音楽ナタリー Power Push - Aqua Timez
10周年を経て見つけたもの、今鳴らすべき音楽
2015年にデビュー10周年を迎え、ベストアルバム「10th Anniversary Best RED」「10th Anniversary Best BLUE」をリリースし、2度目の東京・日本武道館ライブを開催。さらに2015年11月から2016年5月にかけて初の47都道府県ツアーを行うなど、精力的な活動を続けているAqua Timezがニューアルバム「アスナロウ」を完成させた。シングル「生きて」「最後までII」「12月のひまわり」を含む本作は、ロック、ヒップホップ、ワールドミュージックなどを取り入れた独特のミクスチャーサウンドをさらに進化させた意欲作。「もう一度行こうぜ」「あの日の未来へ」という強い意志を込めた表題曲「アスナロウ」を筆頭に、Aqua Timezの今後の方向性を示唆するような作品に仕上がっている。
音楽ナタリーではメンバー全員にインタビューを実施。10周年の活動の中で得たもの、アルバム「アスナロウ」の制作、さらに「ぬるま湯の状態のままではよくないと思っていた」(太志 / Vo)という危機感から生じた活動スタンスの変化などについて聞いた。
取材・文 / 森朋之 撮影 / 後藤壮太郎
10周年を経て、ようやくライブに自信が持てた
──まずは2015年の10周年について振り返ってみたいと思います。ベストアルバムのリリース、2度目の日本武道館公演などアニバーサリー的な活動が続きましたが、手応えはどうでしたか?
TASSHI(Dr) 武道館公演は自分たちの10年間の集大成として行ったライブなんですが、そのときに「ライブでもようやく自分たちらしさが出せるようになってきた」という自信を持てるようになりました。
OKP-STAR(B) Aqua Timezはデビュー前にライブハウスを回った経験がないんですよね。たまたまテレビに出させてもらって名前が広がっていったので、ライブでの伝え方がよくわかってなかったんです。知名度、人気に比べて実力が追い付いてなかったというか……でも、10年経ってやっと「これが自分たちのライブだな」と思えるものが見つかった手応えがあって。
大介(G) デビューして5年くらいはずっとガムシャラだったし、いつも目の前にあることに向き合っていた感覚があるんですよね。リリースのペースも速くて忙しかったし、ライブに関して迷ったり、悩んだりすることも多くて。たぶん2012年くらいなんですけど、いろいろ考えて、ライブのアレンジを一から全部やり直したんです。そのときに「うちらのバンドって、なんだろう?」「どういうことをやりたいんだろう?」「ファンが求めてるものはなんだろう?」ということも突き詰めて話して、「太志の歌詞、歌をきっちり届けることが大事なんだ」と確認できて。それから3年くらい経って、やっと武道館で形になったんじゃないかなと。
TASSHI 武道館のあとに思ったのは「これを全国各地に届けたい」ということだったんです。まだ自分たちの音楽を直接届けられていない場所もあったし、全国でライブをやりたいなって。
OKP-STAR 武道館で自分たちのライブのスタイルをつかめた手応えもあったし、その勢いを止めたくなかったんですよね。最小限の機材でライブハウスを回って、どれだけ通用するのかを試したい気持ちもあったし。タイミング的にも「やるなら、今しかない」って。
Aqua Timezはオンリーワンなバンド
──日本武道館でつかんだいい感触を日本全国で示したいということですね。
OKP-STAR そうですね。47都道府県ツアーの中でライブの楽しさ、難しさが改めてわかったし、ファンとの接し方、空気の作り方もすごく勉強になって。
mayuko(key) ライブハウスはお客さんとの距離もすごく近いですからね。全国を回る中で一番ベーシックなライブを体験できて、そこでたくさんのことに気付けて。今だから学べたこと、わかったこともいろいろあったと思います。
OKP-STAR この5人の音楽のやり方がわかったというか。バンドの地盤が固まったんだと思いますね、やっと。
──Aqua Timezはロックシーンで鍛えられたバンドではなく、どちらかと言うとJ-POPシーンから出て来た印象もありますからね。だけど音楽のスタイルは完全にバンドっていう。オリジナリティのあるスタイルだからこそ、自分たちで試行錯誤するしかなかったんでしょうね。
太志(Vo, G) 確かにオンリーワンなバンドだとは思っています。メンバーの音楽性も全然違うし、それがサウンドやアレンジにも出ていて。僕自身は高校生のときに山嵐を聴いたのが最初だったんです。ヘビーなバンドサウンドとラップの掛け合いがすごくカッコいいなと感じたし、山嵐がラッパ我リヤと一緒にやっているのを観て「ヒップホップとも絡むんだ!?」って思って。ただ、そういう男気のあるミクスチャーロックではなかったんですよね、僕らは。メロディがあるものが好きだったし、僕が曲を作るときもリフとかではなくて、まず歌メロから始めるんです。ギター1本でも成り立つような曲、アコギの弾き語りで路上でも歌えるような曲を作って、それをバンドでやるのがAqua Timezなのかなって。今回のアルバムは、それが一番バランスよくできたと思ってるんですよ。メロディの使い方がいいというか、それをもとにして思い切り音楽で遊べたアルバムですね。
──さっきのライブの話と同じで、楽曲や音楽性に関しても、Aqua Timezのスタイルをしっかり認識できたのかもしれないですね。
太志 そうですね。以前はシングルのカップリング曲とかでヘビーなミクスチャーロックをやったりしてたんですけど、そういう曲って結局、ライブでやれなかったんです。「俺らっぽくないな」と思ってしまって。ゴリゴリのサウンドは似合わないけど、メロディとラップが混ざっている感じのポップスとも違うっていう。その両方に対するカウンターなんだという意識は持ち続けていたいですね。
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- ニューアルバム「アスナロウ」 / 2016年12月14日発売 / EPICレコードジャパン
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 3900円 / ESCL-4767~8
- 通常盤 [CD] / 3200円 / ESCL-4769
- team AQUA限定盤 [CD+DVD+オリジナルデザインタオル] / 5000円 / ESC8-21
CD収録曲
- アスナロウ
- 最後までII
- 空想楽
- We must
- 冬空
- 12月のひまわり
- ソリに乗って
- サンデーパーク
- ナポリ
- Dub Duddy~ライブ前日に見た夢~
- 三日月シャーベット
- 閃光
- Pascal
- 生きて
- 魔法を使い果たして
初回限定盤DVD収録内容
- 生きて Music Video
- 最後までII Music Video
- 12月のひまわり Music Video
- アスナロウ Music Video
- アスナロウ Music Video Off Shot Movie
- Aqua Timez 47都道府県“Back to You” tour 2015-2016 Live&Documentary 予告編ショート
team AQUA限定盤DVD収録内容
- ディレクターTASSHIによる「12月のひまわり」Music Video Off Shot Movie 特別編
- 「まだ、はじまったばかりプロジェクト」イベント20161002@岐阜Off Shot Movie
- Aqua Timez 47都道府県“Back to You” tour 2015-2016 Live&Documentary 予告編ロング
アスナロウ TOUR 2017
- 2017年2月4日(土)埼玉県 狭山市市民会館
- 2017年2月11日(土・祝)広島県 JMSアステールプラザ 大ホール
- 2017年2月12日(日)山口県 スターピアくだまつ大ホール
- 2017年2月18日(土)群馬県 渋川市民会館
- 2017年2月19日(日)茨城県 常陸太田市民交流センター パルティホール
- 2017年2月25日(土)静岡県 三島市民文化会館ゆぅゆぅホール
- 2017年3月4日(土)大阪府 NHK大阪ホール
- 2017年3月11日(土)愛知県 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
- 2017年3月12日(日)岐阜県 バロー文化ホール
- 2017年3月17日(金)熊本県 熊本県立劇場 演劇ホール
- 2017年3月18日(土)福岡県 福岡市民会館
- 2017年3月20日(月・祝)福井県 鯖江市文化センター
- 2017年4月1日(土)宮城県 電力ホール
Aqua Timez(アクアタイムズ)
太志(Vo)、OKP-STAR(B)、大介(G)、mayuko(Key)、TASSHI(Dr)からなるロックバンド。2003年の結成後、東京を中心に活動を展開し、2005年発売のインディーズ盤「空いっぱいに奏でる祈り」がクチコミを中心に話題を集め、70万枚を超えるセールスを記録する。そして2006年4月にはミニアルバム「七色の落書き」でメジャーデビュー。さらに同年リリースのシングル「決意の朝に」「千の夜をこえて」が立て続けにスマッシュヒットし、その年の「NHK紅白歌合戦」にも出演する。以降、さまざまなジャンルを融合させた独特のサウンドと、琴線に触れるエモーショナルな歌声、メロディを武器に16枚のシングルと6枚のオリジナルアルバムをリリース。そして2016年12月、7枚目のオリジナルアルバム「アスナロウ」を発表した。