誰にも渡さない蒼井翔太の花

──今回のシングルはまず、グラフィックアーティスト・牧かほりさんとのコラボによる美しいアートワークが目を引きますね。

ありがとうございます！ 新曲のタイトルが「flower」に決まった時点で、ジャケット写真やミュージックビデオに花を使いたいという思いが僕の中にあったんです。で、実際にどんなものにしようかなってみんなで話し合ってる中で牧かほりさんの存在を教えていただき、作品の画像をいろいろ見ていたんですね。そうしたら、「あれ、この花の絵どっかで見たことあるぞ」っていう既視感が生まれ、調べてみたらいろいろなところで牧さんの作品を目にしていたことに気付いたんですよ。

──牧さんはさまざまなフィールドでお仕事されていますもんね。意識せずとも目にする機会も多いと思います。

で、ぜひお願いしたいなということになりお声がけしたところ、快諾していただきました。仕上げていただいた作品を見た瞬間はもう、「この花は蒼井翔太のためだけに描いていただいたものだ。誰にも渡さないぜ！」っていう気持ちになりましたね（笑）。本当にうれしかったです。

──絵のテイストに関して何かリクエストはしたんですか？

「モチーフとするお花はカサブランカがいいです」っていうことと、全体的な色味に関してだけイメージを伝えて。でも実際に生み出していただいたものは僕がイメージしていた以上に素敵なものだったので感無量でしたね。

──カサブランカをリクエストしたのはどうしてだったんでしょう？

以前、「蒼井さんの中で一番に思い浮かぶ花はなんですか？」という質問をされたことがあって、そのときにパッとイメージに出てきたのが白くてシンプルな、でも波打った大きな花びらに存在感のあるカサブランカだったんです。その後自分でも気になっていろいろ調べてみたら、カサブランカには「永遠の絆」とか「大切な人への純粋な思い」っていう花言葉があることを知って。

──ファンとの絆を大切にして活動する蒼井さんにピッタリな花言葉ですね。

そうなんです！ ちょっとクサい話ですけど、そういう花言葉を持っている花だからこそ僕は運命的な魅力をカサブランカに感じていたんじゃないかなって。それ以来、ずっと僕はカサブランカが好きなので、今回もその絵をモチーフにしてもらおうと思ったんです。牧さんの描いた素敵すぎるカサブランカを背負ってジャケットやMVを撮影することにはプレッシャーもありましたけど、すごくいいものに仕上がったなって思います。基本的に花以外の色を入れたくなかったので、今回は衣装も含めてすべて真っ白な中で撮影したのもこだわりですね。

ライブにも通じるメッセージ

──そんなビジュアル的なこだわりを込めた本作ですが、楽曲に関しても今の蒼井さんの強い思いが感じられるものだと思いました。2017年1発目のシングルとしてどんなものにしようと思って制作に臨んだんでしょうか？

2月に「蒼井翔太 LIVE 2017 WONDER lab. ～prism～」の開催が決まっていたので、そこへの追い風になるようなシングルにしようと思いました。ライブに向けてテンションと期待を高めてもらうために今回は収録される3曲ともダンスチューンにしたんですけど、それは蒼井翔太としては初の試み。そういう意味では新年のスタートとしてチャレンジする姿勢も見せられるんじゃないかなと思ったんですよね。

──表題曲となる「flower」は美しくも力強いダンスナンバーとなっていますね。

女性的な華やかさのあるR&Bっぽい雰囲気の曲という僕の要望を元に、たくさんの方々に作っていただいたものから選ばせてもらいました。どれもいい曲ばかりだったんですけど、最初に聴いたこの「flower」のメロディがいつまでも離れなくて、ずっとぐるぐる頭の中を回ってたんですよ。そんなメロディラインのパワーが決め手でこの曲になりました。

──歌詞では蒼井さんのライブにかける思いが描かれている印象です。作詞家さんにテーマを投げて書いてもらったものなんですか？

はい。すべての人はそれぞれの個性やカラーを持った1輪の花なんだけど、それが集まったときには大きな結晶体になってより美しく咲き誇るんだよっていうことを伝えたかったんですよね。そのメッセージはそのままライブという空間にもつながることでもあるので。

──「結晶体」というのはつまり、2月のライブのサブタイトルに付いている「prism」にかかってくるわけですよね。

そうです！ いくつもの花びらが集まって作られている花も結晶体だよなと思ったので、そういうテーマを掲げさせてもらいました。