浅井健一|聴く者の血を沸かせるベンジー5年ぶりのソロアルバム

ドラムを自転車で運んだ高校時代

──「目を閉じる映画」も照井さんとの楽曲ですけど、これは青春を振り返るような歌詞が演奏と1つになっていていいですね。

まあ、長い時間を生きてきた人の曲というか(笑)。

──照井さんと演奏すると昔を思い出すから、こういう曲ができるのかなとか思いました。

浅井健一

いや、曲は照ちゃんとやる前からできてた。自分自身の思い出の曲というか。そういう曲はたくさんあるんだけど、またできあがった感じだね。53歳の自分が振り返る曲。45歳のときの自分が振り返る曲もあったし、いろんな歳に振り返る曲がある。

──歌詞の中に、「ドラムを自転車で運んだ」というくだりがあってびっくりしました。

運べるんだよ。バスドラの片面にヘッドが張ってなくて、そこにフロアやタムを入れて、その上にスネアを乗っけて。ほんでスタンドとかも縦にして中に入れてさ(笑)。そんなにでかいドラムじゃなかったんで、それを友達と手で押さえながら運んだ。

──荷台に縛り付けずに?

しなかったと思うね。沢田研二の「ストリッパー」を歌いながら運んだよ。歌ったら、友達に笑われた。どうしても音程が取れない箇所があってさ。

──そのドラムの持ち主は、元ブランキーの中村達也さんではなくて?

そのときはまだ達也と会っとらんね。高校2年のときだったね。ふと思い出したんだよね、そのことを。

──「ストリッパー」を歌いながらも、その頃にはもう曲を作っていたんですか?

うん、「Kills a Teacher」をね。

──それが最近にもつながってる! 2013年には加藤隆志(東京スカパラダイスオーケストラ / G, Cho)さん、渡辺圭一(B, Cho)さん、茂木欣一(東京スカパラダイスオーケストラ / Dr)さんと浅井健一 & Bad Teacher Kill Clubというバンドを組んでいましたよね。

そうだね(笑)。

音楽はメンツによって変わってくる。

──「目を閉じる映画」という言葉の意味は?

普通映画は目を開けて観るけど、とあるひとりぼっちの夜なんかに、目を閉じて遠い昔のことなんかに思いを馳せると、いろんな場面がまぶたの裏に浮かぶでしょ。そういう懐かしい場面場面が、自分にとっての音のない映画だという意味。

──そういった歌詞と、照井さんとの演奏の持ち味がしっくりきてますね。

そう思うよ。照ちゃんの前で俺が弾いて、それに照ちゃんが反応してフレーズが出てきてると思うんだけどさ。照ちゃんのインスピレーション、想像力が冴えていて、どんどん作りあげていった。もちろん仲田くんも憲太郎も素晴らしい。

──ドラムはSignalsで照井さんと組んでる椎野恭一さんですね。

うん、椎野さんもすんごいです。

──ほかにも照井さんとの曲だと、「だからってさ」もすごくいいなと思いました。「世界は希望だ」というポジティブな思いを、照井さんたちとのコンビネーションで温かく鳴らしている感じで。こういう曲は、特に照井さんと一緒にやりたくなるんですか?

そうだね。照ちゃんも自分がメインの活動があるから、俺とやるときは、あくまで手伝うというスタンスだけど。

──レコーディングでは何回ぐらい合わせるんでしょう。

3回ぐらい照ちゃんちに行ったかな。そこでベースラインを作っていって。椎野さんとは1回合わせて、それでレコーディングしたね。

──完成するまで早そうですね。

早いね、照ちゃんとやると。悩まないんだわ。

──揚げ足を取るようですけど、仲田さんとだと悩んだり?

SHERBETSも悩まない。だけど今回、仲田先輩と(岡屋)心平と「METALLIC MERCEDES」を録ったときのほかの曲は「なんか到達できてないのかな?」と思うときがあって。音楽はメンツによってすごい変わってくる。仲田くんも心平も素晴らしすぎるよ。心平なんか外人みたいだし。

──KILLSの中尾憲太郎さん、小林瞳さんとは?

1stアルバムのときはけっこうスムーズだったけど、2枚目から少しずつ悩むこともあったかな。でも、その壁をブチ破ると「アーッ!」って感じるところまでいくね(笑)。作曲の時点での完成度に寄るところが大きいんだけどね。

──世代も違うし、クリエイティビティのすり合わせが難しいんでしょうか。

世代が違うから聴いてきた音楽の世界が違うってのはある。薬品と一緒で、発火点が低かったり高かったりで反応も違ってくるし。

──キャリアではなくて?

浅井健一

キャリアじゃないと思う。持っているものの組み合わせ。

──この「BLOOD SHIFT」では、そんな違いのある人たちと一緒にやることでいろんな発火点を表現していると言えますか?

うん。色って混ぜると絶対汚くなってくじゃん。色が増えれば増えるほど。

──曲によってメンバーが変わると、それぞれの色の違いも鮮明になると。それがソロでアルバムを作る意味でしょうか。今回は照井さんとの落ち着いたテイストと、KILLSとのポップに弾む曲との色合いの違いがくっきり出ていて、今までにないソロ作だと思います。

メジャーコードの曲が大きいね。3曲ぐらいあるから。今までは徹底的にマイナーだったんで。

──それはこだわりがあったんですか?

いや、自然現象。今回は、なんかメジャーコードがいいなと思ったんだよ。ここに来て、「メジャーコード楽しいな」「音階がとんがってるなあ、やっぱり」とか思って。

──それを最初に感じた曲は?

「暗いブルーは暗いブルーさ」だね。1曲目の「Old Love Bullet Gun」もコード進行はどこにでもあるようなものだと思うんだけど、メロディがすごくポップで気に入ってる。今までにない感じだよね。

浅井健一「BLOOD SHIFT」
2019年9月25日発売 / アリオラジャパン
浅井健一「BLOOD SHIFT」初回限定盤

初回限定盤 [CD+DVD]
4536円 / BVCL-996~7

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浅井健一「BLOOD SHIFT」通常盤

通常盤 [CD]
3240円 / BVCL-998

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CD収録曲
  1. Old Love Bullet Gun
  2. METALLIC MERCEDES
  3. 暗いブルーは暗いブルーさ
  4. Sunny Precious
  5. Colorful Elephant
  6. 目を閉じる映画
  7. 目覚める時
  8. Very War
  9. DEAD FISH
  10. HARUKAZE
  11. だからってさ
初回限定盤DVD収録内容

「SEEDS」

  1. METALLIC MERCEDES
  2. Old Love Bullet Gun
  3. INDY ANN
  4. FRIED TOMATO
  5. Ginger Shaker
  6. Sunny Precious
  7. and more

浅井健一(アサイケンイチ)
浅井健一
1964年生まれ。愛知県出身。1991年にBLANKEY JET CITYのボーカル&ギターとして、シングル「不良少年のうた」とアルバム「Red Guitar and the Truth」でメジャーデビューを飾る。数々の名作を残し、2000年7月に惜しまれつつ解散。その後、SHERBETSやJUDEなどさまざまな形でバンド活動を続け、2006年7月にソロ名義では初となるシングル「危険すぎる」、同年9月に初ソロアルバム「Johnny Hell」を発表した。繊細なタッチで描かれるイラストも高く評価されており、絵本や画集などを発表している。2016年5月に新たなソロプロジェクト・浅井健一 & THE INTERCHANGE KILLSを始動。メンバーは浅井、中尾憲太郎(B)、小林瞳(Dr)で、同年10月にシングル「Messenger Boy」、2017年1月にアルバム「METEO」を発表した。2019年9月には約5年ぶりのソロアルバム「BLOOD SHIFT」をリリースした。

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