ACIDMAN|大木伸夫が語る、不器用ゆえの20年間のブレなさ

対バンライブで刺激をもらいたかった

──ライブのことについても聞かせてください。昨年11月から今年6月にかけてストレイテナー、東京スカパラダイスオーケストラ、RIZE、ストレイテナーなどをゲストに招いた「ACIDMAN 20th Anniversary 2man tour」を開催しました。

ACIDMANはずっとワンマンライブばかりやっていて、対バンライブをほとんどやってなかったんですよ。20周年はこれまでを振り返るだけではなくて、新しいものを吸収する、たまっていた膿を出す期間にもしたかったから、対バンライブで刺激をもらうのもいいんじゃないかなって。参加してくれた全バンド、めちゃくちゃカッコよかったんですよ。しかもノンジャンルじゃないですか。AGGRESSIVE DOGS、Suchmos、RIP SLYMEっていう(笑)。もちろん好きなバンドばかりだし、ご縁がある方々ばかりなんですけどね。

──Suchmosも実はかなりロックですからね。

そう、ライブはすごくロックだった。素晴らしいライブバンドだなと思いましたね。ACIDMANの「プラタナス」という曲があるんですけど、Suchmosのメンバーが「あの曲でこのコードを覚えたんですよ」って言っていて。俺はそのコードを覚えてなかったんですけど(笑)、そうやって青春時代に聴いてくれてたのもうれしかったですね。

同世代のバンドはここ数年でさらに強くなった

──そして11月23日には埼玉・さいたまスーパーアリーナでロックフェスティバル「SAITAMA ROCK FESTIVAL "SAI"」が開催されます。

出演してほしいバンドには2年くらい前から声をかけさせてもらってたんですけど、ほとんどのバンドが二つ返事で受けてくれて。20周年の締めくくりなので、我々の世代のバンドにもう1回集結してもらって、いい空気を作れたらなと思っています。長丁場になりますけど、勤労感謝の日でもあるし、日々の勤労をお互いに感謝しながら楽しんでもらえたらなと(笑)。

──同世代のバンドに対しては、やはり特別な思いがある?

ここ数年でさらに強くなりましたね。ずっと刺激をもらっていますけど、それは当たり前のことではなくて。みんな苦しみを乗り越えてきてるし、ただ楽しいだけでやっているバンドは1つもないと思うんです。そういうことって、会話しなくてもわかりますからね。ストレイテナーなんて、もう20年近い付き合いですから。

──ACIDMAN、ストレイテナーが登場した20年前から、日本のロックシーンは大きく変化しましたからね。芸能界的な雰囲気ではなくて、ロックバンドがロックバンドとして存在できるようになったと言うか。

そうそう。ヒット曲もないのにずっと続けてますから(笑)。そういうバンドがメジャーで15年もやってるって、日本の音楽史上初めてだと思うんですよ。この状況を更新していきたいし、これからバンドをやろうとしている人、すでにデビューしている若いバンドに対して、新しい見本になりたいなって。CDが売れなくなってもバンドを続けることはできるし、希望を持ってもらいたいんですよね、バンドマンにも、レコード業界の人たちにも。バンドのブランディングをしっかりやっていけば、お互いにいい関係が作れると思うので。もちろんフィジカルのCDを売ることもあきらめてないし、毎回「これは100万枚売れる」って思ってるんですけどね(笑)。

──以前から大木さんが言っている「世界を変えるコードがあるはずだ」という気持ちもずっと持ち続けていますか?

うん、それはさらに濃くなってるかも。99.99%は勘違いなのかもしれないけど、0.01%は信じているので。世界は目に見えないもので成り立ってますからね。それを信じている人が最後は勝つんだと思います。それが証明されるのは、死後の世界かもしれないけど(笑)。

「よい曲を作るためなら解散してもいい」

──最後に佐藤さん、浦山さんとの関係についても聞かせてください。ずっと3人で活動しているわけですが、メンバー同士の関係性は時期によって変化してますか?

ウチらに関して言えば、基本的には変わらないかもしれないですね。ずっと“メンバーの2人が俺に付いてくる”という関係だし、ドラム、ベースについてはしっかり責任を持ってもらって。「お前らの人生は俺に任せてくれ。その代わり、俺の後ろはしっかり見張っていてくれ」っていう感じなので。もちろん緊張感も必要ですよね。仲良くワイワイやってることもあるけど、それだけにはなりたくないから。よく言ってるんですけど、バンドを続けることが目的ではないんですよ。いつ解散してもいいっていう意気込みがないとバンドは続いていかないし……なかやまきんに君の「健康のためなら死ねる」と同じで(笑)、「よい曲を作るためなら解散してもいい」っていうことですね。

──ちょっと気が早いですが、新しいオリジナルアルバムも期待してます。

いつもだったら、シングル3枚出したあとはすぐにアルバムに取りかかるんですけど、次の作品に関しては、まだ先かなと思っていて。20周年を終えてから考えようかなって。

──20周年のアニバーサリーで得たものを次の作品に注ぎ込む、と。

そうですね。自分の中では、21年目のスタートを早く切りたいなと思っています。

大木伸夫(Vo, G)
ACIDMAN「ミレニアム」
2017年7月26日発売 / Virgin Music
ACIDMAN「ミレニアム」

[CD]
1296円 / TYCT-39059

Amazon.co.jp

収録曲
  1. ミレニアム
  2. Seesaw
  3. 青の発明 -instrumental-
  4. Live Track From 20141023 Zepp Tokyo(「世界が終わる夜」リリース記念プレミアム・ワンマンライヴ)アイソトープ / 赤橙 / type-A

※初回プレス分は紙ジャケット仕様

ライブ情報

SAITAMA ROCK FESTIVAL "SAI"
2017年11月23日(木・祝)
埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
<出演者>
ACIDMAN / ASIAN KUNG-FU GENERATION / THE BACK HORN / ストレイテナー / 10-FEET / Dragon Ash / and more
ACIDMAN(アシッドマン)
ACIDMAN
1997年に結成された、大木伸夫(Vo, G)、佐藤雅俊(B)、浦山一悟(Dr)の3人からなるロックバンド。2002年に限定シングル3作(「造花が笑う」「アレグロ」「赤橙」)を連続リリースし、2002年10月にアルバム「創」でメジャーデビュー。2007年7月に初の日本武道館公演を開催し、2009年のアルバム「A beautiful greed」発表後には、2度目の日本武道館単独公演を実施する。生命や宇宙をテーマにした独特の詞世界、静と動の両面を表現する幅広いサウンド、映像とリンクした演出を盛り込んだライブなどが高い評価を得ている。2013年6月、自らのマネジメントオフィス「FREESTAR」を設立し、2014年11月には10枚目のアルバム「有と無」をリリース。2016年10月には結成20周年を記念したベストアルバム「ACIDMAN 20th Anniversary Fan's Best Selection Album "Your Song"」を発売し、同年11月より初のツーマンツアーを行った。2017年7月に20周年記念シングル第3弾「ミレニアム」を発表。11月23日には地元・埼玉県のさいたまスーパーアリーナにて、初の主催フェス「SAITAMA ROCK FESTIVAL "SAI"」を実施する。