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TOMOO「Super Ball」ジャケ写

TOMOO Super Ball

快進撃を続けるSSWの代表曲、飛び跳ね続ける“Super Ball”の行く先は──。

文 / 石井佑来

昨年9月にアルバム「TWO MOON」をリリースして以来、TOMOOが快進撃を続けている。IRORI Recordsからリリースされたこのメジャー1stアルバムは各所で話題を呼び、その後彼女は「Present」「あわいに」と大型タイアップ曲を連続でリリース。「関ジャム」(現「EIGHT-JAM」)の年間ベスト企画で、いしわたり淳治が1位、蔦谷好位置が2位に彼女の曲を選んだことも大きな話題となった。

そんな「TWO MOON」のオープニングを飾る楽曲が、今回ピックアップする「Super Ball」だ。上述の「関ジャム」でいしわたりに年間1位に選ばれたこの曲は、TOMOOの現時点でのキャリアを代表する楽曲となっている。YouTubeにアップされたミュージックビデオの再生回数は、彼女のチャンネル史上最高の480万回を突破。来週7月19日に初出演となる「ミュージックステーション」でも、リリースから1年近くを経て「Super Ball」が歌唱曲として選ばれている。

明快なフックを伴いながら、徹頭徹尾“丸”を意識して展開される巧みな作詞術。小西遼(象眠舎、CRCK/LCKS)がアレンジを手がけた、跳ね回るビートと彩り豊かなブラスサウンド。この曲では、スーパーボールというモチーフに託されたイメージが、あらゆる面で的確に表現されている。誰にとっても馴染み深い玩具をメタファーに、「丸いままつらぬいて」「揺れもしない 強さなんていらない」という彼女なりの哲学を歌う姿勢は、ソウルやファンクの要素を取り入れつつ、あくまで“J-POP”という開けたフィールドで戦う彼女の“メジャー1stアルバム”の1曲目として、このうえなくふさわしいだろう。

曲中に出てくる動作は「俯く」「こぼれる」「降る」と、どれも上から下への運動によってなされたものばかり。誰もが重力には抗えず、すべての物事は時の流れとともに下方へ向かっていく。一見そんなネガティブなイメージを纏っているかのように思えるこれらの言葉。しかし、TOMOOは知っている。下へ下へと落ちていくほど、そのぶんスーパーボールは遥かな高みへと飛び跳ね、美しく鮮やかな軌道を描き出すということを──。

TOMOO - Super Ball【OFFICIAL MUSIC VIDEO】

TOMOO「Super Ball」
2023年9月27日(水)配信開始 / ポニーキャニオン
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作詞:TOMOO
作曲:TOMOO
編曲:小西遼

TOMOO(トモオ)

TOMOO

1995年生まれ、東京都出身のシンガーソングライター。6歳からピアノを弾き始め、大学進学後に本格的に音楽活動をスタートさせた。2016年8月に1stミニアルバム「Wanna V」を発表。2021年8月に発表したシングル「Ginger」がさまざまなアーティストから注目される。2022年8月にポニーキャニオン内のIRORI Recordsより配信シングル「オセロ」でメジャーデビュー。2023年9月にメジャー1stアルバム「TWO MOON」をリリース。翌2024年2月に「Present」、4月に「あわいに」と楽曲を立て続けに発表した。