音楽ナタリー PowerPush - a flood of circle
佐々木亮介＆Duranが語る新生AFOC
テーマは「4人になったa flood of circle」
──ニューアルバム「GOLDEN TIME」は、“新体制の音”が落とし込まれたアルバムになってると思います。メンバーが加わったことで音の厚みがちゃんと出てるし、これからのライブの光景が浮かぶような楽曲がそろってる。
佐々木 ありがとうございます。Duranが入る前の時点から、自分たちの音を“更新”したいと思ってたんですね。
──具体的にはどういう手法で？
佐々木 コンプを下げるとか、音に隙間を作って今の思いをそこに入れ込むとか。歌詞がちゃんと伝わるように細かく音を調整したり。前までバーンって音の圧力だけで無理やり突っ込んでるところがあったんですよね。それが気持ちいいってのもあったけど、そこから進化したいと思ってて。新体制になったし、ちゃんと音が成長したものを作りたいという思いはありました。
──Duranさんが入ったことによる一番の変化ってなんでしたか？
佐々木 3人でセッションしたあとに1人でギターを加えるのと、4人で一緒にベーシックを録るのでは大きな違いでしたね。俺らの場合、ベーシックは全員でせーので録りたくて、ドラム録って、ベース録ってっていうような手順ではレコーディングしてないんです。アルバムの中では「スカイウォーカー」や「STARS」は4人一緒に録らないとできなかった曲だと思います。だから「4人になったa flood of circle」っていうのが、アルバムのコンセプトになってる気がします。バンドの根幹を変えるために新しいコンセプトを用意したってよりは、もともと進化しようとしてた部分と、たまたま入ってきちゃったDuranのおかげで化学反応が起きちゃった作品ですね。めっちゃ結果論ですけど（笑）。
──Duranさんは、a flood of circleに自分のギターをどんな形で入れようと意識しましたか？
Duran 最初は自分がいきなりオラッて入るのは……っていうので遠慮してるところはありましたね。でも、それは意味がないんじゃないかなって気付いて。「STARS」なんかはわりと弾き散らかしてるところがあります。ただフレーズを考えて入れるんじゃなくて、直前に曲を聴いて、セッションする中でパッと思いついたフレーズを弾く感じで進めて。なんにも考えずに入ったほうが、面白いんですよ。考えちゃうと想像の範囲で収まっちゃうから。
佐々木 セッションで出てくるフレーズがいいっていうのは、それまでずっと弾き込んできたからなんですよね。フリースタイルのラッパーとか見てると、その場の反射神経だけがいいんじゃなくて、それまで積み上げてきたスキルがあるからすごいパフォーマンスができるんだと思うし。それをDuranにも感じて。だから20歳のときに出会わなくてよかったなと。
Duran はははははは（笑）。
佐々木 20歳で会ってたら、お互いの我がぶつかってバンドが解散してたかもしれないから。Duranと“今”会ったことは思し召し系だと思ってるから。
Duran （笑）。でも佐々木くんってめっちゃギターがうまいし、ギタリストとしても好きなタイプなんですよ。ギタリストって長く弾いてると自分に酔っちゃうというか、あんまりオーディエンスを気にしなくなっちゃいがちなんだけど、佐々木くんのギターは違う。歌えるギターを弾くんですよ。だから尊敬してます。
──DuranさんはMade in Asiaではギターボーカルですけど、“歌えるギター”は弾けない？
Duran 弾けませんね。フロントマンとして歌い始めたのは今年の2月からなので、まだまだなんですよ。
佐々木 リハしてるとき、コーラスの頼もしさはハンパないですけどね。「コイツ、俺より歌うまいんじゃないか？」って思う瞬間もあるし。バンドの中にギターボーカルが2人いるのは強みだと思います。
Duran まだライブをやってないんで、未知数の部分はありますけどね（笑）。（取材は、新体制での初ライブが行われる前の10月上旬に実施）
常にベストを更新し続けるだけ
──アルバムの中でこれは実験したな、という曲はありますか？
佐々木 「Black Eye Blues」ですね。ギリギリで歌入れをしたんだけど、もともとちゃんとフレーズに当てはめていたわけではなくて使いたい言葉を用意して、そのままだと多すぎたので歌入れをしながらという形で完成させて。あとは「Party!!!」。今まで入れたいと思ってたホーンとかいろんな楽器を入れて、スタジアムクラスのスケール感のある曲になりました。弥吉淳二さんのプロデュースワークのすごさも実感したし。自分ではああいうアレンジはできなかったと思います。
Duran タイトルからしていいよね、「Party!!!」って。
佐々木 アホみたいな感じでね（笑）。
──a flood of circleのアルバムって明るい曲で締められてることが多いですよね。どんなに暗いことや、怒りを歌ってても最後はハッピーになれる曲で締めくくるというか。その中でも「Party!!!」は抜きん出てる気がします。
佐々木 もとが能天気なんでしょうね。いろいろ悩んではいるけど、希望を持って音楽をやってるんで。その思いをライブに来て感じて、持って帰ってほしいんですよ。最近いろんなイベントで先輩アーティストと競演する機会があるんですけど、長く続けてる先輩の戦い方を見てわかることもあって。そのバンドをやってることが、その人たちの人生のすべてというか。メンバーの考え方がそのバンドに反映されてるし、その人たちの在り方がすなわちバンドの在り方だし。俺自身もそうだなって思うようになって。自分がステージで発してるメッセージが、自分の生きてる態度でもあるんだって思うようになって。それを表現したいと思ったのが「Party!!!」になった感じ。いろいろ考えなきゃいけないことが山積みの世の中に生きてるけど、だからこそ音楽が鳴ってる時間やライブに行ってる時間はどんどんスペシャルなものになってる気がするし。そこを絶対サボっちゃいけないし、真剣にやらなきゃいけない。お客さんからしたら貴重な時間やお金を割いて、ライブハウスに来てくれてるわけだから、そこを返していかなきゃっていう思いに至って。
──最後に目下のa flood of circleの目標を教えていただけますか？
佐々木 さっきも言ったように、マイルストーンを定めてそこに向かっていくバンドではないので、常にベストを更新し続けるっていうスタイルを変えないってことかな。メンバーも増えたし、観に来るお客さんの見方も変わるだろうし。まずはいいライブをするってことですね。
Duran 俺はa flood of circleになることですね。お客さんを納得させるギターを弾くだけ。
佐々木 「a flood of circleになる」っていいね。こっちは無駄に経験値はあるんで、心配しなくていいよ（笑）。
- ニューアルバム「GOLDEN TIME」 / 2014年11月5日発売 / IMPERIAL RECORDS
- ニューアルバム「GOLDEN TIME」
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 3564円 / TECI-1422
- 通常盤 [CD] / 3024円 / TECI-1423
CD収録曲
- GO (Album ver.)
- Golden Time
- スカイウォーカー
- STARS
- ホットチョコレート
- Cigarette Roll
- Black Eye Blues
- Rodeo Drive
- KIDS
- アカネ
- Party!!!
初回限定盤DVD収録内容
- 「Golden Time」PV
- 「STARS」PV
- 「KIDS」PV
- 8th Anniversary Oneman Live“レトロスペクティヴ” 東京キネマ倶楽部3daysのドキュメント映像
- ナイスサポート曽根巧ドライブデート風インタビュー
AFOC Tour "Golden Time Rock'n'Roll Show"
- 2014年11月15日（土）千葉県 千葉LOOK
出演者a flood of circle / RADIO CAROLINE
※チケット完売 - 2014年11月16日（日）神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
出演者a flood of circle / KING BROTHERS
※チケット完売 - 2014年11月21日（金）愛媛県 Double-u studio
出演者a flood of circle / cinema staff
※チケット完売 - 2014年11月22日（土）大分県 club SPOT
出演者a flood of circle / cinema staff - 2014年11月24日（月・祝）兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
出演者a flood of circle / locofrank
※チケット完売 - 2014年11月29日（土）茨城県 mito LIGHT HOUSE
出演者a flood of circle / TOTALFAT
※チケット完売 - 2014年12月5日（金）岩手県 盛岡club change
出演者a flood of circle / Keishi Tanaka - 2014年12月7日（日）宮城県 BLUE RESISTANCE
出演者a flood of circle / Keishi Tanaka - 2015年2月12日（木）長野県 LIVE HOUSE J
出演者a flood of circle / and more - 2015年2月14日（土）宮城県 SENDAI CLUB JUNK BOX
出演者a flood of circle / and more - 2015年2月21日（土）北海道 cube garden
出演者a flood of circle / and more - 2015年2月27日（金）大阪府 BIGCAT
出演者a flood of circle / and more - 2015年2月28日（土）愛知県 DIAMOND HALL
出演者a flood of circle / and more - 2015年3月7日（土）東京都 EX THEATER ROPPONGI
出演者a flood of circle / and more - 2015年3月8日（日）東京都 EX THEATER ROPPONGI
出演者a flood of circle / and more
a flood of circle出演情報
- SHINJUKULOFT 15TH ANNIVERSARY
"LOFT MUSIC & CULTURE FESTIVAL 2014" - 2014年11月30日（日）神奈川県 CLUB CITTA'
出演者 a flood of circle / THE BACK HORN / The Birthday / 怒髪天 / OLEDICKFOGGY / SA / NEW ROTE'KA＆NEW ROTeKA
DJDADDY-O-NOV / MIWAKO（GONNA BALL）/ MORICAWA（Low-Cal-Ball, FRIDAY NIGHT OUT）/ RCF ALL STARS / SATO（URASUJI.）/ TAKESHI（SLAP of CEMENTERY）/ YU-ICHI（LONDON NITE） - SAKANAMONのアリが対バンツアー2014
- 2014年12月1日（月）東京都 LIQUIDROOM
出演者 SAKANAMON / a flood of circle - FM802 25th Anniversary 802GO! ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY
- 2014年12月28日（日）大阪府 インテックス大阪
a flood of circle（アフラッドオブサークル）
2006年結成。ブルースや70年代ロックをベースにしたフリーキーなサウンド、ボーカル佐々木亮介（Vo, G）の強烈な歌声と、観る者を圧倒するライブパフォーマンスで話題を集める。結成当初は下北沢・渋谷界隈を中心にライブを行い、次第に活動地域を拡大。2007年7月に初音源となるミニアルバム「a flood of circle」をリリースする。同時期に新人バンドの登竜門「FUJI ROCK FESTIVAL '07」のROOKIE A GO-GOステージに出演し反響を呼ぶ。2009年4月、1stフルアルバム「BUFFALO SOUL」でメジャーデビューを果たすが、全国ツアー中の7月に当時在籍していたギタリストが失踪。しかしバンドは活動を止めることなくライブを継続し、同年11月にアルバム「PARADOX PARADE」を発表。2012年9月にインペリアルレコードに移籍してからも精力的なリリースを続ける。2014年9月にDuran（G）の加入が発表され、バンドは佐々木、HISAYO（B）、渡邊一丘（Dr）、Duranの4人体制となった。11月にはニューアルバム「GOLDEN TIME」をリリース。
