ライブで育つ曲を増やしたい
──ライブの話を続けると、「Sun Dance」(2019年4月リリースの5thアルバム)収録のダンスロックナンバー「We Two」の盛り上がりもすごかったですね。
「We Two」は「Sun Dance」の中でも特に気に入っている曲で、アルバムを流していても「We Two」だけずっとリピートしちゃうくらいだったんですけど、ライブであんなに化けるとは思わなくて。もし「We Two」が好きという方がいらしたら、ぜひライブにも足を運んでいただきたいです。
──曲に合わせてぐるぐる腕を回すAimerさんも見られますし。
当たり前なんですけど、ライブで曲を育てられるのは、みんながいてこそなんだということを実感できたのが「We Two」でしたし、これからもそういう曲を増やしていけたらいいなと。しかも「We Two」はシングルも切っていない、アルバム曲の1つであるのにもかかわらず、あんなにみんなが一緒に盛り上がってくれたのが本当にうれしかったです。
──曲が育つといえば、「ONE」(2017年10月リリースの13thシングル「ONE / 花の唄 / 六等星の夜 Magic Blue ver.」収録曲)もすくすくと育っていますね。
ありがたいことに。「ONE」は私にとって、ベスト盤(2017年5月リリースの「BEST SELECTION "blanc"」と「BEST SELECTION "noir"」)を出してからの第一歩という意味でも特別な曲であり、武道館での初披露からちゃんと今につながっている曲です。ただ、一概にアップテンポなナンバーといっても、今回の「Run Riot」は、「ONE」や「We Two」とは少し毛色が違っていて。
──そうか、「ONE」と「We Two」は“太陽”のアルバムである「Sun Dance」に収録されていますが、それに対して「Run Riot」は前シングル「Torches」で迎えた“新しい夜”の延長にある。
そうですね。「Run Riot」は必ずしも明るい曲というわけではないし、たぶんこれからも描いていくであろういろんな夜のうちの1つという位置付けなんです。
自分にとって1つの春が終わった
──そして、もう1つのカップリング曲として「花の唄 end of spring ver.」が最後に収録されています。
やっぱり、この「春はゆく」で梶浦さんと「Fate/stay night [Heaven's Feel]」とのコラボレーションが終わってしまうというのが私の中では大きくて。なので最後に、梶浦さんとの始まりの曲を、もう一度梶浦さんへの感謝も込めてセルフカバーをしたいなと思ったんです。「花の唄」は、2017年の10月にリリースして以来ライブでも何度も歌ってきたんですけど、今回のシングルをもって自分にとって1つの春が終わったというか。振り返ってみると「本当に夢みたいな時間だったなあ」という気持ちもあって、だから原曲よりもちょっとドリーミーなバージョンで収録してみました。
──アコースティックギターとピアノ、ストリングスを基調としたアレンジで、Aimerさんのボーカルも激しさというよりは、優しさもしくは寂しさを帯びていると言いますか。
そうですね。原曲の私のボーカルはネバネバした激しさを帯びていたけれど、このバージョンではアレンジもちょっと無機質にしてもらって。もともと原曲のアレンジが完成されすぎているので、本当はアカペラで歌ってもよかったくらいなんですけど、無機質でありつつストリングスで深みを与えてもらった格好です。
──今回のシングルは、どの曲もストリングスがポイントですね。
はい。曲の深みという部分にこだわって作ったシングルだと言えますね。今、新しい夜の中で音楽を作っているんですけれど、自分としても今年でデビュー9年目で、ライブのあり方も歌との向き合い方も表現の仕方も、より深みを増していきたいという欲求がこのシングルに表れているんじゃないかと思います。
──同じ夜でもシングル「Torches」からまたガラリと変わりましたよね。
「Torches」は、表題曲には民族音楽的な要素があって、カップリングも含めて洋楽的なシングルでしたね。でも今回は「春はゆく」からして和の要素があったり、その一方で「marie」には西洋的な雰囲気が漂っていて、はたまた「Run Riot」はライブでノれる曲だし。うん、今だから表現できる、いろんな夜があるなと思います。
もう、毎日が楽しいです
──少し先ですが、9月から全国ツアー「Aimer Acoustic Tour 2020」が開催されることが発表されました(参照:「Aimer Acoustic Tour 2020」開催決定、ファイナルは7年ぶり品川教会)。
アコースティックツアーとしては、2017年に東京と大阪のBillboard Liveと、愛知の名古屋ブルーノートを回ったことがあるんですけど、ホールを回るのは初めてなので本当にワクワクしています。今、歌の響きを追求するのが楽しくてしょうがなくて。もう、毎日が楽しいです(笑)。
──それはよかった。
もちろんバンドと一緒にやるのも大好きだし楽しいんですけど、アコースティックで音圧を気にせずにできる表現にもこだわりたいので。9月までまだ時間もあるし、きっちり仕上げていきたいなと。
──最後に、今回もアートワークが素敵ですね。夜桜で。
それに関しては本当にチームの皆さんが素晴らしくて。素晴らしい才能の持ち主に囲まれているおかげで、私も毎回一緒に作るのが楽しいです。
──そういえばAimerさんは「自分が人間として一番誇れるのは、人に恵まれているところ」とおっしゃっていましたね(参照:Aimer「BEST SELECTION "blanc"」「BEST SELECTION "noir"」インタビュー)。
その通りで、人に恵まれてここまでやってこられました。ジャケットのアートワークにしてもライブのステージにしても、“Aimerの世界”というものをテーマにみんなで一緒に遊んでくれてるというか、みんな無邪気に真剣に「ああでもない、こうでもない」と1つひとつ丁寧に作ってくれるので。
──それは、Aimerさんの歌に創作意欲を掻き立てられる何かがあるからでは?
おお。だとしたら、そんなにうれしいことはないです。そうやって私を支えてくれるチームのみんな、そしてもちろんファンのみんなとの関係も大事にしながら、これからも真摯に歌と向き合っていきたいですね。
ライブ情報
- Aimer Acoustic Tour 2020
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- 2020年9月4日(金)埼玉県 三郷市文化会館
- 2020年9月12日(土)京都府 文化パルク城陽 プラムホール
- 2020年9月13日(日)山口県 周南市文化会館
- 2020年9月20日(日)北海道 帯広市民文化ホール 大ホール
- 2020年9月22日(火・祝)北海道 千歳市民文化センター 北ガス文化ホール 大ホール
- 2020年9月26日(土)富山県 新川文化ホール
- 2020年9月27日(日)福井県 敦賀市民文化センター
- 2020年10月10日(土)鹿児島県 宝山ホール
- 2020年10月17日(土)徳島県 鳴門市文化会館
- 2020年10月18日(日)高知県 高知県立県民文化ホール オレンジホール
- 2020年10月24日(土)大分県 別府国際コンベンションセンター ビーコンプラザ フィルハーモニアホール
- 2020年10月25日(日)熊本県 市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館)
- 2020年10月31日(土)山形県 山形市民会館 大ホール
- 2020年11月1日(日)福島県 いわき芸術文化交流館アリオス 大ホール
- 2020年11月7日(土)三重県 シンフォニアテクノロジー響ホール伊勢
- 2020年11月19日(木)山梨県 YCC県民文化ホール(山梨県立県民文化ホール)
- 2020年11月26日(木)東京都 キリスト品川教会 グローリア・チャペル
- 2020年11月27日(金)東京都 キリスト品川教会 グローリア・チャペル