2017年にヒットを記録した「ワンダーウーマン」の最新作、「ワンダーウーマン 1984」が12月18日に公開される。前作に引き続きガル・ガドット主演、パティ・ジェンキンス監督で贈る本作では、1980年代を舞台に、最強の戦士ワンダーウーマンのスケールアップした戦いが描かれる。
新型コロナウイルスの影響でハリウッドの大作が軒並み公開延期となる中、全米に先駆け日本公開が決定した本作。日本では通常の2D版に加え、IMAX®版と4D版も上映される。映画ナタリーの特集では、本作のIMAX®版レビューを掲載。日本最大のIMAX®レーザー / GTテクノロジースクリーンを誇る東京・グランドシネマサンシャインにて本作を鑑賞した映画ライター・よしひろまさみちが感想を寄せてくれた。
レビュー / よしひろまさみち 文 / 浅見みなほ
なんですか、この大サービス!IMAX®の素晴らしさをこんなにも体感できる作品だったとは
文 / よしひろまさみち
待ちに待った超大作が、IMAX®の素晴らしさをこんなにも体感できる作品だったとは……。「ワンダーウーマン1984」をIMAX®で鑑賞後、最初に感じたのはそれ。なにせ、冒頭からの没入感が、通常スクリーンとはまったく別モノだから。
幼少期のダイアナが、野山を駆け抜け、戦士としてのトレーニングに励む姿から始まる冒頭。カメラはすぐにダイアナから離れて、太平洋のどこかに存在するセミッシラの崖の上にあるコロシアムへと向かう空撮に。ドローンに乗っているかのような浮遊感を味わったあと、コロシアムの内側に入り込んだカメラが捉えるのは、前作でダイアナを守って死んだロビン・ライト演じるアンティオペ将軍と、ダイアナの母ヒッポリタ女王! なんですか、最初からこの大サービス! このたった5分ほどのシーンだけで、観客は一気にワンダーウーマンの世界に入り込むことができるという仕掛けに、思わず「すご!」と口走ってしまったほど。
そのあと、最強の戦士を決めるトライアスロン風の競技が始まるのだが、ここでダイアナは小さい身体と聡明な頭脳を駆使して、あっという間に先頭に立つ。これもIMAX®のスクリーンサイズだと疾走感ハンパないだけでなく、小さなダイアナの動き1つひとつをはっきり観ることができるのがポイント。この競技の迫力と結果はスクリーンで観てからのお楽しみにしておくが、ただのファンサービス回想劇ではない。ダイアナがスーパーパワーを持ったワンダーウーマンとして活躍するのに不可欠な、平等の精神と真の強さとは何か、ということを表現する大事なシーンでもある。
また、冒頭シーンからすぐに舞台は1984年へ移るが、こちらも大スクリーン向き。ここでは、人を守り悪を討つワンダーウーマン=ダイアナが、宝飾店を襲った強盗犯を捕らえるために、ショッピングモール内を縦横無尽に駆け巡る。これも、IMAX®サイズで楽しむために作られたようなアクションシーンだ。序章の回想劇は大自然と人物のアクションを悠然と捉えた大迫力映像だが、こちらは狭い空間を生かして、どれだけの超絶アクションを見せるか、というアイデア勝負のシーン。モール内にあるものを駆使して戦うワンダーウーマンの動きの1つひとつは、IMAX®の大スクリーンならではのど迫力を感じてもらえるだろう。
ここまで書いても、まだ2時間半の内の20分弱。物語の始まりにも満たない。通常のスクリーンで観たときに感じる迫力とは桁違いのアクションを見せつけられると、その後に起きるとてつもない大事件とエモすぎるダイアナのドラマへと自然と導かれ、大興奮間違いなし。なんせ、今回のバトルは陸海空すべてのフィールドで展開。IMAX®だったらその世界の一員となって、間近でそれを目撃することになるのだから。ハリウッドのアクション大作が軒並み2021年以降に公開を延期した中だからこそ、2020〜2021年初めは「ワンダーウーマン1984」の興奮を、最高の環境で味わってもらいたい。
主人公ダイアナを通して描くテーマは“真実”
前作「ワンダーウーマン」にて初めて故郷のセミッシラ島を離れ、未曾有の危機にあった人間界を救ったダイアナ / ワンダーウーマン。そこでは文明社会に驚くダイアナのキュートな姿が垣間見られたが、今作はバブル景気に沸く1980年代が舞台。長く人間社会で暮らし、博物館で働く考古学者としての一面も持つようになったダイアナが、公明正大の精神と人間愛を試されることとなる。ダイアナ役のガル・ガドットは、前作で恋を知ったダイアナについて「今回、自分の価値観を見つめ直す」と説明。さらに本作で描かれるメッセージについて「この作品は“真実”をテーマにしているわ。単純なようだけど、いろんな意味で奥深いテーマだと思う。私たちは今の自分を大切にしなくてはいけないのに、それを忘れてないものねだりをしたり、現実には“起こり得ないこと”を願ったりしてしまう。もちろん、すべてを手に入れようと思うのは勝手だけれど、それは本当に叶うのかしら?」とコメントしている。
新たな強敵が登場!死んだはずの恋人とも再会
本作では新たな2人の敵が、ワンダーウーマンの前に立ちはだかる。1人は、ワンダーウーマンに匹敵する力を持つチーター。同役を務めた「オデッセイ」のクリステン・ウィグは「監督からオファーをもらったとき、二つ返事で引き受けたわ。だって前作の大ファンなんだもの。後日、脚本を読んでみて、この役の変貌ぶりに興奮したわ」と語る。そしてもう1人の敵は、人々にアメリカンドリームという名の儲け話を持ちかける実業家マックス。ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」で知られるペドロ・パスカルが、マックスに扮した。パスカルは「マックスの気持ちは誰にでもわかるんじゃないかな。どうやって自分自身に、世間に、そして息子に自分を認めさせるか。その必死さが、マックスをDCヴィランに変えてしまうんだ」と役について解説する。さらに前作でダイアナと恋に落ちた、クリス・パイン演じるスティーブ・トレバーも再登場を果たす。なぜ彼が再びダイアナの前に姿を現すのか? その過程も含めて期待していただきたい。
陸海空で繰り広げられる大迫力のアクション
本作の撮影地は、アメリカ、イギリス、ウェールズ、スペイン、カナリア諸島と広範囲に及ぶ。35mmとIMAX®の65mmカメラを用いて、ワンダーウーマンの大迫力の戦いが撮影された。IMAX®フィルムカメラで撮影されたシーンは、IMAX®劇場で鑑賞すると、通常スクリーンに比べて見える範囲がスクリーンいっぱいにぐっと広がる。それも、本作をIMAX®で鑑賞すべき魅力のひとつである。幼少期のダイアナがセミッシラ島で経験する“アマゾン・オリンピック”のシーンに始まり、陸海空と舞台を変えていくバリエーション豊かなアクションはまさに圧巻。またコミックスのファンにとっては、ワンダーウーマンの戦闘スーツ・ゴールドアーマーも見どころだろう。映画では初登場となるこのスーツは、選ばれし者のみが装着を許された戦闘着。監督のパティ・ジェンキンスは「ダイアナは力の勝る敵を倒すために、手持ちの武器を総動員するんです。ゴールドアーマーはその中でも最終兵器であり、作品の大きな見せ場でもあります」と語る。パワーアップしたワンダーウーマンの活躍を、ぜひ大スクリーンで目撃してほしい。