトルを入れたりだとか。いろんな種類を用意して。

──そうして考えていった結果、「『いくらだと思う?』って聞かれると緊張する」に決まったんですね。

バカリズム 30個の中でもこのタイトルは一番ソフトと言うか。どの時間帯でも出せる曲ですよね。

 そのタイトルが決まって、そのあと歌詞をいただいたんですけど「これは絶対いいバラードにしなきゃいけない」って思いました。

──なぜバラードにしようと思ったんですか?

 なんでですかねえ……人間の心の機微を突いてくる歌詞だから、心が動くメロディがいいと思ったんですかね。でも、そのときは全然考えてなかったです。直感的にバラードにしようと思いました。

バカリズム 秦さんは降りてくるタイプなんです。僕、わりと絞り出すタイプなんですけど(笑)。

 いや、歌詞が呼んだんじゃないですかね(笑)。あと面白かったのが、歌詞にリズムを持った言葉が並んでるなって思ったんです。バカリズムさんがこれまでたくさん作詞をしてきた方だからこそ、メロディは作りやすかったですね。

次々と現れるプロを前に「この人は怒ってないかな?」

──秦さんの楽曲を聴いたとき、バカリズムさんはどんな感想を持ちましたか?

バカリズム いや、よすぎて笑っちゃいました。すごい名曲だなと。しかも仮歌を入れたのが秦さんだったんで「もうこれでいいじゃん! これ出したら売れるじゃん!」「これ、俺が歌うの?」って、完成度の高さからくるプレッシャーがハンパなかったです。ライブで歌うのはわりと勢いでいけるんですけど、ちゃんとスタジオで歌録りするとなると……ちょっと緊張感が違いましたね。

 確かにレコーディングでは、いつもとは違うバカリズムさんでした。印象的だったのが、オケを録る日と歌を録る日が違ったんですけど、オケ録りの日にも来てくださったんですよ。それで、その日に1回歌っておいたら慣れるし、歌録りの日も楽なんじゃないかと思って「1回歌ってみたらどうですか?」って提案したんですけど、断固として拒否するんですよ。「いや、大丈夫です!」って(笑)。

左からバカリズム、秦基博。

バカリズム いやいやいや、中途半端な状態で臨んだらものすごく恥ずかしい思いをするし、自分の精神衛生的にもよくないと思って。自分のダメさを思い知って帰るのも嫌だし、ちゃんとデモテープを聴き込んでから挑みたいなと。だからそこは意地でも……。

 断固拒否でしたね。けっこう頑なに(笑)。

──レコーディングメンバーは玉田豊夢(Dr)さん、鈴木正人(B / LITTLE CREATURES)さん、久保田光太郎(G / peridots)さん、皆川真人(Piano)さんというそうそうたるメンバーです。皆さん、秦さんと親交のある方々ですよね。

 よくご一緒してる方たちですね。あと、ロックバラードっていう今回のサウンドイメージにぴったりなんじゃないかな?と思って。

バカリズム へー! そういうイメージがあったんですね。

 曲を書くとだいたい「この曲のドラムはこの人にやってほしい」とか、「ギターはこの人にやってほしい」とか、イメージがパッと浮かぶんですよ。あと演奏が素晴らしいのはもちろんなんですけど、何度も一緒にお仕事をしてきたので、僕の意図を汲んでくださる。デモテープを聴いただけで「こういうふうにしたいんだな」とか、「最終的にこういう形になるならこういうプレイをしようかな」とか、僕が何も言わなくてもパッとやってくださるんですよ。

──楽曲を聴いたときの皆さんの反応はいかがでしたか?

 んー……反応ってどうだったんだろう? あんまり曲の感想は言わず、いつも通りレコーディングしてる感じで。

バカリズム そうなんですよね! すごい方たちっていうのを事前に聞いてたし、現場でそんなにたくさん会話をしたわけじゃないから「……怒ってないかな?」って思ってました。

 あははは(笑)。

バカリズム 快くニコニコしながらやってくださるんですけど、「ホントに大丈夫かな?」って。もう……それの連続なんですよ。秦さんは最初に「一緒に曲を作りましょう」って誘ってくださったから堂々とできるけど、次々と現れるプロの人たちとか、大人の人たちには「この人は怒ってないかな?」「この人は大丈夫かな?」って気を遣ってました(笑)。

 いい意味でホントにいつも通りだったんですよね。皆さん「いい曲にしよう」っていう思いだけで演奏してくださって。それでエモい部分もある、いいバラードができあがりました。

バカリズムと「『いくらだと思う?』って聞かれると緊張する(ハタリズム)」

※配信は8月26日0:00から

「『いくらだと思う?』って聞かれると緊張する(ハタリズム)」

[配信] 250円

iTunes

レコチョク

[配信] 257円

mora

収録曲
  1. 「いくらだと思う?」って聞かれると緊張する(ハタリズム)
バカリズムと
バカリズムと
日本テレビ系の音楽番組「バズリズム」内でスタートしたバカリズムのメジャーデビュー企画。毎回さまざまなアーティストとコラボし、楽曲を作り上げる。第1弾は秦基博とのコラボユニット・ハタリズムとして「『いくらだと思う?』って聞かれると緊張する(ハタリズム)」を配信リリースした。第2弾では水野良樹(いきものがかり)とタッグを組み、ミズノリズムとして楽曲を制作している。
秦基博(ハタモトヒロ)
秦基博
1980年生まれ宮崎県出身のシンガーソングライター。横浜を中心に弾き語りでのライブ活動を開始し、2006年11月にシングル「シンクロ」でデビュー。柔らかな声と叙情豊かな詞、耳に残るポップなメロディで大きな注目を浴びる。2007年9月に発表した1stフルアルバム「コントラスト」が支持を集め、2009年3月に初の東京・日本武道館公演を実施。2011年には自身3度目の武道館公演を全編弾き語りで成功させた。2013年10月に自身が選曲したセレクションアルバム「ひとみみぼれ」をリリース。そして2014年8月発表の3DCGアニメ映画「STAND BY ME ドラえもん」の主題歌「ひまわりの約束」は130万ダウンロードを超える大ヒットを記録した。2015年12月には全曲のアレンジを自ら手掛けたセルフプロデュースの5thアルバム「青の光景」を発表。2016年9月に行われたオフィスオーガスタによる野外ライブイベント「Augusta Camp」ではプロデュースを務めた。デビュー10周年を迎え、2017年5月には横浜スタジアムでワンマンライブを開催。6月には初のオールタイムベストアルバム「All Time Best ハタモトヒロ」を発売し自身初のアルバムウィークリーチャート1位を獲得、ロングヒットが続いている。