アルカラ|ロック界の奇行師、15年の歩み

それぞれの持ち味を生かしたアレンジ

──あと4人共、すごく自由に演奏してるように聞こえました。ギターとベースがどっちもメロディアスなフレーズを弾いてたり。

稲村 僕が弾くベーシックなメロディに対して、それぞれどうアプローチしていくかなんですよね。「如月に彼女」「コンピュータおじさん」「ひそひそ話」「さすらい」はみんな僕のギターで始まるから、まずそこでリスナーの度肝を抜いて。「あとはよろしく!」って感じ。

下上 僕、これまではあまりエフェクターを使わなかったんですけど、今回は活用できたんじゃないかと思いますね。なんでなんやろ?

──シングル「炒飯MUSIC」のとき、シンセベース使ったことの影響もあるんですかね?

下上貴弘(B)

下上 そうだ! あのときくらいから徐々にいろんな音を鳴らすようになりましたね。ギタリストじゃないから音色についてよくわかんなくて、「ギターや歌の邪魔や!」みたいに言われるのが怖かったんですよ。「ベースやからこのくらいのポジションが普通」って考え方だし、めんどくさがりなのもあって、「こうしたほうがいいかな?」と思ってもわりと言わなかったんです。けど、スラップができるようになったりする中で、自分の選択肢が増えたと言うか。「コンピュータおじさん」も最初は音を歪ませる予定じゃなかったのが、オクターバーかまして1オクターブ下の音を出してみたら好評でした。

稲村 僕はあまり範囲を限定したくないので、ハマらなそうだからとあきらめるより、とりあえず新しい音を取り入れてくれたほうがええなと。

下上 でも「炒飯MUSIC」のときなんか、「それは合わんと思うで」ってボロクソ言うてたやんけ。

疋田 あはははは!(笑)

下上 「ホンマ腹立つわー」と思ったもん。でも、結果的に採用されたから、「けっこう俺の感覚は間違ってないねんな」って自信になったんでしょうね。

田原 ギターだと、シンプルな曲とそうでない曲の住み分けができるんじゃないですかね。「3017」なんかは限りなくシンプルやけど、「HERO」になるといろんな音が出てきたり、「コンピュータおじさん」もヘンテコで飛び道具系の音が多い。

疋田武史(Dr)

疋田 ドラムは最初に録るので、基本好き勝手やってますね。今回は曲のバリエーションもあるし、輪をかけていろいろ挑戦した感じ。で、録ったあとに「やりすぎかな?」って部分を修正していったりしました。その場の雰囲気でアレンジ変えたのは「ひそひそ話」。テンタムっていうちょっと小っちゃいタムを使ってるんですけど、たまたまスタジオにあったのをレコーディング当日に「おもろいんちゃう?」ってノリで取り入れたらハマって。

とりあえず、30年やれよ!

──歌詞に関してはどうですか?

稲村 「如月に彼女」は、言葉のチョイスを高3くらいのレベルにしました。そういう時代の恋愛を歌ってるんで、あまり深みのあるワードにしないように。全部で12曲やから、12カ月=1年間に見立てて季語を入れてみたり。あと、「KAGEKI」には1周聴いて1曲目に戻ったときに楽しめるギミックもありますね。RADWIMPSが「前前前世」なら、俺らは「後後後世」やなと。ボーナストラックに15年後のことをイメージした曲を入れてるんですが、自分に来世があるんやったらこのアルバムに出会いたいとか、そんなことも考えてました。

──結成15周年を迎えた今、未来の自分に何かメッセージを伝えるとしたら?

下上 今回のボーナストラックで結成30周年について、昔出した「ミ・ラ・イ・ノ・オ・ト」でも30年後のことを歌ってるんで、「とりあえず、30年やれよ!」ですね。それだけバンドができればええなと。

疋田 同じく。「アルカラというバンドを続けててほしい!」かな。自分にとって音楽を続けることとアルカラを続けることが同義語になっていたいですね。

田原 「ずっと続けてれば、いつかMetallicaと対バンできるかもしれないからがんばれ!」と(笑)。

稲村 僕は今作のボーナストラックで歌ってる、「ああタンバリンよタンバリン」「ちょうど今からしようと思ってたところだよ」「アルパカに乗った少年兵」って曲を絶対に書きたいんで、「それは書けよ!」と言っときます。未来への約束ですね。

アルカラ
アルカラ「KAGEKI」
2017年7月26日発売 / SPEEDSTAR RECORDS
アルカラ「KAGEKI」初回限定盤

完全生産限定盤 [CD+グッズ]
4500円 / VIZL-1194

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アルカラ「KAGEKI」通常盤

通常盤 [CD]
3240円 / VICL-64811

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収録曲
  1. 3017
  2. HERO
  3. キリギリスのてんまつ
  4. 如月に彼女
  5. さ・あ・な
  6. コンピュータおじさん
  7. ひそひそ話
  8. LET・IT・DIE(Album ver.)
  9. ピーターパンと夢の中
  10. 銀河と斜塔
  11. さすらい

ツアー情報

アルカラ「KAGEKIにやってくれないかチュアー」
  • 2017年10月27日(金)千葉県 K'S DREAM
  • 2017年11月1日(水)宮城県 仙台MACANA
  • 2017年11月2日(木)岩手県 Club Change WAVE
  • 2017年11月24日(金)北海道 苫小牧ELLCUBE
  • 2017年11月25日(土)北海道 Sound Lab mole
  • 2017年11月30日(木)香川県 DIME
  • 2017年12月1日(金)岡山県 PEPPERLAND
  • 2017年12月3日(日)広島県 SECOND CRUTCH
  • 2017年12月5日(火)福岡県 DRUM Be-1
  • 2017年12月14日(木)石川県 vanvanV4
  • 2017年12月15日(金)新潟県 CLUB RIVERST
  • 2018年1月6日(土)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2018年1月8日(月・祝)大阪府 Zepp Osaka Bayside
  • 2018年1月27日(土)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
アルカラ
アルカラ
稲村太佑(G, Vo)、下上貴弘(B)、田原和憲(G)、疋田武史(Dr)の4人からなるロックバンド。2002年7月に結成され、2003年2月に現メンバーとなる。2008年に1stアルバム「そうきたか」を発表。2011年7月にアルバム「こっちを見ている」でメジャーデビューを果たす。2013年には地元・神戸を舞台にしたサーキットイベント「ネコフェス」を主催し、以降毎年実施している。また9月にリリースしたアルバム「むにむにの樹」を携えて行った全国ツアーでは全25公演で10000人を動員した。その後もコンスタントにリリースを続け、2016年11月にアニメ「ドラゴンボール超」のエンディングテーマ「炒飯MUSIC」を収録したシングルを発表。2017年7月には結成15周年を迎え、同月にアルバム「KAGEKI」をリリースした。自らを「ロック界の奇行師」と名乗って活動中。