今回は自分の言葉や声で表現することに意味がある

──今回のアルバムでは剛士さんが全ての曲で歌ってますが、なぜ今回は全部歌おうと思ったんですか？

どういうアルバムにするかある程度見えてきて、デモテープを録ってるときに、このアルバムに関しては自分自身の言葉や声で表現することに意味がある、それが重要なんじゃないかって思ったのがきっかけです。それについてはTAKA（TAKAYOSHI SHIRAKAWA / Vo）にも相談して、彼もすごく納得してくれて。そういった意味ではこのアルバムはライブのことを全然考えずに、単に作品に対して忠実でありたいなって思ったんです。そうすることがこの作品にとってのリアルさが一番出るような気がして。

──剛士さんの発する言葉のリアルさが、一番ダイレクトに伝わる方法だと。

多分一番生々しいと思うし、そこがこの作品においては重要なポイントなんです。これを自分以外の人間が歌えば、また少し違って聞こえる。だから、今回そこについては俺が背負う場所じゃないかなって感じはありましたね。

──ライブについては考えなかったと言いましたが、今後のツアーではどうなりそうですか？

それはこれから考えるんですけど（笑）。アルバムの曲はレコーディング前にみんなでスタジオに入って合わせるということは一度もやってなくて、ライブのリハーサルで初めて全員で合わせたんです。「#3」についてはこれからなので、どうなるかはまだわかりません。そうやって、何度もライブで演奏していくうちに曲が最終的な形に辿り着くんじゃないかと。そういう意味では、このアルバムで聴けるものはまだ完成型ではなくて、始まりの段階というか。それが今のAA=のスタイルなんです。

──ライブを重ねていくことで、初めて1つの作品として完成するという。

曲としてはそうですね。それはAA=が自分のソロプロジェクトっていうところも大きいと思う。ソロとして作った曲を、バンドとしてライブで完成に近づけていくのは面白いですね。

──曲によってはどんどん変化していくものもあるわけですし。

あると思います。特に今回は全部自分で歌ってるから、そこがどう変わっていくかですね。

アルバムごとに代表する言葉が必要なくなった

──このアルバムは制作の初期段階でイメージした、AA=というプロジェクトのある意味集大成的なものに近づくことはできたと思いますか？

自分が思い描いていた集大成とはちょっと違うんで、それはまた今後の楽しみかな。でも、今のAA=にとってはすごくリアルなものになったと思いますね。自分にとっても、バンドにとっても。そういった意味での集大成感はあると思います。

──いろんな出来事があってどんどん変化していく、進化していくっていうのはもちろんだと思うんですけど、例えば今回のきっかけの1つである震災がなかったら、また違った作品になったかもしれないですし。

そういったことに対するAA=からの答え、っていうのが「#3」なんだと思います。それは3枚作ってきたからできたことだと言えるかな。

──そういえば、AA=のアルバムタイトルって「#1」「#2」「#3」と毎回すごくシンプルですよね。THE MAD CAPSULE MARKETS時代にはそのアルバムを象徴するようなタイトルが付いていましたが、そこに関しても何か心境の変化があったのでしょうか？

きっかけとしてはそんなに深い意味はなくて、単純に「#1」「#2」ってナンバリングしていく感じで考えてたんです。「#1」から「#3」まで表現の仕方はいろいろあったけど、丁寧にやってるなっていうのはそれほど変わってなくて。そういう意味ではMAD時代の作品での変化とは違って、今はある意味毎回同じテーマでアルバムを作ってるかもしれないし、アルバムごとに代表する言葉っていうものが必要なくなったのかもしれないですね。これが今の自分に合ってる形なんだと思います。