人との絆を深めていけばできること

──本格的にシンガーソングライターへの道を歩み始めたのは昨年の秋だったそうですが、そこからわずか1年足らずでCDデビューを果たし、なおかつプロデューサーには根岸さんという大御所が参加し、ほかにもさまざまなミュージシャンとのつながりもある。そんな安東さんを見ていると、「この人いったい何者？」という疑問も浮かんでくると思うんですよね。

アハハハ、確かにそうですよね。私ってわりとアクティブな性格なので、ミュージシャンの知り合いが昔からたくさんいるんですよ。とは言え、音楽系のプロダクションで働いていたけど部署は経理ですからね、根岸さんにしてもほかのミュージシャンの方にしても、そこでは知り合えるわけがないんですけど。

──ではどうやって人脈を築いていったんですか？

私、会社が6時に終わるとすぐに下北沢のライブハウスとかに行く生活をずっとしてて。で、そういう中でいろんな人と知り合いになっていったんですよね。私はやってる音楽も昭和を全面に出してますけど、性格もかなり昭和で（笑）。人情深さというか、人付き合いをものすごく大事にするんです。しかも面白いんですよ、私（笑）。面白くて男っぽい性格なので、知り合ったミュージシャンともどんどん仲良くなっていくんです。根岸さんとの付き合いもほんとに長いですからね。

──じゃあ音楽業界で働いていたから、そこで手にしたコネクションを使って……みたいなことではないんですね。

そうです、そうです。音楽業界人だったからこれだけのことができているんじゃないっていうことは言っておきたいところですね。そうではなくてお金では買えない愛情というか、人との絆を深めていけば私が今やっていることは誰しもができないことではないっていうことを強く言いたいんですよね。今の世の中の人たちの心をあっためていきたいっていう気持ちがすごくあるので。

根岸さんと「2人で1人」くらいの気持ちで臨んだ作品

──では今回、根岸さんをプロデューサーに選ばれた理由は？

たくさん知り合いはいたんですけど、私の性格とすり合わせてみて、繊細で面倒見が良くてなおかつ一番付き合いが長くてお互いをよく知ってるっていう面で、根岸さん以外は考えられなかったんですよね。今年の4月くらいにメールしたんですよ。「プロデュースをやってくれませんか？」って。長い付き合いなんだけどかなりドキドキしながら打って（笑）。そしたら「もちろん受けます」っていう感じですんなり引き受けてくださって。そのほかにも、私のライブでサポートをしていただいてたりお世話になりっぱなしです。

──それだけ長い付き合いのおふたり、実際の作業はいかがでした？

私は初めてのレコーディングだったのでわからないことだらけ。なので歌録りの部分でとまどいはあったんですけど、とても親身に歌い方のアドバイスをしてくれたりもしましたね。結果として、根岸さんとよりいっそう絆が深められたかなっていう作品に仕上がりました。「2人で1人」くらいの気持ちで臨んだ渾身の一作ですね。

──また、根岸さんの盟友でもあり、奥田民生さんなどのバンドでおなじみのドラマー・古田たかしさんも参加されていますよね。

私、しーたかさん（古田たかし）が日本で一番大好きなドラマーなんですよ。あの歌心のあるプレイと楽しそうに叩かれるところが。しーたかさんのライブには50回以上行ったことありますし。なので今回はどうしてもっていうことでお願いして、夢が叶いました。今後のライブ活動のバンマスをやってもらうことにもなったんですけど、それも私自ら電話してお願いしてっていう形で。

──なんかもうすべて自ら動くんですね。新人とは思えない行動力（笑）。

動きますよお、社長なんで。アハ、ウソです（笑）。