一番大きな会場だったのに一番アットホームだった
──もうちょっと武道館の話を続けると、新曲「ONE」を初披露なさったアンコールも、非常にリラックスしたいい雰囲気でしたね。
今回のライブは、本編で“blanc(白)”と“noir(黒)”それぞれの世界をしっかり描いて、アンコールではみんなでちょっとはしゃぐっていう、そういうものにしたくて。「ONE」という曲も、もともと武道館で歌うことを想定して作った曲なんです。それがうまく作用してくれたと言うか、「この曲を作ってよかった」って思える瞬間でしたね。みんなも立ち上がってくれて、「なんていい人たちなんだろう!」って感動しました。
──「ONE」の前のMCで、Aimerさんは「お客さん全員が立っているところを見たい」とおっしゃいましたが、言われなくても自然に立ったんじゃないですか?
そうですかね。リハでイメージトレーニングしてたときは「まず立ってもらってから、クラップをしてもらって……」と思ってたんですけど、すでにクラップが鳴ってたので、びっくりして(笑)。私のライブって、わりと緊張感が高いというか……。
──静かに聴き入るタイプのライブですよね。
でも、武道館では最初からみんなすごく開放的で一体感があって、今までで一番大きな会場だったのに、一番アットホームな感じがしました。
──たぶん「スピカ」で客電が全灯して、お客さん同士の顔が見えたからというのもある気がします。
ああ、そうだとしたらすごくいいですね。うん、私自身にとってもすごく居心地のいい場所でしたね、武道館は。
「zero」から「ONE」へ、新たな一歩
──では、新曲「ONE」について伺います。武道館では「Aimer史上初めて踊れる曲になるかもしれない」と、やや控えめに曲を紹介なさっていましたが、かなり振り切ってるダンスナンバーですよね。
自分の5年間の歩みをまとめたベスト盤のリリース後、最初のシングルになるし、「ONE」という曲名も、 “noir” の最後に収録された「zero」からつなげる形で付けているんですね。その第一歩を、今までになかった感じのものにしたくて。以前、スキマスイッチさんから「Hz(ヘルツ)」(※2016年9月発売の4thアルバム「daydream」に収録)のようなダンサブルな曲をいただいたことはあったんですけれど、それは自分たち(agehasprings)にはなかった発想なんです。で、先ほど「武道館を想定して作った」と言った通り、ライブでみんなの気持ちがほぐれるような、自然と体を動かしたくなるような曲をやりたいねってなったとき、じゃあその方向で振り切ってみましょうと。
──歌詞のほうも、例えば「ふりだしから踏み出す一歩は 前よりも ずっと強いから」など、新しいスタートを強く感じさせるものになっています。
けっこう、自分としては歌詞も思い切って書きましたね。ちょっと強い語調で煽ると言うか。
──サビで「命令された!」って思いました。
ははは(笑)。そうです、MCだと命令できないので。うん、ホントにここが振り出しで、また新たに進もうという決意を込めて書いたし、自分で自分を鼓舞するという意味でも、力のある曲ですね。武道館で初めて歌ったときも、みんなが1つになれたことがすごくうれしくて。
──「ONE」では「Raise your flag」「君だけの旗 振りかざして」とも歌われていますが、初回限定盤と通常盤のジャケットに写っているフラッグが超大きいですね。
こんなに大きな旗、振れないですよね(笑)。フラッグは、新しい一歩の象徴と言うか、ここまで歩いてきた証拠に、旗を刺して、また先へ向かうっていうのを表したかったんです。その意味で大きなキーになるので、アートワークにも使ってもらいました。
高い声を無理やり出すことで、爆発力が得られる
──TK(凛として時雨)さんがプロデュースされた「us」(※2016年7月発売の10thシングル「insane dream / us」)を聴いたときも感じたのですが、Aimerさんは高音域の歌声も素晴らしいですね。
ホントですか? 私はもともと声が低いので、高い声を無理やり出すことで爆発力、あるいは手応えが得られると言うか。ハードルがあったほうが燃える部分はありますね。今までも、裏声と地声の境目くらいのキーをサビに持ってくることはあって、だからすごく苦しいんですけど。確かに「ONE」も、特にサビの最後、「You're the one…」のところはすごく高いんですけど、そこを狙うようにして歌いました。
──パブリックイメージとして“低音が魅力的”みたいな部分があると思うのですが、今ご自分でおっしゃったような高音の爆発力も改めて「ONE」で感じました。
そう言っていただけると、すごく愛を感じます(笑)。がんばって高いほうも歌おうって思いますね。
──素朴な質問なのですが、Aimerさんはクラブに行って踊ることもあるんですか?
踊ってはいないんですけど、昔イギリスに行っていたときに、当地のクラブにお邪魔したことはあります。そこで、なんの戸惑いもなく身体表現を爆発させている人たちを目にして、ただただ驚いて。フロアが暗いという点では、すごく落ち着いたんですけど(笑)。
──ははは(笑)。
でも、だんだんアッパーな曲が増えるにつれて、ライブでも、踊るまではいかないにしろ、ちょっとしたアクションでみんなとコミュニケーションを取れるかもしれない。そう思うと、イギリスのクラブで見た人たちを見習いたいですね。
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「花の唄」のデモを聴いた瞬間は忘れられない
- Aimer
「ONE / 花の唄 / 六等星の夜 Magic Blue ver.」 - 2017年10月11日発売 / SME Records
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初回限定盤 [CD+DVD]
1620円 / SECL-2209~10 -
通常盤 [CD]
1350円 / SECL-2211 -
期間生産限定盤 [CD]
1620円 / SECL-2212
- 初回限定盤、通常盤CD収録曲
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- ONE
- 花の唄
- 六等星の夜 Magic Blue ver.
- 糸
- 期間生産限定盤CD収録曲
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- 花の唄
- ONE
- 六等星の夜 Magic Blue ver.
- 糸
- 花の唄 Movie ver.
- 初回限定盤DVD収録内容
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- 「zero」MUSIC VIDEO
- 「歌鳥風月」MUSIC VIDEO
- Aimer「LIVE TOUR 17/18 "hiver"」
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- 2017年11月16日(木)埼玉県 和光市民文化センター サンアゼリア
- 2017年11月23日(木・祝)北海道 わくわくホリデーホール
- 2017年11月26日(日)静岡県 アクトシティ浜松
- 2017年12月2日(土)新潟県 新潟県民会館
- 2017年12月8日(金)岡山県 岡山市民会館
- 2017年12月10日(日)兵庫県 神戸国際会館
- 2017年12月16日(土)宮城県 東京エレクトロンホール宮城
- 2017年12月17日(日)群馬県 ベイシア文化ホール
- 2017年12月24日(日)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
- 2018年1月14日(日)長野県 レザンホール
- 2018年1月20日(土)広島県 上野学園ホール
- 2018年1月21日(日)京都府 ロームシアター京都
- 2018年1月23日(火)大阪府 フェスティバルホール
- 2018年1月27日(土)福岡県 福岡サンパレスホテル&ホール
- 2018年2月21日(水)東京都 NHKホール
- Aimer(エメ)
- 女性シンガーソングライター。幼少期よりピアノやギターでの作曲や英語での作詞を始め、15歳のとき声が一切出なくなるというアクシデントを経験し、それがきっかけとなり独特の歌声を獲得する。2011年から音楽活動を本格化させ、同年9月にシングル「六等星の夜 / 悲しみはオーロラに / TWINKLE TWINKLE LITTLE STAR」でメジャーデビューを果たした。以降、「夏雪ランデブー」「機動戦士ガンダムUC」といったアニメ作品のテーマソングを担当。2014年6月に2ndアルバム「Midnight Sun」と、澤野弘之とのコラボレーションアルバム「UnChild」を同時発売し、同年9月には菅野よう子、青葉市子らが参加する新作「誰か、海を。」を発表した。2015年7月に3rdフルアルバム「DAWN」をリリース。2016年7月にONE OK ROCKのTaka(Vo)と凛として時雨のTK(Vo, G)が提供およびプロデュースした楽曲を収めた両A面シングル「insane dream / us」、8月にRADWIMPSの野田洋次郎(Vo, G)制作の「蝶々結び」を収めたシングルをリリース。9月にTaka、野田のほか、andropの内澤崇仁(Vo, G)、スキマスイッチが楽曲提供およびプロデュースをした新曲を含むアルバム「daydream」を発表し話題を集める。2017年5月にベストアルバム「BEST SELECTION "blanc"」と「BEST SELECTION "noir"」を同時リリース。8月に初の東京・日本武道館単独公演を行い、1万3000人を動員した。10月にトリプルA面シングル「ONE / 花の唄 / 六等星の夜 Magic Blue ver.」を発表。