ナタリー PowerPush - アンジェラ・アキ
音楽人生を捧げる「LIFE」 デビュー5周年は新たな旅立ちの一歩
ハンデやコンプレックスも“自分らしさ”に
──デビュー時から独自の世界観を表現してきたアンジェラさんですが、年々その世界に深みが増して、5年目とは思えないベテランの風格を感じます。いい意味で何にも影響されてないというか。
チャートやいろいろなものを全く意識しないわけではないけれど、でもそれはたぶん、29歳の遅咲きデビューだったからというのが大きいかな。もし20歳くらいでデビューして25歳で5周年を迎えてたら、今とちょっと違ってたと思う。私はデビューまでの10年間でいろんな音楽を通ってきて、中にはミニスカートにエレキギターで、グラムロックバリバリな時代もあったりしたんですよ。そうして30歳目前、自分のやりたいことはこれだってたどり着けた上でのデビューだったから、ここまで歩んできた5年っていうのはすごくしっかりとした足取りだったんですね。媚びない気持ちも含めて。最初は遅咲きってことに恥ずかしさもあったんだけど、もしそうじゃなかったらこの4枚目のアルバムもできなかったんじゃないかな。
──アンジェラ・アキのオリジナリティがより確立された5年間、とも言えそうですね。
ひとつ遅咲きっていうところをとっても、人と違うということは個性であり強さでもあるっていうふうに解釈できるようになりました。それから、ここまでピアノ弾き語りを突き詰める人というのも今までいなかったんだって自分でもビックリして。武道館で初ライブするとき、会場サイドから完全弾き語りライブは初めてだって言われて「ウソでしょ!? ビリー・ジョエルもエルトン・ジョンも来日公演してるじゃないですか!」って言ったけど、全編弾き語り1本での武道館ライブはまだ例がなかったんですって。やっぱりそれだけ、弾き語りで2時間エンタテインメントを見せるっていうのは難しいんですよね。今は“弾き語り”、“遅咲き”、“ハーフ”という、ハンデやコンプレックスと思っていたことも“自分らしさ”と思えるようになりました。
──弾き語りというとストイックなイメージが強いですが、アンジェラさんはリリース作品やライブで常にエンタテインメント性やバラエティに富んだものを展開して、その枠を広げていきましたね。「アンジェラ・アキ」という1つのジャンルと言ってもいいくらい、他に類を見ないスタイルで。
すごい素敵な言葉をもらいました!(笑) そうですね、自分のジャンルっていうのを築いていけたらいいし、そう感じてくれる人がいるっていうのは最高にうれしいことです。
Special Thanksで感謝の気持ちを伝えたい
──ところで、アンジェラさんのアルバムってSpecial Thanksのクレジットがいつもすごい長文ですよね。
えー、あははは!(笑) そこに気づいてるライターさんは初めてです! そのためにブックレットで1ページ取ってくれっていつも頼んでるんですよ。今回も長いよ、英語もあるし(笑)。
──アンジェラさんの人柄がよく表れていて大好きです。
やっぱり自分の作品とはいえ、これを作り上げるまでに何人もの人の力が合わさってて、目に見えないところでいろんな人が動いてくれてるっていうのは聴いてる人にわかってほしいなって。それから、私の感謝の気持ちがその人たちに伝わればいいなぁって思って、ただそれだけ。みんなそれぞれ違う影響を与えてくれてるから、まとめず1人1人にコメント書いてしまうんですよね。
──また、10月から「LIFE」を引っさげた全国ツアーが始まります。こちらはどんなものになりそうですか?
今回は、毎年武道館でやってる弾き語りのライブを普通のツアーに織り込んで、半分弾き語り、半分バンドという2部構成にしようと思ってます。パートとしてスッパリ分けるのは今までやったことないし、私の音楽人生がまさに弾き語りとバンドの半々だなっていう思いからそういうことになったんです。気合入れてスペシャルなツアーにしようと思ってるので、ぜひ遊びにいらしてくださいね。
CD収録曲
- 愛の季節
- 輝く人
- Every Woman's Song
- サイン
- Remember Me
- Unbreakable
- What Are The Roses For?
- 愛と絆創膏
- Mad Scientist
- The Truth Is Like A Lie
- Bop Bop Bop (Colors of Your Soul)
- 母なる大地
- LIFE
初回盤DVD収録内容
- HOME
- 心の戦士
- Kiss Me Good-Bye
- This Love
- サクラ色
- 孤独のカケラ
- たしかに
- Again
- 手紙 ~拝啓 十五の君へ~
- 愛の季節
- 輝く人
アンジェラ・アキ
1977年徳島県出身、ピアノ弾き語りスタイルが特徴の女性シンガーソングライター。日本人とイタリア系アメリカ人とのハーフで、黒縁メガネにTシャツ&ジーンズといった気取らない格好がトレードマーク。中学卒業時からアメリカに移住し、大学時代から本格的に音楽活動を開始した。2005年9月にシングル「HOME」でメジャーデビュー。2006年6月にリリースした1stアルバム「Home」は60万枚を超えるロングセラーを記録し、老若男女問わず幅広い人気を獲得する。また、同年12月日本武道館にて史上初となるピアノ弾き語りライブを行い、以降年末の武道館弾き語りライブが恒例化する。2008年には全国学校音楽コンクールの課題曲として「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」を提供し、このシングルはゴールドディスクに認定。2009年リリースの3rdアルバム「ANSWER」もチャート1位を記録し、老若男女問わず幅広い人気を獲得している。