8. ナツオモイ
これもZeppツアーに向けて作った曲です。「サクラトーン」は春の曲で、夏のライブだから夏の曲も作ろうと思ったのが最初で。ピアノをポロポロ弾いてたときにメロディができました。もっと明るい曲でもいいかなって最初は思ったんですけど、結果的にこういうトーンになりました。両思いのハッピーソングではなくて、片思いのまま、好きと言えずに終わっていく、みたいな。
──曲調や歌詞には夏の終わりのイメージもあります。
勝手に少女マンガをイメージして描きました。最初にメロディと一緒に歌詞も仮で作ったんですけど、「君の声が聴きたくなっちゃったなあ」とか「もうすぐ夏が終わる」「このままじゃ夏が終わる」というのは最初に生まれた言葉のままなんです。でも、それ以外は全部書き換えて、1つの小説を作るつもりで書き直しました。夏のライブに向けて作っていた「Runaway」「ナツオモイ」「Do you know」「LAST SCENE」の4曲の中で、歌詞はこの曲が一番時間がかかりました。
──アレンジはどういうイメージで考えたのでしょうか。
アレンジは山口さんにお願いしたんですけど、いつもは歌詞が98%ぐらいできた段階でお渡しするんです。でもこの曲は時間もなく、ライブも迫っていたので、Dメロは仮の状態でお願いして。そうしたらDメロのところが私が思っている以上にドラマチックなアレンジで返ってきて、それが背中を押してくれて歌詞も書けました。先にアレンジをお願いしてよかったなと思います。
9. ペダル(shizuku ver.)
「ペダル」を作ったのはもう10年くらい前で、だいぶ記憶が残っていないんですけど……渋谷のカフェで書いたのは覚えてます。今読み返しても、自分のことをそのまま書いていますね。日記のような感じです。「LAST SCENE」とか「Do you know」は自分とかけ離れた感じですけれど。
──今回「ペダル(shizuku ver.)」としてアルバムのレコーディングメンバーと再録していますが、そこにはどんな思いが?
「ペダル」と「ハムスター」は、最初に自分で作った曲というのもあるし、ライブでバンドや弾き語りで歌っていくうちに、自分の表現したいことがだんだん見えてきたんです。もう少し工夫できそうだなって。それで、もう1回アレンジをして録り直したいと伝えて、キーも1つ上げました。ギターのカポを1つずらして歌ってみたら、それが今の自分に一番合ったキーだったんです。
10. ハムスター(shizuku ver.)
とにかく目まぐるしい、忙しない毎日の自分の心情がそのまま書いてある曲です。今見ると「もっとこういう表現ができたんじゃないか」と思ったりもしますけど。でも、自分が当時思っていたことが曲として残ってるのはすごくうれしいことですね。そのときにしか書けなかった歌詞だし、これを読むと「ああ、こうだった」って思い出せる。1曲1曲、そのとき感じていた自分の心情がすごく入っているなと思います。特に「ペダル」と「ハムスター」は未熟すぎたのもあって、自分のそのままが反映されてますね。嘘がないというか。
──この曲も「ペダル(shizuku ver.)」と同じタイミングでレコーディングしたんでしょうか。
はい。たまたま、この2曲の歌録りのレコーディングが自分の誕生日だったんです。コロナ禍の2020年3月15日に、お気に入りのスタジオでレコーディングさせてもらって。アレンジの山口さんがあのときプレゼントしてくれたグラスは今でも大事にしています。あと、細かい話ですけど、2番のAメロに入るところがストリングスとベースだけになりますよね。ここ、最初はピアノも入る予定だったけど、仮でピアノ抜きにしたら「これよくない?」って、急遽アレンジを変えたんです。前作は全部のレコーディングに立ち会うことはできなかったけど、今回はすべてに立ち会えたので、アレンジがその場で変わっていく過程が確認できたり、マスタリングとか曲間もエンジニアさんと1つひとつ丁寧に作っていけたのは、すごくよかったです。
11. ビー玉
この曲ができたのは「夢の途中」と同じタイミングでした。ライブのセットリストを想像したときに新しいバラードを歌いたいと思い。なので「ビー玉」は最初からバラードを作ろうと決めて作った曲です。最初はAメロとBメロだけ浮かんできて。自分にとって大切なバラードにしたいなと思ったので、サビは時間をかけて作ってあとから足しました。
──歌詞には自分の現在地を肯定しているような感じもありますね。
歌詞のイメージは、子供の頃に大事にしていたお手紙とかビー玉とか、そういうものを入れたお菓子の缶みたいなイメージで書きました。そこに大切にしまっているもの、そのときのピュアな気持ちは大人になっても忘れたくないという思い。でも大人になっていくと、いろんな声もあって。「小さい頃憧れていた 二十代」という歌詞にも、20代の私の思いと、「実際の20代はこうだったよ」と小さい頃の自分に語りかけるような思いが入っています。
いろんな彩りと緩急のあるライブを目指して
──アルバム全曲についてお話しいただきましたが、全11曲の曲順はどんなイメージで考えたんですか?
アルバムの曲順もライブをイメージしました。もし70分のライブをやるならこういうセットリストにしよう、という。ただ、「夢の途中」はライブだったら最後にやりたいんですけれど、アルバムでは1曲目に持ってきました。それは、自分の中で「まだまだやりたいことがいっぱいあるし、まだまだ夢の途中だよ」という今の思いにフィットしているなと思うので。
──アルバムのリリースを控えての今の思いはいかがでしょうか。
もう、早く次の作品を出したいという感じですね。
──この先はどんな曲を作っていきたいですか?
やっぱり私の根底にあるのはライブで。全部バラードとか全部ロックというのではなく、いろんな彩りと緩急のあるライブを目指しているから、そういうライブが作れるような楽曲を作っていきたいです。やっぱり、ライブに来てくれる人を増やしたいんですよ。音にこだわりたいというのもあって、ライブでもストリングスやホーンセクションを入れたいんです。もう少し大きいステージでライブができるようになったらそれをやりたい。新曲を出して、その曲を聴いて「いいな」と感じてくれた人が少しずつ増えて、その結果として、ライブのキャパが大きくなっていったらいいなと思います。それが今の自分が目指している場所ですね。
プロフィール
有安杏果(アリヤスモモカ)
1995年3月15日生まれ、埼玉県富士見市出身。子供タレントやキッズダンサーとして活動したあと、スターダストプロモーションのダンスボーカルグループ・Power Ageを経て2009年7月にももいろクローバーに加入した。ソロとしては2016年7月に神奈川・横浜アリーナにて初のソロコンサート「ココロノセンリツ ~Feel a heartbeat~ Vol.0』」を開催。2017年3月に4年間通った日本大学芸術学部写真学科を卒業した。10月11日に1stソロアルバム「ココロノオト」をリリースし、20日に東京・日本武道館でソロコンサートを開催。2018年1月にももいろクローバーZを卒業し、2019年にアーティスト活動を再開させた。2020年には「サクラトーン」「虹む涙」「Runaway」「ナツオモイ」と4曲を配信リリース。2021年からはギターもしくはピアノの弾き語りスタイルでのライブにも積極的に取り組んでおり、2024年2月には3都市のBillboard Liveでジャズスタイルでのワンマンライブ「有安杏果 Jazz Note 2024」を開催した。2026年4月、ソロアーティストとして2枚目のオリジナルアルバム「雫ノ音」をリリース。
有安杏果 Ariyasu Momoka (@ariyasu0315) | X
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