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私立恵比寿中学「いろはにODORYANSE」ジャケ写

私立恵比寿中学 いろはにODORYANSE

15年経っても成長中、えびちゅう2024年のサマーアンセム

文 / 臼杵成晃

私立恵比寿中学が今年2月に発表した最新アルバム「indigo hour」は、最新のダンスミュージックやヒップホップの要素を本格的に取り入れたチャレンジャブルな作品だった。中でもそのリード曲として先行配信された「BLUE DIZZINESS」は、海外の音楽シーンで活性化していた5つ打ちビートのダンストラック=ジャージークラブのマナーを取り入れたクールなサウンドで、発音を曖昧にしたボーカルスタイルなど目に見えて大きな変化があり、新しい方向性に馴染めないファンもいたかもしれない。一方で、単純なループ構造の中で大きく躍動する「BLUE DIZZINESS」の斬新なメロディラインを、従来と大きく異なるボーカルアプローチで歌うえびちゅうの進化ぶりを絶賛する人(含私)も多かったはずだ。

10年選手の“高学年”5人と10代の“低学年”5人という、熟練と無垢が50:50のバランスで成り立っているのが結成15周年を迎えた現在のえびちゅうで、これが妙に面白い。「1粒で2度おいしい」を地で行く今が一番見応えがあると私個人は思っていて、15年経ってもなおあがいている「indigo hour」というアルバムを美しいと感じた。新たな楽曲が受け入れられるのか? 勝負の場であったろう春の全国ツアーは、アルバム全10曲と過去の楽曲をバランスよく織り交ぜた内容で、結果「新しい武器を手に入れて、より幅の広がったえびちゅう」をアピールする形で“完勝”できていたのではないか、とあの盛り上がりぶりを見るに思う。

そんな一連の動きを経てリリースされる新曲「いろはにODORYANSE」は、えびちゅう夏の恒例行事である野外ライブ「ファミえん」の今年のテーマソング。ヒップホップ派生のPluggにR&Bをミックスしたダンスミュージックの新たなトレンド、“Pluggnb”の要素が取り入れられている。オリエンタルな響きを持つメロディのサビ頭。おしとやかなリフレインから「3・2・1 Go!」の合図で一気にビートが強まり、そこからの3分強は緩急織り交ぜながらも駆け抜けるように進んでいく。ブチ上がるアッパーさと儚く脆い感傷的なムード、夏の二大要素を同時に表現したような楽曲だ。まさに「indigo hour」の流れを汲んだ次の一手、といった印象。開放的な野外ステージでどのように響くのか楽しみだ。

【リリックビデオ】私立恵比寿中学「いろはにODORYANSE」

私立恵比寿中学「いろはにODORYANSE」
2024年8月17日(土)配信開始 / SME Records
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作詞:みきちゅ / 作曲・編曲:Yoma

私立恵比寿中学(シリツエビスチュウガク)

私立恵比寿中学

2009年夏に結成された、スターダストプロモーションのアイドルセクション・スターダストプラネットに所属するアイドルグループ。2012年5月にシングル「仮契約のシンデレラ」でメジャーデビュー。“転校”(脱退)と“転入”(加入)を繰り返し、2022年12月に現在の10人体制となった。2024年2月に現体制初のオリジナルアルバム「indigo hour」をリリース。結成15周年を迎えた8月、恒例の野外ライブ「えびちゅう 夏のファミリー遠足 略してファミえん」の最新テーマソング「いろはにODORYANSE」を含むEP「FAMIEN'24 e.p」を発表した。2025年3月には埼玉・さいたまスーパーアリーナでワンマンライブ「私立恵比寿中学 15th Anniversary 大学芸会2025~LOVE&BRAVE~」を行う。