アルスマグナが11月27日にベストアルバム「ARS THE BEST」をリリースする。
全寮制の共学高校「私立九瓏ノ主(クロノス)学園」を舞台に、オリジナルの学園ストーリーを展開しながら活動するアルスマグナは、ニコニコ動画の「踊ってみた」カテゴリに投稿した動画で大きな話題を集め、2015年2月にメジャーデビュー。2016年1月と2017年3月には東京・日本武道館でのワンマンライブも成功させた。ベストアルバムには、あらゆるエンタテインメント満載のパフォーマンス集団になった彼らのおよそ5年間の歴史が凝縮されている。
音楽ナタリーでは、グループとメンバーそれぞれがメジャーデビューから約5年の時を経てどんな存在へと進化してきたのか、そして新たなフェーズへと突入するアルスマグナが思い描く未来について語ってもらった。
取材・文 / 平賀哲雄 撮影 / 曽我美芽
可能性は無限大
──ベストアルバム「ARS THE BEST」は、グループのヒストリーを振り返る機会にもなっていると思うのですが、活動を続ける中でアルスマグナはどんなグループに成長したと思いますか?
神生アキラ 2.5次元の世界という特別なコンテンツを持って世に出て行って、とにかく全力でみんなが楽しめるようなダンスを踊ってきましたが、活動を続けてきたことでいい意味で1つのコンテンツやイメージに捕らわれない、なんでもやれるグループになったなと思います。もちろん、ダンスも歌もやるけれども、毎年ツアーをやらせてもらっていく中でコントやお芝居、アクションなんかもやったりして。いろんなことをアルスマグナでできるようになった。それが一番大きい変化だと思います。
九瓏ケント 最初は「何をやったらいいのかわからない」というところからのスタートでしたけど、今は「これをしたら新しいものになるんじゃないかな、お客さんが盛り上がるんじゃないかな」といろいろ試しながらグループが育ってきているし、チャレンジがいっぱいできるようになった。“やらされている”という感じから“自分たちから発信している”というところまで1人ひとりが成長できていて、それぞれ個性がある中でいろんなことができている。それがアルスマグナの強みなのかなって。それは根底に“しっかりダンスを見せられる”という土台が僕たちの中にあるから成立しているんだとも思いますね。
泉奏 付加価値が1つや2つだけじゃなく、たくさんあるグループだなと思います。そもそも初めて見る人たちからすると、この身なりに対して疑問や違和感を感じると思うんですけど、こういう身なりの人間が一生懸命ダンスをしているということに価値がある。ライブ活動をしているだけなのかと言われるとそうではなくて、映画にチャレンジしてみたり、バラエティもやってみたり、ラジオもやってみたり、エンタテインメントと言われるものをすごく幅広くやらせていただく機会が多かったので、どこに行ってもアルスマグナっぽいというか、アルスマグナでいろんな付加価値を与えることができているなって。
朴ウィト 最初は出してもらえるイベントすらなかったんですよ。でもやれることがどんどん増えていって、歌やダンスだけでなく、お芝居やコントや……罰ゲームでゲンゴロウを食べたりだとかもして(笑)。それは僕らに興味を持ってくださった人たちが助けてくれるようになったからだと思うんですよね。ベストアルバムに収録されている新曲「エグいくらい超マグナ」のミュージックビデオ1つ取っても、すごく派手に作ってくれるチームがいるし。それってメイト(アルスマグナファンの呼称)はもちろんですけど、僕たちを知ろうとしてくれる人たちがすごく増えた結果なのかなって。だからいろんなことができるようになったし、僕らは1人ひとりチャレンジ精神があるので、何に対しても「やってみよう!」って気持ちになる。その相乗効果でいろんなカラーを見せられるグループになれたんだと思います。
榊原タツキ メジャーデビューから5年を迎える今、可能性は無限大だと感じています。最初は僕自身できないことも多かったですし、何をやってもなかなか手応えを感じられなかった。でも5年の歳月の中でいろんな経験をさせていただいて、例えば、昨年のツアーではお芝居の中でのライブエンタテインメントを実現できて、それが「もっともっといろんなことを追求していきたい」という向上心や自信につながっている。これから6年、7年と活動が続けば続くほど進化できるグループなのかなって。
──タツキさんの傍らにいつもいるコンスタンティンさんはどうでしょう?
一同 (笑)
タツキ コンちゃん自身も最初は世間を知らないところから始まったんですけど、でも今ではバラエティでもメンバーと同じぐらいトークできますし、ちゃんと辛辣なコメントもできますし、コンちゃんの引き出しも増えたと思うんですよね。なので、一緒に成長してきた存在。アルスマグナにいろんなものを与えてくれている存在だと思っています。
影を見せずに中心に立つアキラ
──皆さんは、ここまでさまざまな苦楽を共にしてきたと思います。そこでお聞きしたいのですが、アルスマグナの中で各メンバーがどんな存在になっているのか。1人ずつほかのメンバーに語っていただきたいです。
アキラ 書けるかなあ(笑)。このグループって不思議で、去年と今年で在り方が変わっているメンバーもいるんですよね。そこがもう面倒くさいんですよ。
奏 面倒くさいって言わないでください!
──では、アキラさんから。
奏 がんばっている姿をあんまり見せたくない人間。グループの真ん中に立って我々を引っ張っていく場面が多い存在なので、実際にはナーバスになっていたり、やることがたくさんあるから悩んでいたりもすると思うんですけど、そういう姿をメンバーに極力見せないようにしている。それは責任感の表れでもあると思うんです。ただ、さっきみたいに言葉が素直すぎるところもあるので……すぐ面倒くさいとか言うんですよ。ま、よく言えばイヤと言える日本人なんですけど、よく愚痴をこぼすんですよね。なので、プラマイゼロ。
アキラ 褒めてるんだか、貶してるんだか(笑)。
タツキ 僕にとっては永遠に超えることができない何かを持っている人ですね。ずっと一緒に活動してきて、勝てる部分が少ないというか。僕にとってはMCや歌やダンスのお手本が彼なんですけど、もともと持っているポテンシャルが高いのにここ数年で努力してもっともっと高みへ行っちゃっているので、一生追い続けたい存在ですね。
ケント メンバー内でこういう意見が出るのはすごくいいことですね。影で相当努力しているんだろうなと思うんですけど、僕たちが横で楽しく踊っている中で、メインボーカルとしてどれだけのものを背負っているのかなと思うときもあります。だからその負担を極力減らせるようにサポートができたらいいなって。なんでもかんでも背負い込むタイプなんですよね。周囲に振らないで、自分でなんとかしようとするタイプ。相当がんばっている。追い越そうと思うなら相当がんばらないと。
タツキ そうなんですよねえ。
ケント アキラはタツキの後輩なんですけどね。
タツキ 逆に学ばせてもらっています(笑)。
ウィト ここ数年で思っていることなんですけど、ライブ中のMCがすごいんですよね。安定しているというか、踊り終わったあとに疲れを見せないMCなんです。それはライブ全体のクオリティを1つも2つも上げるものだと思うので、本当に重要な役割を担っている。
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みんなを和ませるタツキ先輩