あゆみくりかまき インタビュー|恩師への思い、ここから始まる“大逆襲”

制約から解放され、思いはより強く

──あゆみくりかまきは2016年の夏に熊から人間の姿になり、熊の姿に戻る条件として“熊仙人”から「2017年内に東京・日本武道館でのワンマンライブの開催を発表する」という課題を与えられましたね。そして2017年末の東京・渋谷CLUB QUATTRO公演で、日本武道館公演の開催発表ができないこと、そして熊の姿に戻ることはできないことを告げられました。この熊から人間に戻れるか否かの期間はどういう気持ちで過ごしていたんですか?

まき 常に何かに追われている感覚でした。とにかくずっと焦っていて「あれをやってこれもやらなきゃ。そうじゃないと武道館に行けない。終わりだ」って自分に言い聞かせていました。去年10月にやったEX THEATER ROPPONGI公演で、年末の渋谷CLUB QUATTROでのワンマンライブで是非がわかると言われて、緊張の糸みたいなものがプチンと切れたんです(参照:武道館目指すあゆみくりかまき、ツアー千秋楽で熊仙人から新たな試練)。ずっと「2017年内に武道館ライブの開催を発表する」という目標に向けてがむしゃらに突っ走ってきていたので、ついにその日が来たかと。

くりか

くりか 私も「もう時間がない!」って、ずっと焦っていました。今振り返るとすごく空回りしてたなと思います。

──熊に戻ることができないことを告げられたのは、その焦りから解放された瞬間でもあったんですね。

まき 熊に戻りたい気持ちは今でも持っているんですけど、限られた時間から解放された安堵感は正直なところありました。日本武道館という目標は、最初は熊仙人に決められたものだったけれど、応援してくれるまたぎたち(あゆみくりかまきファンの総称)の顔を見て「絶対にみんなを連れていきたい! 日本武道館でやりたい!」という気持ちがだんだん強くなって。だからその課題のためにがんばったことは無駄じゃなかったと言うか、新しい夢が自分たちの中で芽生えるきっかけになりました。

あゆみ  私も目標を達成できなかったことがすごく悔しかったから、この気持ちをバネにしてもっと歌で表現していきたいと思えましたね。そしてその表現ができたらもっとたくさんの人に思いが伝えられるはずだと思いましたね。

──あゆくまとまたぎの絆は、ここ数年でより強固なものになりましたよね。そういう熱量で応援してくれているファンがいる状況で、「日本武道館でのワンマンライブはできない」というシビアな現実を突き付けられたのはお互いにとってすごくショッキングな出来事だったと思ってたんです。でも今の話を聞いたら、結果的にいい方向に作用したと言うか、またアクセルを踏み込むいいきっかけになったんですね。

まき そうですね。年末のワンマンライブのMCで「熊には戻れない。でもこのアルバムから“大逆襲”を始めます」って宣言したときのまたぎの熱い声援が本当にすごくて。それを聞いて「この人たちを連れて一刻も早く武道館に行きたい!」という気持ちが強くなりました。

みんなの歌い方の幅を広げた松隈ケンタとの出会い

──「大逆襲」はタイトル通りの決意が見える内容のアルバムですが、熊に戻れないという事実があったうえでアルバムを作っていったんですか?

まき

まき アルバムの制作は先に決まっていて、今回の件があって内容を徐々にそこに寄せて制作していった感じですね。アルバムのタイトルはメンバーで決めたんですけど、年末のワンマンライブでも宣言した「大逆襲」という言葉がライブが終わっても3人の頭の中にずっと残っていて。このタイミングで出すアルバムにはぴったりだなと思ったんです。1つの決意表明みたいなものにできたらいいなという思いがありました。

──アルバムオープニングを飾るのはBiSHなどの楽曲を手がける松隈ケンタさんの提供曲「残像フラッシュバック」です。逆境に立ち向かっていく内容の歌詞と攻撃的なサウンドが印象的な1曲ですよね。

まき 大好きな松隈さんのサウンドにあゆくまらしい歌詞が合わさっためちゃくちゃお気に入りの曲です。とにかく松隈さんの曲を歌えることがうれしかったんですけど、歌うのは難しかったですね。松隈さんが楽曲を提供しているグループの子たちの歌い方のイメージがあったので、どうしてもそっちに寄ってしまって。レコーディングのときに松隈さんはとあるライブ映像に「残像フラッシュバック」を乗せた映像を見せてくれて、「この曲でこういうフロアにしたい」っておっしゃったんです。

あゆみくりかまき

──誰のライブ映像だったんですか?

まき ELLEGARDENさんでした。それを観たら「あ、あゆくまのライブパフォーマンスのまんま、魂の叫びでいいんや」と思ったんです。そこからは迷うことなく自分らしく歌うことができました。

くりか 松隈さんはくりかの歌声にびっくりしていました。何本も録って聴いてくれて、的確なボーカルディレクションをしてくださって、ありがたかったですね。ボーカルディレクションの方法が面白くて「怖い人たちがいっぱいいるイメージで歌って」って言われたときはびっくりしました。たぶん声が弱々しかったんだと思います。その“怖い人”に立ち向かうイメージで歌ったら何か1つ殻を破れて。落ちサビのところは自分の歌いたい感じでいくつかパターンを録って、最終的には自分が思うままに歌ったものが採用されました。いろんなものを試したうえで自分らしいのを使ってもらえてうれしかったです。

あゆみ

あゆみ  あゆみはレコーディングの最初に「残像フラッシュバック」を10回通しで歌わされたんですよ。「これ録ってるのかな?」と思いながら歌っていたんですけど、10回歌い終わったら「はい、じゃあ今からレコーディングです」って言われて(笑)。それに驚いていたら松隈さんが「今すごくしんどいやろ? 今の気持ちで歌うのがあなたの魂の叫びだからここから録らせて」って言うんですよ。レコーディングは大変でしたけど、余計なことを考えずに歌った魂の叫びをぜひ聴いてもらいたいですね。

──それぞれ松隈さんとのレコーディングで得たものがありそうですね。

まき そうですね。みんな歌い方の幅が広がったなと思います。2人の今まで聴いたことがない声が入っていて、歌声に厚みが出たなと思いました。

あゆみくりかまき「大逆襲」
2018年3月28日発売 / SME Records
あゆみくりかまき「大逆襲」初回生産限定盤

初回生産限定盤
[CD+Blu-ray]
4800円 / SECL-2268~9

Amazon.co.jp

あゆみくりかまき「大逆襲」通常盤

通常盤
[CD]
3000円 / SECL-2270

Amazon.co.jp

CD収録曲
  1. 残像フラッシュバック[作詞:竜宮寺育 / 作曲:松隈ケンタ / 編曲:SCRAMBLES]
  2. 反抗声明[作詞:TENGUBOY / 作曲・編曲:APAZZI & U.M.E.D.Y.]
  3. Amagami Days[作詞・作曲・編曲:井上ジョー]
  4. ゴマスリッパー[作詞:たむらけんじ / 作曲・編曲:APAZZI & U.M.E.D.Y.]
  5. 未来トレイル[作詞:金子麻友美 / 作曲・編曲:APAZZI & U.M.E.D.Y.]
  6. SUGOROKU[作詞:田中秀典 / 作曲・編曲:APAZZI & U.M.E.D.Y.]
  7. 旅立ちの唄[作詞:Saku(hotarubi) / 作曲・編曲:APAZZI & U.M.E.D.Y.]
  8. つながり[作詞・作曲・編曲:藤野翔之]
  9. HAVE A NICE DAY,世界[作詞:あゆみくりかまき、久下真音 / 作曲・編曲:Yocke]
  10. 絆ミックス[作詞:田中秀典 / 作曲・編曲:APAZZI & U.M.E.D.Y.]
  11. 泣き顔笑顔[作詞:金子麻友美 / 作曲・編曲:APAZZI & U.M.E.D.Y.]
  12. 星降る夜空に…[作詞・作曲・編曲:4106xxx]
初回生産限定盤Blu-ray収録内容

LIVE FOOTAGE from「ボクらの熊魂2017~あゆくまと行く全国ロッカショー!~supported by uP!!!」(2017.10.21)

  • WAR CRY
  • ジェットクマスター
  • 鮭鮭鮭
  • 心友フォーエヴァー
  • ゴマスリッパー
  • 真相はどうでもいい。
  • 女子か。
  • 「キミが好き」「キミが好き」
  • SUGOROKU
  • 反抗声明
  • KILLLA TUNE
  • 旅立ちの唄
  • ナキムシヒーロー

公演情報

尊敬という名のGIG SP supported by uP!!!
2018年5月4日(金・祝)東京都 Zepp Tokyo
出演者
あゆみくりかまき / BiS / ベイビーレイズJAPAN
あゆみくりかまき
あゆみくりかまき
歌うたいの「あゆみ」、DJ の「くりか」、盛り上げ役の「まき」からなる、関西出身のアイドルパンクDJユニット。2012年1月にくりかとまきが「くりかまき」名義で活動を開始した。2013年8月に1stシングル「アナログマガール」を発売。2014年5月にあゆみが加入し「くりかまき」から「あゆみくりかまき」へと改名した。7月に新体制となって初めてのシングル「ジェットクマスター」をリリースし、8月には「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」「SUMMER SONIC」など大型フェスに出演。2015年3月にシングル「鮭鮭鮭」でメジャーデビューし、同年9月に東京・渋谷CLUB QUATTROで行ったワンマンライブはソールドアウトを記録した。2015年の年末に交通事故に遭い、予定していたライブイベントを2本キャンセル。その後の動向に注目が集まっていたが、2016年1月には予定通りワンマンツアー「ボクらの熊魂2016~チャーハン・シャケ缶・とーめーはーん!~」を東京、大阪、愛知の3カ所で開催し、事故からの復活を果たした。4月に1stフルアルバム「あゆみくりかまきがやって来る!クマァ!クマァ!クマァ!」を発表。6月に全国5都市を回るワンマンツアー「ボクらの熊魂2016 ~ここで一句!『東名阪 仙台広島 まわるんやぁ』~」を開催した。11月にアニメ「NARUTO -疾風伝-」のエンディングテーマ「旅立ちの唄」をシングルリリース。2018年3月にメジャー2ndアルバム「大逆襲」を発表する。