「野球部に花束を」醍醐虎汰朗×黒羽麻璃央インタビュー | “高校球児”として駆け抜けた熱い日々

高校球児たちの笑えて切ないリアルな日常を描いた「野球部に花束を」が8月11日に全国で公開される。

原作は「ドラフトキング」で知られるクロマツテツロウの野球マンガ。高校デビューを夢見るも、うっかり野球部に入部してしまう高校1年生・黒田鉄平を醍醐虎汰朗が演じ、同級生役で黒羽麻璃央、駒木根隆介、市川知宏、三浦健人らが顔をそろえる。また時代錯誤な鬼監督役の髙嶋政宏をはじめ、“怖すぎて小沢仁志に見える”先輩として小沢仁志、“野球部あるある”解説役として元プロ野球選手の里崎智也など個性豊かなキャストが起用された。

公開を記念し、映画ナタリーでは醍醐と黒羽の対談を行った。野球初心者の醍醐と、元球児で「野球は生活の一部」と語る黒羽は本作で初共演。さながら部活のようだったという青春の日々を駆け抜けた2人が撮影を振り返る。取材の最後には、“恩師”だという監督・飯塚健からの手紙を2人に渡した。サプライズへの反応は……? コミックナタリーに掲載している原作者・クロマツのインタビューもあわせてチェックしよう。

取材・文 / 細谷美香撮影 / 曽我美芽

映画の撮影だけど部活っぽい(醍醐)

──出演が決まったときの感想から教えてください。

醍醐虎汰朗 僕はずっとサッカーをやってきたので、野球は未経験で、高校球児を取り巻く環境やしきたりなども無知だったので多少の不安はありました(笑)。野球部員として説得力を持たせるためにはある程度うまくならないといけないので、「いっぱい練習しよ~♪」って思いました。

黒羽麻璃央 かわいい! 今のを文字にするとき「練習しーよおっ」のあとに何か記号を付けてください(笑)。僕にとって野球は生活の一部というほど愛してやまないものですが、やはり説得力を持たせたくて「練習しよ~♪」と思っていました。

醍醐虎汰朗

醍醐虎汰朗

黒羽麻璃央

黒羽麻璃央

──練習はどのように進められましたか?

黒羽 全体練習がありました。室内練習場にアドバイザーやコーチの方がいらっしゃって、キャッチボールなど本当に一から指導してくださった感じです。

醍醐 僕は投げ方から教えてもらいました。

「野球部に花束を」より、醍醐虎汰朗演じる黒田鉄平。

「野球部に花束を」より、醍醐虎汰朗演じる黒田鉄平。

黒羽 でも一緒に練習したときから、初心者とはわからないくらい非常に上手だったんです。撮影が始まる頃には、すごいスピードで成長されていて。

醍醐 うれしい。でも自分としては最後まで難しかったですね。球が当たると痛いので怖かったですし、けがに気を付けて練習しました。やっぱり黒羽さんはめちゃくちゃ上手で、暇さえあればキャッチボールをしていた気がします。撮影をしに来ているのか、野球をしに来ているのかわからない瞬間があって(笑)。カメラに映らないところでもずっとボールを投げていて、本当に野球好きなんだなと思いました(笑)。

黒羽 止めてくれる人がいないと無限にやってしまうので、肩が痛くなりました(笑)。

──野球部員を演じたキャストの皆さんは、実年齢では差がありますよね。

黒羽 最初に主演がこた(虎汰朗)だと聞いて、(自分は)先輩の役かな?と思っていたら同級生役で。まずそこでびっくりしました。普段から仲がいい駒木根(隆介)さん、いっちーさん(市川知宏)は僕よりも上なので、大丈夫なのかな……?と思ったけど、そこも狙いみたいな感じですよね(笑)。高校生じゃないだろ!みたいな人たちも2、3年生役にいて面白かったです。

醍醐 カットが掛かると皆さん当然先輩なんですけど、不思議と慣れちゃうものでした。でも、この作品だからこんなに仲良くなれたんだろうなと思います。違う作品で会っていたらまた違うのかなって。

「野球部に花束を」より、醍醐虎汰朗演じる黒田鉄平(手前左)、黒羽麻璃央演じる桧垣主圭(手前右)。

「野球部に花束を」より、醍醐虎汰朗演じる黒田鉄平(手前左)、黒羽麻璃央演じる桧垣主圭(手前右)。

黒羽 朝から撮影して、けっこう巻くことが多い現場だったんですよ。やっぱり野球のシーンが多いので「今日もみんなで夕飯くらいまでに終わるためにがんばろうぜ!」みたいなチームワークがすごくありました。

醍醐 映画の撮影なんですけど、チーム全体が部活っぽい雰囲気にもなっていて。部活をしている感覚で日々が進行しているような。

黒羽 現場の雰囲気と部活の雰囲気がうまくリンクしていたよね。タイヤを押したり、ノックで追い込むシーンは本当にキツかったから、芝居では表現できない息遣いや疲労感がにじみ出ていると思います。

坊主軍団が真冬のスーパー銭湯へ

──撮影が進むに連れて、お二人の関係にも変化はありましたか?

黒羽 あったと思います。この現場の皆さんはサウナが好きで、坊主軍団が真冬のスーパー銭湯に行っていたんですよ。明らかに学生ではない大人の坊主軍団なので、この集団はなんなんだろうと思われていたと思います(笑)。

「野球部に花束を」

「野球部に花束を」

醍醐 僕はもう麻璃央くんに絶大な信頼を寄せているので、一緒にいるときはちゃんとしなくていいモードになります。

黒羽 なんでだよ!(笑)

醍醐 お兄ちゃんというか、「甘えていいよ」くらいの感じでいてくれるので楽なんです。

左から醍醐虎汰朗、黒羽麻璃央。

左から醍醐虎汰朗、黒羽麻璃央。

左から醍醐虎汰朗、黒羽麻璃央。

左から醍醐虎汰朗、黒羽麻璃央。

──お互いにどういうところが一番好きですか?

醍醐 顔ですね。

黒羽 顔ってお前! 親に感謝(笑)。

醍醐 あはははは! ……冗談ですよ、恥ずかしいので(笑)。距離の遠い先輩という感じではなくて、近い距離感で頼れるからお兄ちゃんみたいな感覚なんだと思います。

黒羽 こたは非常にまっすぐですよね。映画初主演のプレッシャーもあったと思うし、スタッフやキャストの人数も多かったので背負いすぎないか心配だったのですが、すごく楽しそうにやっていました。熱いものを持っていて、お芝居にまっすぐ向き合っているなと。初めてご一緒させていただいて、年齢は関係なく頼もしいなと思いました。