「100歳までがんばるから、それまで一緒にやろうね」
──中西さんが新宿で路上ライブを見てから15年が経ったわけですが、今のangelaの姿は想像されていました?
中西 15年前に、10年後とか15年後にどうなってるかみたいな話はしたことないですね。ただ、「僕は100歳までがんばるから、それまで一緒にやろうね」とは言いました。「耳が聞こえなくなっても」って。
atsuko いや、100歳まではさすがに……。
一同 ははは(笑)。
atsuko まあ、そんな話ができる間柄っていうのは精神的に楽ですね。「プロデューサーは偉い人だから持ち上げないと」とか「つまらないオヤジギャグを言っても笑ってあげないと」とか、そういうことを一切考えなくてよくて。もうデビュー当初からお互いに家族ぐるみのお付き合いをしていたと言うか、なんなら私たちの親同士で旅行に行ったりしてるぐらいの関係性なので。
KATSU 僕らはその親たちのことを「PTA」って呼んでます。
atsuko そのPTAが最近、ライブの関係者席でうるさいっていうね。だから「『関係者だからって何をやってもいいわけじゃない』って、誰が言う?」みたいなことを3人で話してる(笑)。
KATSU angelaのファンの方たちって、どこに行っても褒められるんですよ。「物販で並んでるときもマナーがいいし、迷惑行為をする人が一人もいなくて感動しました」みたいなことを会場のスタッフさんから言われるんですけど、困ったことに一番マナーが悪いのがPTAなんです。
atsuko マナーが悪いというか、自由ですね。5月の河口湖でのデビュー15周年記念ライブで歌いながら客席の階段を上がっていくパフォーマンスをしたんですけど、その途中で関係者席の横を通らなきゃいけなかったんですよ(参照:angela、河口湖で歴史を振り返る25曲熱演「これがangelaの15年」)。そしたらKATSUさんのご両親が大はしゃぎしてるのがおかしくって(笑)。
KATSU あと、僕がいつもライブでやってる「ジーク・ジオン」の演説をパロった自己紹介で「敢えて言おう」と言ったところで、僕より先にうちの母親が「KATSUであるとー!」って食い気味に言っちゃうんですよ。
atsuko それも困るよね(笑)。
KATSU 絶対ダメでしょ。ただでさえガンダム方面の方から怒られるかもしれないってビクビクしてるのに(笑)。
アニソンを世に残す覚悟
──キングレコードからデビューをして15年。すでにangelaはアニソンシーンで多くの人に支持され愛される存在となっていますが、中西さんはその理由はどこにあると思いますか?
中西 “作品のための曲を作る”姿勢ですね。お二人はこの一点を15年間ずっと貫いてくれていると思ってるんです。そうすると、業界内では「どんな作品であってもangelaにお願いすれば間違いない」っていう信頼が積み上がっていきますよね。当然、作品に寄り添うことでその作品のファンの方たちにも喜んでいただける。たぶんそれが唯一無二の武器なんじゃないかなと。
atsuko でも、今は皆さんそうしません?
──中には、あえて作品に寄せすぎず、自分たちのサウンドで勝負をするアーティストさんもいらっしゃいます。
atsuko 自分たちの音楽性を優先させるっていうことですよね。もちろんそれを否定するつもりはありませんし、そもそも私たちには守るべき音楽性がなかったんですよね(笑)。
KATSU アニソンに関わる覚悟と言ったら大げさかもしれないですけど、例えば「鉄腕アトム」の主題歌が生まれてから50年以上経っていて、当然「アトム」の主題歌はアニメとセットで残っていくわけですよね。さっき中西さんが言ったみたいにangelaが100歳になって解散したあとも曲は残るとして、それがアニメの曲として残っていくということを覚悟することが、アニソンを作っていくうえで必要なことなんだと僕は思ってるんです。
中西 本当にそうだと思います。
atsuko angelaは中西さんに拾っていただく前に一回死んでる感があるので、もはやキョンシーみたいなものなんですよ。
一同 ははは(笑)。
atsuko だからなんでもやります。ただ、その「なんでもやります」がけっこう楽しくて。私たちって17、18歳で東京に出てきた頃からどうすればデビューできるかを考えてて、その答えは「今売れてるものをコピーすればいい」だとずっと思ってたんですよ。だから小室哲哉さんが流行ったらTKサウンドをやり、Charaさんが流行ったらウイスパーボイスで歌い、渋谷系が流行ったらソウルフルな曲を作り……っていうことをやってたんですけど、全然デビューできなくて(笑)。
KATSU できなかったね。
atsuko それぐらい音楽性の統一感がなかったんですよ、昔から。だからオーディションに出ても「君たちは何がしたいのかわからない」ってよく言われてたんですけど「いや、デビューできるならなんでもやります」って。
KATSU 今思うとひどい話だよね。
atsuko でも、そうやって過去に節操なくいろんなジャンルの曲をやっていたことが自分たちの引き出しになっていて、今いろんなジャンルのアニメ作品と関わる際に役立ってるんですよね。しかも、なんの個性もないと思っていた私たちが、いつからか「angelaは唯一無二の個性を持ったユニットで……」みたいなことを紹介文とかで書かれるようになり、自分たちも戸惑うっていう。
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もっとカッコよく売りたかった
- angela
「angela All Time Best 2003-2009」 - 2018年10月24日発売 / KING RECORDS
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[CD2枚組] 3564円
KICS-3755~6
- DISC 1 収録曲
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- 明日へのbrilliant road
- 綺麗な夜空
- The end of the world
- over the limits
- 幸せの温度
- How many?
- merry-go-round
- butterfly
- Stay With Me
- 笑顔でバイバイ
- fly me to the sky
- in your arms
- Shangri-La
- Separation
- cheers!
- DISC 2 収録曲
-
- 未来とゆう名の答え
- DEAD SET
- Peace of mind
- 果て無きモノローグ
- 人生遊戯
- gravitation
- 恋の first run
- Beautiful fighter
- 約束
- Spiral
- Link
- 光、探せなくとも
- 此処に居るよ
- オルタナティヴ
- memories
- angela
「angela All Time Best 2010-2017」 - 2018年10月24日発売 / KING RECORDS
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[CD2枚組] 3564円
KICS-3757~8
- DISC 1 収録曲
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- 蒼い春
- FORTUNES
- 蒼穹
- さよならの時くらい微笑んで
- 「リアル」は…
- キラフワ
- THE LIGHTS OF HEROES
- いつかのゼロから
- KINGS
- To be with U!
- 僕じゃない
- ANGEL
- 遠くまで
- バイバイオーライ
- キラキラ-go-round
- DISC 2 収録曲
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- シドニア
- Different colors
- イグジスト
- 暗夜航路
- その時、蒼穹へ
- 愛、ひと欠片
- 騎士行進曲
- DEAD OR ALIVE
- ホライズン
- 愛すること
- KIZUNA
- 僕は僕であって
- 全力☆Summer!
- Calling you
- 笑顔をみせて
- angela(アンジェラ)
- 岡山県出身のatsuko(Vo)とKATSU(G, Key)による2人組ユニット。それぞれ音楽を志し上京したのちに結成し、2003年にテレビアニメ「宇宙のステルヴィア」のオープニング主題歌「明日へのbrilliant road」でメジャーデビュー。1stシングルながらオリコン週間シングルランキングで15位をマークし、瞬く間にアニメソングシーンで存在感を示す。以来「蒼穹のファフナー」シリーズ、「アスラクライン」、「K」シリーズなど、多くの人気アニメの関連楽曲を担当している。2014年には5月にアニメ「シドニアの騎士」のオープニングテーマ「シドニア」を発表。この曲は同年、アニメファンが選ぶ「アニメーション神戸賞」で主題歌賞を受賞した。2017年3月に自身初の東京・日本武道館単独公演「angelaのミュージック・ワンダー★特大サーカスin日本武道館~僕等は目指したShangri-La~」を開催。同年12月にはニューアルバム「Beyond」をリリースした。2018年5月に山梨・河口湖ステラシアターにて、メジャーデビュー15周年を記念したライブ「angela 15th Anniversary Live」を実施。10月にはベストアルバム「angela All Time Best 2003-2009」「angela All Time Best 2010-2017」を同時リリースし、東京・日比谷野外音楽堂にてワンマンライブ「angela Live 2018 All Time Best in 日比谷野音」を開催する。
2018年11月27日更新