夢というのは1人では絶対に叶えられない

──「flower」の歌録りはいかがでしたか？

難しかったです。この曲の仮歌を聴いたときに、ちょっとタメを作りながら歌うところがあってもいいなって思ったので、意識して歌ってみたんです。でもそういったちょっとR&Bテイストのグルーヴを完璧に出すのが僕としてはすごく難しくて。何度も歌いながらがんばって乗り越えた感じなので、そういう部分でのチャレンジも今回はありました。

──声のニュアンスは曲によって自然と変化すると前回のインタビューでおっしゃっていましたが、今回もそこは変わらずですか？

そうですね。声質なんかは全然考えずにいつも歌ってるので……どうなんでしょう？ 曲によってちゃんと変わってるんでしょうか？

──はい。収録される3曲ともまったく違った声の表情が出ていますよね。

そうですか。ならよかった！

──「flower」を歌っているときにはどんな画を思い浮かべていました？

それはもうやっぱりライブのことですよね。ステージの上から見る皆さんの笑顔やサイリウムの美しい海が鮮明に思い浮かんでましたよ。

──それはまさに、サビにある「たったひとりでは見えないFantasy」ですよね。

はい。「たったひとりでは見れない夢を」というフレーズもありますけど、すべてがそうだと思うんですよ。ライブはもちろん、アニメのお仕事などに関してもいろんな方々と一緒に作り上げていくからこそ叶えられる夢がある。夢というのは1人では絶対に叶えられないと僕は思うんです。この曲を歌っているとそういうことが改めて身に染みてくるのを感じますね。

みんなが大好きな歌声を保つために

──楽曲の持つ美しさを視覚的にも表現したMVも素敵でした。

今回は中性的な感じに、カッコよくキレイに撮っていただきましたね。ダンスの練習時間があまり取れなかったのでちょっと心配ではあったんですけど、振り付けの先生が上手に教えてくださったし、一緒に踊るダンサーさんの力もお借りしてなんとか踊ることができました。

──ダンサーとのフォーメーションがばっちり決まるところ、すごくカッコいいですよね。

あー、ありがとうございます！ まさに今回のMVではBメロで縦から斜めになるフォーメーションが見どころです。あとは「one」って言って指を1本立てるところも特徴的かな。「one」というのはみんな1人ひとりのことでもあるし、それらが集まってできた大きな1つっていう意味でもあります。で、最後はダンサーさんたちと一緒に大きな花を作るんですけど……それはもちろんカサブランカの花です！

──ちなみにダンスのレッスンって日頃から受けているんですか？

踊ることはずっと好きだし、覚えるのは速いんですけど、基本的にダンスを習ったことはないです。その時々で教えてもらうくらいで。

──え、じゃあ歌に関しては？

それもないです。舞台をやるときに発声のレッスンを受けることはありますけど、歌に関してのボイトレはやったことがないですね。練習っていうと、1人でカラオケに行くくらい（笑）。要は自己流ってことですね。

──1人カラオケは何時間くらいやるんですか？

だいたい2時間くらいかな。まあでも、それはボイトレっていう意味合いもなくはないですけど、それよりは声を出すために行ってる感じなんですよ。僕の場合、声を出さないでいるとどんどんキーが低くなっちゃうんですね。だから、みんなが大好きでいてくれるこの声を保つために、意識的に声を出し続けておかなきゃいけないんです。もちろんノドを休ませることもありますけど、家でふとしたときにハミングしたりとか、そういうことは常々してますね。

──そうやって大切にしている蒼井翔太の声、歌の魅力ってどこにあると思いますか？

なんだろう？ でもさっき言ってくださったように、自分では意識してないけど曲によって勝手に変わる声質なんじゃないですかね。できあがった曲を聴くと、「なんで変わるんだろう？」って自分でも不思議に思うこともあるので、そこが蒼井翔太にしかない、蒼井翔太ならではの魅力になってたらいいなとは思いますね。