04 Limited Sazabys|ニューシングルは缶仕様! フォーリミがサブスク時代に植えた“種”

“広がる”と“日の丸”

──「SEED」は3曲すべてタイアップソングです。以前はタイアップソングがつくことに対する“メジャー感”を気にされていた時期もあったかと思いますが、今はいかがですか?

GEN メジャーになってもう4年が経つので、今さらメジャー感がやだとかはないですけど、なんかこう……頼りすぎたくないなという気持ちはあります。でももちろんお話をいただけることはありがたいです。

──なるほど。フォーリミは番組やCMで流れている曲とCDに実際に収録される曲のテンポや歌詞が異なることが過去にありましたが、今回はどうですか?

04 Limited Sazabys

GEN そういえば……今回は変えなかったな。

KOUHEI 今回はタイアップ先の方からほとんど指定がなかったので、自分たちが素直にいいなと思えるものを提出して、それでOKをいただけたからかもしれないです。細かく指定されると、どうしても一旦身構えてしまうんですよね。

──それは3曲共?

GEN 3曲共です。ちなみに3曲目の「Cycle」には「広がるー広がるー」と2回伸ばすフレーズがあるんですけど、2回目の「広がる」は限りなく“日の丸”っぽく歌っているんですよ。オリンピックを意識して。そこはテーマ曲用はがっつり“日の丸”っぽく歌って、音源に収録するほうは“広がる”と歌ってもいいかなと思ったんですけど。実際はちょうど中間くらいで歌えたのでそのままにしました。

HIROKAZ それは気付かなかったな。

GEN あんまり“日の丸”になりすぎないように言ってるからね(笑)。

──「SEED」の1曲目、「Puzzle」はスマートフォンゲームアプリ「ガンダムブレイカーモバイル」のCMソングです。04 Limited Sazabysの“Sazabys”という部分は、「機動戦士ガンダム」シリーズに登場する兵器“サザビー”から名付けられていますよね。バンド名も一因となってオファーがきたのでしょうか?

GEN それはありますね。「機動戦士ガンダム」シリーズを制作しているアニメ制作会社にとてもお世話になっている方がいて、04 Limited “Sazabys”だからという理由でお話をいただけて。僕らも「ついに来たか」と思いました。

──「Puzzle」のサウンド面や歌詞についてはいかがですか?

GEN 最近の僕らの定番に一番近い、ストレートな曲ですね。ガンダムのタイアップということで、僕ららしいまっすぐな感じを出していいかなと思いました。「ガンダムブレイカーモバイル」が“ガンプラ”がもとになっているゲームなので、歌詞には組み立ててパーツを探していく感覚を落とし込みました。僕らも日々、何にしても一番合うパーツを探すと思うし、見つかったとしても「ひょっとしたらこれよりもっと合うものがあるんじゃないか?」と探し続けると思うので。

一筋の光に向かってもがく系は得意

──2曲目の「Montage」はドラマ「TWO WEEKS」のオープニング曲で、ドラマの世界観に沿うような、疾走感のある楽曲です。

GEN ドラマ主題歌ということで、ちゃんとお話に合ったことを書かなきゃなあとは思っていました。「Puzzle」と「Montage」に関しては、お話をいただいた人が、よく顔も知っている人たちで、「フォーリミの曲だったら『fiction』や『knife』みたいな感じの曲調で」と具体的な僕らの曲名を伝えてくれたので、曲へのイメージはメンバー全員が一致していたと思いますね。

KOUHEI サウンドに関しては、「fiction」や「knife」のようなテイストが合いそう、というくらいでそこまでガッツリした指定はなかったです。“逃走”がテーマということを聞いていたので、そのイメージを汲み取って、「ヒリヒリしている感じにしよう」というところから、コード感やテンポを決めました。あとサビのリズムは四つ打ちやツービートは避けることを意識しました。「fiction」や「knife」と同じ感じになってしまうのが嫌だったので。意外とこういうヒリヒリした曲調のサビで8ビートを使ったことがなかったので、ここでやってみてもいいかなと思って使いましたね。ドラマだし聴きなじみのあるリズムでもいいかなって。

HIROKAZ ギターは珍しくクリーンパートが多い気がするな。

RYU-TA そうだね。

HIROKAZ 落ちるところも。

KOUHEI ブレイク系が多いよね。緩急は意識したかもしれない。

HIROKAZ(G)

HIROKAZ それが“逃走”っぽいというか。一旦隠れて、そこから激しくなってみたいなことが表現できている気がして、よりドラマに合うようにはなったかなと思いますね。

GEN ベースが消えて、ドラムもいなくなって、ギター2本でクリーンでハモるみたいなのは意外とやったことなかったね。

KOUHEI 若干避けてた部分もあったのかも。

GEN 確かに。自分たちの得意分野からはちょっと外れている感じがしていたのかな。でも今回は自然と出てきたというか、僕らのルーツの中にはもともとあったものなので。

KOUHEI 正直言ってしまえば、このアレンジはちょっとクサいと思うんですよ。でもそういうクサい表現をすぐやらずに、取っておくのが僕らなので。ようやく出せたって感じです。

──ボーカルはエフェクトがかかっていたり、トラックを重ねてたりと変化を付けたものになっています。

GEN はい。ドラマの主人公が冤罪で、だいぶかわいそうじゃないですか。「なんでこうなったんだよ」という苛立ちともがいている感じが、少し声をこもらせることによって出るかなと思って。僕の声がけっこうポップだしヌケがいいので、ちょっと潜ってほしいなと思ってAメロはそういう感じにしました。

──「TWO WEEKS」は主人公が一筋の光に向かってもがいていくストーリーで、「monolith」(2014年リリースの3rdミニアルバム)と近い雰囲気を感じました。

GEN 一筋の光に向かってもがく系は得意なので(笑)。特に「monolith」の時期は僕らの人生もそういうモードだったので、似た雰囲気があるかもしれません。

壁は友達だ

──3曲目はNHKによるプロジェクト「アニ×パラ あなたのヒーローは誰ですか」第7弾“パラサイクリング”編のテーマ曲「Cycle」です。聴く人にエールを送るような明るい内容になっています。

KOUHEI この曲は「SOIL」の制作中に、すでにメロディはできていたんです。

GEN でも「Cycle」は「SOIL」に入りそうな感じがしなかったんだよね。

KOUHEI(Dr, Cho)

KOUHEI うん。なんかモードが違って。でもGENが歌詞が浮かびやすいと言っていたので、お話をいただいたときにこの曲を採用しました。

GEN NHKの番組とのパラリンピックの競技を応援するプロジェクトということで、複雑な言葉を使わずに伝えるイメージで考えました。

──歌詞の「壁は敵じゃないよ もう友達」「今じゃ輝きと握手して」という部分にとてもフォーリミらしさを感じました。

GEN 確かにこのシングルで伝えたかったのは「壁は友達だ」というあたりですね。シングルのタイトルが「SEED」ですけど、「Cycle」には「ちゃんと蒔いた種 芽吹いたね」というフレーズがあるんです。アスリートの方もたくさんの練習や失敗したときの悔しさを種として、芽が出るんじゃないかと思っていて。

KOUHEI 僕が思ったのは、GENって少しかわいさのある話し言葉を歌詞に入れるんですよね。そして大勢に向けて歌っているというより、1人に向けて歌っている言葉を選んでいて。まあ捉え方は聴いている人次第ですけどね。1人ひとりを大事にしていて、商業的な感じがしないのはすごくいいところだと思いますね。

GEN 確かに1カ所は口語体を入れて、話しかけている感じというか、ちょっと照れる場所を入れるようにしていて、それがスパイスになっていると思います。音に関してはライブを想定しますけど、歌詞は家で1人で聴いている人を想像して作っていますね。