音楽ナタリー Power Push - 浅井健一 & THE INTERCHANGE KILLS

浅井健一新プロジェクト始動 2つの才能と新しい世界へ

浅井健一が「浅井健一 & THE INTERCHANGE KILLS」として約2年ぶりとなるソロユニットでの活動をスタートさせた。

ユニットのメンバーは中尾憲太郎(ex.NUMBER GIRL、Crypt City / B)と、カナダやアメリカなどで活動してきた小林瞳(Dr)。8月に東京・新代田FEVERで初ライブを行った3人は、10月5日にシングル「Messenger Boy」を発表する。本作に収録された楽曲の生々しいアンサンブル、映像喚起力と刺激的なストーリー性に溢れた歌詞からは、中尾と小林との出会いによって、浅井のクリエイティビティがさらに活性化されていることが伝わってくる。

今回は浅井、中尾、小林の3人にインタビューを実施。3人の出会い、新曲のセッションから今後のビジョンなどについて自由に語ってもらった。

取材・文 / 森朋之 撮影 / moco.(kilioffice) 題字 / 浅井健一

たくさんの人と一緒にこの世界で泳ぎたい

──「Messenger Boy」の収録曲はどの曲も生々しいエッジが効いていて、すごく新鮮な印象を受けました。

浅井健一 あ、ホント? うれしいな。

──今回のメンバーはベースが中尾憲太郎さん、ドラムが小林瞳さん。この3人で活動することになった経緯を教えてもらえますか?

浅井 去年から今年にかけてSHERBETSで2枚アルバムを出して、次はソロをやろうと思って。それが今年の3月くらいだったんだけど、「すごいドラマーがいる」っていう噂がSHERBETSの仲田(憲市 / B)経由で流れてきて、それが瞳ちゃんだったんだよね。合わせてみるとすごくよくて、理想的なグルーヴだったから「ぜひやりたい」と思って。ベースに関しては、マネージャーが昔から憲太郎と知り合いだったみたいで、紹介してもらった。3人で合わせたらバッチリで、そこでスイッチが入ってさ。5月に熱中してプリプロをやって、その中でできた4曲を出し惜しみしないで入れたのが今回のシングルなんだよね。

──なるほど。中尾さんのこれまでのキャリアはよく存じ上げていますが、小林さんのことはいくらネット検索しても出てこなかったんですよ。一体、どこから来たのかと……。

中尾憲太郎(B)小林瞳(Dr) あはははは(笑)。

浅井健一 & THE INTERCHANGE KILLS

浅井 カナダから来たんだけどね(笑)。

小林 カナダでバンドをやってたんです。カナダで知り合った人と日本でライブをやってたこともあるんですけど、それはアンダーグラウンドの活動だったから、あまり知られてなくて。カナダではロカビリー系のバンドをやっていたこともありました。

──浅井さんの音楽性にも近かったんでしょうね。

小林 私自身は幅広く、いろんな音楽が好きなんですけどね。

浅井 会ったばかりのときに「瞳ちゃんは何が好きなの?」って聞いたんだけど、答えてくれなかったんだよね。

小林 覚えてたんですね、そのときの会話(笑)。

浅井 うん。でも、俺もいろんな音楽を聴くからね。カッコいい音楽はなんでも好きだからさ。

──浅井さんとのセッションはどうでした?

小林 緊張していたんですけど、好きな音楽だったし、ギターがすごくカッコよくて。自分が叩いてるドラムに対して「これでいいのかな?」という不安はありましけど、最終的には自分も納得できる形になりました。

中尾 うん。僕も最初はビビりながらやっていたというか(笑)、探り探りなところもあったんですが、振り返ってみると意外とスムーズだったと思いますね。集中してガーッと曲作りをやっていたんですけど、次から次にいろんなフレーズが出てきてどんどん構築されていって。

浅井 まず俺が未完成な曲を持っていって、みんなで試行錯誤して作り上げて。そういうやり方ばかりだね、俺は。あらかじめ楽譜を書くとか、デモテープを渡すとか、そういうことはしないから。

──曲作りセッションの段階から、手応えはありました?

浅井健一 & THE INTERCHANGE KILLS

浅井 そうだね。今までいろんな人とやってきて、毎回「すげえな」って思ってたけど、今回はめちゃくちゃスゴいんだよ。憲太郎のベースと瞳ちゃんのドラムがリズムを作って、俺がギターを弾くと、もう何も考えずにいい世界へ行けるから。「早く作品を完成させたい」って思ったし、「たくさんの人と一緒にこの世界で泳ぎたい」という気持ちもどんどん強くなって。無意識で壁を壊すくらいのところまで行きたいからさ、ミュージシャンとしては。憲太郎はそこまで行ったことあるらしいんだよ。

中尾 壁を壊した話はちょっと……(笑)。

浅井 (笑)。俺はまだその経験はしたことないからさ。ワザとやったらカッコ悪いでしょ? だから、やらざるを得ないところまで行きたいんだよね。それくらいのことが起きるんじゃないかって、直感的に細胞が認識したんだと思うんだわ。3人で音を合わせてから、今までにないくらいの集中力で曲を完成させていったしね。

──中尾さん、小林さんとのセッションによって、浅井さん自身の創作意欲が刺激されたと。

浅井 そう、ずっとスイッチが入りっぱなしになってるというか。まあ、あんまり「すげえ」って言い過ぎてやりにくくなったらイカンで、適度に「すげえ」って言っとこうかな。

中尾 こっちは必死ですけどね(笑)。

小林 はい(笑)。

SHELTER 25th Anniversary 浅井健一 & THE INTERCHANGE KILLS「Messenger Boy」RELEASE PARTY
  • 2016年10月9日(日)東京都 下北沢SHELTER
浅井健一 & THE INTERCHANGE KILLS METEO TOUR 2017
  • 2017年1月6日(金)愛知県 THE BOTTOM LINE
  • 2017年1月7日(土)大阪府 Shangri-La
  • 2017年1月12日(木)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
  • 2017年1月14日(土)宮城県 仙台MACANA
  • 2017年1月15日(日)福島県 郡山CLUB #9
  • 2017年1月21日(土)北海道 cube garden
  • 2017年1月28日(土)福岡県 DRUM Be-1
  • 2017年1月29日(日)大分県 COPPER RAVENS
  • 2017年2月3日(金)岡山県 IMAGE
  • 2017年2月4日(土)広島県 SECOND CRUTCH
  • 2017年2月9日(木)京都府 磔磔
  • 2017年2月10日(金)和歌山県 和歌山CLUB GATE
  • 2017年2月18日(土)長野県 ALEcx
  • 2017年2月19日(日)静岡県 Shizuoka UMBER
  • 2017年2月23日(木)東京都 LIQUIDROOM
浅井健一(アサイケンイチ)
浅井健一 & THE INTERCHANGE KILLS

浅井健一 & THE INTERCHANGE KILLS

1964年生まれ。愛知県出身。1991年にBLANKEY JET CITYのボーカル&ギターとして、シングル「不良少年のうた」とアルバム「Red Guitar and the Truth」でメジャーデビューを飾る。数々の名作を残し、2000年7月に惜しまれつつ解散。その後、SHERBETSやJUDEなどさまざまな形でバンド活動を続け、2006年7月にソロ名義では初となるシングル「危険すぎる」、同年9月に初ソロアルバム「Johnny Hell」をリリースした。繊細なタッチで描かれるイラストも高く評価されており、絵本や画集などを発表している。2016年5月に新たなソロプロジェクト・浅井健一 & THE INTERCHANGE KILLSを始動。メンバーは浅井、中尾憲太郎(B)、小林瞳(Dr)で、10月5日にシングル「Messenger Boy」をリリースする。今後アルバム「METEO」も発表予定で、2017年1月からは全国ツアー「浅井健一 & THE INTERCHANGE KILLS METEO TOUR 2017」を実施する。