音楽ナタリー Power Push - Aqua Timez
10周年を経て見つけたもの、今鳴らすべき音楽
Aqua Timezは今、こういう音楽をやっています
──こういう話をインタビューの場でできるのも、メンバー同士のコミュニケーションが取れている証拠ですよね。
太志 そうですね。たまたまナタリーさんだけに言っちゃいましたけど(笑)。
一同 ハハハハハ(笑)。
太志 自分自身も「まだまだだな」って思いますからね。命がけで音楽をやっている同世代のバンドを見て「俺はここまではやってない。丈夫な足があるのに、胡坐をかいてた時期があった」と感じたりとか。今回はアルバムを完成させることができたけど、次はどうだろう?という気持ちもありますからね。また同じようなことを繰り返さないために個々が考えなくちゃいけないし、ファンに対しても「負けてはいけないんだ」という意思表示をしたいので。
──「アスナロウ」に込めた思い、メッセージ性をリスナーとも共有したいと。
太志 摩擦によって新たなものが生まれることもあると思うんです。会社や部活もそうだけど、ただ仲がいいってだけではうまくいかないだろうし。なんとなく気を遣い合っているうちにポテンヒットを打たれて試合に負けるとか、そういうのが一番嫌なんですよ。だからこそ、自分が得意とする分野を突き詰めるべきだなって。自分の場合は作詞と作曲だけど、それぞれがやれることを広げていくことで「Aqua Timezは今、こういう音楽をやっています」ということも伝えられると思うんです。
──アルバムの制作中はシビアな時期もあったと思うんですが、楽曲自体はすごくポップだし、しなやかな印象もあって。例えば「サンデーパーク」みたいな豊かなグルーヴって、メンバー同士の関係性がうまくいってないと生まれないと思うんですよね。
TASSHI それも全都道府県ツアーをやったおかげだと思います。メンバーのコンディションもいろいろだったし、ぶつかり合うこともあったけど、ライブではもちろん「最高のパフォーマンスをしたい」という気持ちがあって。その経験の中で、ようやく音に気持ちを乗せられるようになってきたんですよね。以前は「きっちりやろう」という意識が強かったんだけど、バンドのグルーヴがしっかりあれば、多少テンポが前後しても大丈夫だと思えるようになって。それが「サンデーパーク」の空気感にも出ているんだと思います。
mayuko 確かに47都道府県の前だったら、あのアレンジはできなかっただろうし、浮かんでいたとしてもうまく表現できなかったと思いますね。
ここからが本当の“フェーズ2”
──アルバムの最後に収録されている「魔法を使い果たして」も印象的でした。若いときの勢い、運をつかんで進んでいく時期を経て、本当の実力を付けながらバンドを続けていく意志が感じられるというか。
太志 そうですね。そのときには気付けないこともたくさんあると思うんですよ。例えば、10代の素晴らしさを本当に知っている10代はいないだろうし。あとになって振り返ったときに「10代というものがあったんだな」とわかるというか。そういう経験をずっと重ねていくものだと思うんですよね、人間は。自分たちもそういう脱皮を続けていきたいと思うし、その経験はこのアルバムにも生かされているんじゃないかなって。「アスナロウ」というアルバムを作ったことで、いい物語が続いていくというか……ベストアルバムを出したあとの最初のオリジナルアルバムだし、ここからが本当の“フェーズ2”だと思ってるんですよね、僕は。以前の自分たちと対決しないくちゃいけないと思うし、もっともっとレベルアップしていきたいですね。やっぱり「今のAqua Timezが一番いい」って言ってほしいじゃないですか。今回も「ストーリー性のある前作(『エルフの涙』)に勝つためにはどうしたらいいか?」って考えていたし、そういう挑戦をずっと続けていきたいので。
──まずは2017年2月からスタートする全国ホールツアー「アスナロウ TOUR 2017」ですね。
太志 「アスナロウ」がプロローグで、「魔法を使い果たして」がエピローグになるという構成だけは考えていて。その物語を空想するだけでもすごく楽しみだし、ホールという場所を生かしたツアーにしたいですね。アルバムの制作でこだわるべきところにはこだわったので、ツアーでもそれを大切にしようと思っています。
大介 「アスナロウ」を最大限に表現する環境をまずは整えたいと思っています。ライブを1本1本重ねる中で、変化する曲も出てくると思うんですよね。曲は成長するものなので、アルバムよりもさらにいいものを届けたいなと。
OKP-STAR ライブのアレンジ、曲のつなぎ方、MCの雰囲気など、すべてにおいて「Aqua Timezらしいな」と思ってもらえるようなライブをしたいですね。
──新しいフェーズに入ったAqua Timezの最初のツアー、非常に楽しみです。今日のインタビューでは今のAqua Timezのモチベーションについても聞きたいと思っていたのですが、最初から最後まで全部そういう話でしたね。
太志 自ずとそうなってましたね(笑)。バンドを続けるのは大変といえば大変だけど、がんばる人が正しいのは間違いないので。がんばらない人生よりも、がんばる人生のほうがいいというのは、僕らの音楽を聴いてくれる人たちとも共有したいですね。
TASSHI うん。
太志 結果がどうなるかはわからないし、すぐに結果が出るものではないという覚悟もありますからね。デビュー10周年を超えて、ここからは急がないで進んでいくのも大事だと思っています。
- ニューアルバム「アスナロウ」 / 2016年12月14日発売 / EPICレコードジャパン
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 3900円 / ESCL-4767~8
- 通常盤 [CD] / 3200円 / ESCL-4769
- team AQUA限定盤 [CD+DVD+オリジナルデザインタオル] / 5000円 / ESC8-21
CD収録曲
- アスナロウ
- 最後までII
- 空想楽
- We must
- 冬空
- 12月のひまわり
- ソリに乗って
- サンデーパーク
- ナポリ
- Dub Duddy~ライブ前日に見た夢~
- 三日月シャーベット
- 閃光
- Pascal
- 生きて
- 魔法を使い果たして
初回限定盤DVD収録内容
- 生きて Music Video
- 最後までII Music Video
- 12月のひまわり Music Video
- アスナロウ Music Video
- アスナロウ Music Video Off Shot Movie
- Aqua Timez 47都道府県“Back to You” tour 2015-2016 Live&Documentary 予告編ショート
team AQUA限定盤DVD収録内容
- ディレクターTASSHIによる「12月のひまわり」Music Video Off Shot Movie 特別編
- 「まだ、はじまったばかりプロジェクト」イベント20161002@岐阜Off Shot Movie
- Aqua Timez 47都道府県“Back to You” tour 2015-2016 Live&Documentary 予告編ロング
アスナロウ TOUR 2017
- 2017年2月4日(土)埼玉県 狭山市市民会館
- 2017年2月11日(土・祝)広島県 JMSアステールプラザ 大ホール
- 2017年2月12日(日)山口県 スターピアくだまつ大ホール
- 2017年2月18日(土)群馬県 渋川市民会館
- 2017年2月19日(日)茨城県 常陸太田市民交流センター パルティホール
- 2017年2月25日(土)静岡県 三島市民文化会館ゆぅゆぅホール
- 2017年3月4日(土)大阪府 NHK大阪ホール
- 2017年3月11日(土)愛知県 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
- 2017年3月12日(日)岐阜県 バロー文化ホール
- 2017年3月17日(金)熊本県 熊本県立劇場 演劇ホール
- 2017年3月18日(土)福岡県 福岡市民会館
- 2017年3月20日(月・祝)福井県 鯖江市文化センター
- 2017年4月1日(土)宮城県 電力ホール
Aqua Timez(アクアタイムズ)
太志(Vo)、OKP-STAR(B)、大介(G)、mayuko(Key)、TASSHI(Dr)からなるロックバンド。2003年の結成後、東京を中心に活動を展開し、2005年発売のインディーズ盤「空いっぱいに奏でる祈り」がクチコミを中心に話題を集め、70万枚を超えるセールスを記録する。そして2006年4月にはミニアルバム「七色の落書き」でメジャーデビュー。さらに同年リリースのシングル「決意の朝に」「千の夜をこえて」が立て続けにスマッシュヒットし、その年の「NHK紅白歌合戦」にも出演する。以降、さまざまなジャンルを融合させた独特のサウンドと、琴線に触れるエモーショナルな歌声、メロディを武器に16枚のシングルと6枚のオリジナルアルバムをリリース。そして2016年12月、7枚目のオリジナルアルバム「アスナロウ」を発表した。